小川フミオのモーターカー

こだわりが光る、マツダ「CX-8」

  • 文 小川フミオ
  • 2018年1月26日

全長4900ミリ、全幅1840ミリ、全高1730ミリでホイールベースは2930ミリと余裕あるサイズ

 マツダが2017年12月に発売した新型車「CX-8」。もっとも注目すべき点は、個性的なコンセプトだ。

 SUVとステーションワゴンの中間というスタイルに、最大7名乗れるパッケージの組み合わせである。ありそうで、じつはあまりない設定だ。

 マツダは米国で同様のコンセプトの「CX-9」というモデルを販売して好調なセールスを記録しているとか。

 「CX-8」は「CX-9」のサスペンションパーツなどを使いながらサイズを少しコンパクトに、つまり日本向けにダウンサイジングしている。

 バリエーションは大きくいうと二つ。前輪駆動と、マツダが“AWD”と呼ぶ4輪駆動だ。エンジンは2.2リッター4気筒ディーゼルのみ。変速機も6段オートマチック1本にしぼられている。

 おもしろいのは、シートアレンジの多様性でモデルバリエーションを展開している点だ。使い勝手に応じて選べる。そこに「CX-8」の特徴がある。

 どの車種にも共通しているのは3列シートを備えている点。ただし2列目は仕様が3通りも用意されている。

 3人がけのベンチシートタイプ、2人がけのアームレスト付きのキャプテンシートタイプ、そして二つの席の間にコンソールボックスを備えたちょっとぜいたくなタイプだ。

マシングレープレミアムメタリックの塗色の車体にはクロムのアクセントが美しく映える

 エンジンは「SKYACTIV-D 2.2」とマツダが名づけた2188ccの4気筒ディーゼル。従来のエンジンを改良したものだ。

 可変ジオメトリーターボチャージャーの新採用などで、最高出力は従来の129kWから140kW(190ps)へ、最大トルクは420Nmから450Nmへと上がっている。

 運転すると第一印象はそのパワー感だ。2000rpmで最大トルクを発生するだけあって走り出しはじつにスムーズ。そのあとの加速も力強い。

 「ディーゼルエンジンのネガティブポイントを徹底的につぶした」と開発者が説明してくれたとおり、振動も少なく、騒音も低い。ディーゼル音はするが、いやな音ではない。うまく調整されているのだ。

 「i-ACTIV AWD」とよぶ4WDシステム搭載モデルのバランスのよさも光った。前輪のスリップ予兆検知などセンシング技術を駆使した点がセリングポイントだが、トルクベクタリング機構(左右の駆動輪にかかる駆動力を適切に配分する制御機構)も手伝いコーナリングは気持ちよい。

乗車定員が7名とは信じられないスタイリッシュなボディー(だが室内は広い)

 足まわりの設定も従来のマツダ車から頭ひとつぶん抜け出たかんじで好ましい。ごつごつとした硬さはあまり感じさせず、しなやかで、なめらか。

 もうひとつ、マツダならではと感心するのはスタイリングだ。ぱんっと張ったような面づくりは美しさすら感じさせる。

 他社の製品はモールや差し色などいろいろ装飾を持つところ、マツダは全体のシェイプのみにこだわり、たんなる“装飾のための装飾”は極力排除しているようだ。

 その品質感の追求がドイツ車など欧州車のライバルとなりうるとぼくは思う。マツダ車の購買層はじっさいにドイツ車などと比較検討したりしている。こだわりが光るクルマなのだ。

 トヨタのように大きな市場を対象にした総花的な製品展開はなかなかむずかしいマツダ。そのためターゲットを絞った製品開発をせざるを得ないのだろうが、結果、的を射たクルマが出来ていると思う。

 安全システムおよび運転支援システムも豊富だ。全車速追従型のレーダークルーズコントロールをはじめ、操舵(そうだ)を支援するレーンキープアシスト、歩行者との衝突を避けるための「アドバンストスマートシティブレーキサポート」といった装備がそろう。

 衝突安全性もセリングポイントになっている。「CX-8」が発売に先立ちジャーナリストにお披露目された際、3列目の乗員の着座位置が後方なので“追突された際の安全性は?”とぼくは気になった。

 それについてマツダの担当者は実験フィルムも見せながら、大きな追突でも乗員の生存空間がきちんと確保されることを証明してくれた。燃料タンクもしっかり保護されるそうだ。

ルーフの延長としてハッチゲートにスポイラーが装着されている

 メーカー発表による燃費は、前輪駆動モデルでリッターあたり15.8キロ、AWDでは15.4キロ(最新のWLTCモード)。

 実際、走らせてみたときの最良の値はAWDでリッター16.0キロまでいった。全長が4900ミリもある3列シートのクルマとしては悪くない。新世代のファミリーカーとして大きく評価したい。

 価格は「XD」前輪駆動の319万6800円からはじまり、「XD L-PACKAGE」AWDの419万円までとなっている。

 ぼくなら2列目にウォークスルー機構を採用したモデルを選び、オプションのBOSEサウンドシステム(2018年1月の時点で8万1000円のオプション)をつけるだろう。

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