「この写真、どうやって撮るの!?」手作りのレンズで撮影した、実験写真

  • 2018年2月8日

(C)上原ゼンジ/ネコ玉(宙玉)

 「身近な道具を使って、面白い写真が撮れたら」という気軽な気持ちで、レンズを自作するようになった上原ゼンジさん。100円ショップで見つけた、おもちゃの双眼鏡と紙筒でレンズを手作りし、デジタル一眼レフカメラに装着して撮影してみると、チープで不思議な味わいの写真が撮影できた。このことがきっかけで、さまざまなアイデアをカタチにする実験がスタートした。

 2014年に出版した写真集「Circular Cosmos―まあるい宇宙」は、こうした数々の実験写真プロジェクトから三つの作品群を収録している。「宙玉(そらたま)」は代表作の一つで、上原さんが考案した「宙玉レンズ」を使い、宙に浮かぶ玉の中に被写体を閉じ込めるシリーズ。「万華鏡写真」は自作した万華鏡を使って撮影したもの。また身近に宇宙的な存在を発見する「惑星」シリーズでは、反転処理したうずらの卵が惑星そのものに見えたり、マンホールのフタが古代遺跡のように見えたりする不思議な世界だ。

(C)上原ゼンジ/花びら(万華鏡)

(C)上原ゼンジ/マンホール星(惑星)年季の入ったマンホールのふた

 ささやかな工作実験からはじまった写真表現は、SNSを通して世界中にファンが広がり、先日は人気テレビ番組「タモリ倶楽部」にも出演。「宙玉レンズ」を使って、タレント・大久保佳代子さんに「婚活写真」の撮り方をレクチャーした。

 「デジタルで、いまは何でもできる時代。スマホにカメラが搭載されて、簡単に撮れるようにはなったけど、逆に写真の仕組みを知らない人も増えていると思います。レンズを自作したり、そのレンズでピント合わせをしたりという体験を通して、写真の素朴な楽しさに触れてもらえたら」と笑顔で語る、上原さん。

 デジタルだけど、アナログ。自作したレンズを、デジカメに取り付けて撮影する、というのもポイントだ。「デジカメは1枚ずつ確認できるので、実験結果からすぐに改良を加えていけるメリットがあります」

 白衣を身に付け、実験室から抜け出してきたような教授風の姿で、写真の撮り方や工作レンズのワークショップを行うこともある。手作りの蛇腹レンズを伸び縮みさせてピントがあった時には、思わず「わっ!」と声を上げ、感動する人もいるそうだ。

 レンズの作り方や、実際に撮影した写真の作例は、「上原ゼンジ写真実験室」と題して、自身のブログやYouTubeなどの動画サイトで公開中。インターネットを通じてこの遊びが広がることで、玉をたくさん並べた“宙玉写真”や“水中宙玉写真”など独自に進化させる人が現れ、刺激を受けることもあるそうだ。お菓子の空き箱での工作を提案した「宙玉レンズ」も現在では7種の製品が販売されている。

 「小さな発明と小さな発見」が上原さんの写真のテーマ。上原さんの作品には、子どもから大人まで楽しめる「写真本来の楽しさ」が詰まっている。

(文・山田敦士)

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PROFILE
上原 ゼンジ(うえはら・ぜんじ)
1961年さいたま市生まれ。実験写真家。美学校考現学研究室にて赤瀬川原平に学ぶ。同時期に雑誌編集者として勤務。1986年、写真集団「FOTO SESSION’86」に参加。森山大道に2年間写真を見てもらう。2009年、「宙玉レンズ」を考案。現在は製品化され、海外でも販売されている。
宙玉(そらたま)サイト

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