「伝えたい」ものを「届けたい」ところへ。“無人島でお祭り”にならないWebコンテンツづくり

  • &マガジン5周年記念セミナーレポート(前編)※動画あります
  • 2018年2月1日

 Webメディアは増え続けていて、ライター・編集者の需要はある。でも数が増えるほど、一つ一つのコンテンツは埋もれやすくなってもいる。

 簡単な記事であれば、もう人工知能(AI)が書けるというし……、 数を打っても、コンテンツを一度でも当てることができない人間はいつか、仕事がなくなってしまうかもしれない。

 1月26日、朝日新聞デジタルのWebマガジン『&M』創刊5周年を記念して、Yahoo! JAPANのコワーキングスペース「LODGE」で開催されたセミナーには、Webコンテンツ作りに興味と不安を持つ110人が来場しました。

  

 登壇されたのは、カルチャー・クリエイティブシーンを伝えるWebメディア『milieu(以下、ミリュー)』編集長の塩谷舞さん。

 テーマは「いま求められるWebコンテンツの作り方と届け方」です。

 ミリューに掲載されているコンテンツの質と、SNSを使った塩谷さんの発信力は、読者やメディア関係者の間で高く評価されています。&M編集部は、参加者と一緒に、塩谷さんが蓄積してきたスキルとコンテンツづくりにかける思いを学ぶことで、自分たちのマガジンはもちろん、業界全体の質の向上にもつなげたい、と今回のセミナーを企画したそうです。

 今回のイベントのチケットは、塩谷さんのライン@で告知後、約2分で完売(参加は無料ですが)したそう。迷わず参加を決めたであろう来場者が集った会場は、内容への期待と何かを吸収したいという熱気があふれていました。

  

 スタートと同時に、別画面が映し出されてしまう小ハプニングが発生したものの、「こういうところが生のイベントですね!(笑)」と塩谷さん。

 来場者は3割ほどがライター、続いて、企業のWeb担当者、ブロガーなど、やはり同業種が多い印象でした。中には花火師という意外な職業も。

「今日のなにが事件かって、朝日新聞さんとミリューとのコラボイベントなんですよ。大きな新聞社や出版社、テレビ局、広告代理店は、大学時代のわたしなんかが正攻法でやっても入れないような憧れの就職先でした。でも、今の時代ではこういうことがありえてしまうんですね」

  

 まず、画面に写されたのは、漫画家・安野モヨコさんの作品『働きマン』の1シーン。本が売れたことをライターさんと自分二人の力だと言う編集者を例に挙げ、「コンテンツの質がよければ、読んでくれるだろう」という考えは危険だといいます。

 本が売れるには営業マンや書店の見えない努力が必要であって、Webで言えばコンテンツを作った先の広める役割がとても重要。その努力をしないのは「まるで無人島でお祭りを開いている状態」。そもそもお祭りをしていることに気づかないから、だれも来てくれないのは当たり前です。

ミリューの運営で気をつけていること

 ミリューの平均PV数は、ひと記事あたり約28,000PV。オウンドメディアが乱立し、ひと記事3,000PVにも満たないメディアが増えるなか、たった一人で運営し、愛されるコンテンツを生み出すその秘訣はなんでしょうか。ミリューは以下のことに気をつけて運営しているそうです。

・下品に見せない

・意図的に誰かを傷つけない

・高尚にならない

 トレンドネタや、すでにバズったネタをまとめること(キュレーション)は、PV数こそ伸びやすいものの、なかなかメディアとして覚えてもらうのは難しい。また、雰囲気だけを重視した、見慣れない横文字だらけのメディア(塩谷さんいわく『Wiredに憧れたWebメディア』)も、親近感がわかずに、読者との距離が生まれてしまいます。見た目はカッコいいのだけれど、バズらない。こういうメディアも増えているようです。

 まじめなお話が続きますが、「実はあの、この記事あたりのPV数はゆうこす(菅本裕子)さんという方が一人で引きあげましたけれども」なんてこぼれ話もあって、会場はなごやかな雰囲気に。このあたりから、あることに気づく参加者が増えていくのですが…… まあ正解はのちほど。

Twitterで目指すべきは「専門書」

 さて、ここからはどかどかと実践的で、すぐ役に立ちそうな内容が出てきたので、まとめていきますね。

  

 こちらは塩谷さんの6年前のツイート(当時のフォロワーは1000人ほど)。

・だれかに教えたくなるような有益情報

・専門性のあるもの

「バズる」という言葉もないような10年前から、こういったツイートを心がけていたそう。

「例えば、『オムライスおいしー!』みたいなツイートは友達やファンならいいけど、第三者に広めようとはなりません。そうすると、自分のフォロワーの100人で止まっちゃう」

 反応を見る基準として、まずはフォロワー数の1パーセントを目指します。
「今いるフォロワーが500人なら“5いいね”、1,000人なら“10いいね”を目指していくのがいい。……ってカツセマサヒコっていう人が言ってました」(会場笑)
(こちらの記事ですね→『人気ツイッタラーに聞いた「Twitterのフォロワーを増やすためのコツと具体的な方法」』)

 さらに、伸びやすいツイートにはある程度の法則があり、ひとつのツイートの中に「=感嘆詞、強い言葉、占有面積、情報、感想、写真、行動先(+インフルエンサー)」が入っていれば100点だといいます。

  

 目指すべきは「(その分野に興味のある人なら知ってる)専門書」。

 “マス”を狙ってしまうと、ニュースサイトやまとめサイトでこと足りてしまうので、個人発信や新規オウンドメディアであれば、情報はあくまで小さく濃いものを。タイムラインに統一感を持たせ、どういう人かを認識してもらうことが興味を持ってもらうポイントです。

 

「欲しい! って思ったらこれにいいねをつけるかRTしておくと、自分がふと思った時に買えます。いいねやRTはメモ代わりに使っている人が多いですよね」

 ECサイトのリンクを貼りつけ、商品名を検索するという手間を省いてあげる。このちょっと面倒という部分を一つずつなくしていくことが差別化になります。こちらの青いお茶の販売元からは感謝の手紙が届いたそうで、うれしそうに話す塩谷さんがとてもキュートでした。

 

 載せる写真は3枚がベスト。なぜかというと、スマホでは1枚が左側で大きめに、残り2枚が右側に縦に並ぶから。偶数枚だと、すべての画像が小さく表示されてしまうので目に留まらない。

 占有面積の大きさや画像に心を配る理由は「Twitterは秒の世界で、1秒2秒で興味を持ってもらえなかったらスクロールされてしまう」から。ツイート内に改行を入れて、パッと見でもわかりやすくするのがポイントだそうです。

 投稿を拡散させるには、これらのことを忘れないで工夫することが大切なのです。

「ニュースでも自分なりに咀嚼して編集すれば再発信できます。ただ受け手としてつぶやくだけじゃなくて、どうやったら一番届きやすい形で再発信できるかな、と考えてやってます」

 

 一枚の画像でわかりやすく説明したものも伸びやすい。記事の最後に、記事の要約となるようなまとめ画像を入れれば、Twitterでもそのまま使うことができ、これを「バズのリサイクル」だと呼ぶ塩谷さん。バズのリサイクル……!

 Instagram、Youtube、Facebookは、たくさんの人が全力でやっている世界。Twitterは片手間でやっている人が多いので、編集のスキルやデザインスキルがある人はそれを生かし、一つのツイートに30分、1時間、と時間をかけてあげるとタイムラインで目立つことができます。

盛り上がる「#アンドミリュー」タグ

  

 スクリーンを切り替える際に時間ができると「ちょっとすみません、ぜひあのツイートタイムということで……」と来場者を促し、Twitterをのぞくとすでに「#アンドミリュー」タグがちらほら。

 イベント中にすでに伸び始めているツイートもありました。

 

 絵、すごくないですか。

登壇しながらも、タグのついたツイートにいいねをつけていく塩谷さんおそるべし。

Facebookはサムネイルが命

 ツイートだけバズるのではなくて、やっぱり本体(記事やブログ)の方に来てほしい。記事を拡散するときは、TwitterならTwitterカード、Facebookならサムネイルが命だそう。

・友人や知り合いと繋がるFacebookでは、おしゃれな画像より知り合いの顔がどん! と載っているサムネイルが一番よくクリックされる

・自分のサイトのリンクを貼るとき、SNS上でどういう風に表示されるか必ず事前に試しておく→TwitterならCard validator、Facebookならシェアデバッガーを使ってチェック

 

「色味や入れる文字を、数ミリ単位でこだわっている人もいます」

  

 サイトのトップページとFacebookに表示されるサムネイルは変更することができます。サイト上ではおしゃれな画像を、Facebookでは親近感のある画像を選んで、見る人の属性にあった見せ方を。

 昨年末に公式で発表された大幅なアルゴリズム変更にもあるように、Facebookは企業アカウントのリーチが下がりやすくなっています。リーチが下がるとはつまり、人に見られる確率が減ってしまうということ。

 投稿内容もその特色を考え、以下のことを意識します。

・記事を載せる時は必ず自分または誰かをタグ付けする→Facebookにbotではなく人が使っていると認識させる

・同じURLを二回投稿しない→これもまたリーチが下がる原因となるため、もし投稿を間違えてしまったら、削除ではなく編集をする

・「血の通った人間である」ことが伝わる内容する→URLのベタ貼りはNG、必ず自分の言葉を添える

 そのほか、最新の有料noteの内容もちらほら出てくる大盤振舞い。あれ、今回のイベント、無料ですよね…すご…。

 と、ここで、さらに来場者にとってラッキーな出来事が起きます。

「Instagramをですね、今年は全力で攻めたいと。でもInstagramは、料理の山、ファッションの山、写真の山……それぞれの山ごとに、登り方が違うし、私はどの山にも登れていないんですよね。ということで今日は、Instagramのコスメやファッションの山を登ってらっしゃるシークレットゲストを呼んでます

 

サプライズゲスト、ゆうこす登場。

  

 

 実は超シークレットにも関わらず、イベント前から多くの来場者が知っていました。なぜなら……

 

 めっちゃリプライしている。

 イベント中も、塩谷さんが来場者席にいるゆうこすさんに目線を送るシーンがあったりと、会場は彼女の存在が気になってしょうがなかったはず。

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