小川フミオのモーターカー

バランスのよさが光る「トヨタ・カローラ(5代目)」

  • 世界の名車<第198回>
  • 2018年2月5日

1500ccエンジンがメインで、1300ccや1600ccそれに1800ccディーゼルもあった(写真提供=トヨタ自動車)

 ぼくが好きなカローラは初代と、もうひとつ、この1983年発表の5代目だ。バランスのいいスタイルがきれいだからだ。使い勝手のいいハッチバック車の設定もよかった。

 カローラといっても若いひとにはピンとくる車種ではなくなったかもしれない。66年に初代がデビューして以来、いまも(日本では「カローラ アクシオ」とステーションワゴンの「カローラ フィールダー」として)続くシリーズだが、落ち着いたスタイルが上の世代のイメージであることは想像できる。

 ぼくが運転免許をとった70年代には、初代カローラもまだ中古で(激安で)売っていた。カローラはモデルチェンジするたびにそれなりに話題になったが、87年の6代目あたりからトヨタ自動車の豊富なラインアップのなかに埋もれてしまった感もある。

 5代目はカローラの歴史にあって、ひとつのマイルストーンとして際立っているように思う。特徴的なのは質感のあるカーブを持つボディーと、前輪駆動方式だ。

ハッチバックの設定も注目すべき点で、ボディーはほかに2ドアクーペやワゴンもあった(写真提供=トヨタ自動車)

 それまでは旧態依然とした後輪駆動だったカローラだが、フォード、オペル、ルノー、フィアットといった各国の同クラスのモデル同様、前輪駆動方式を採用したのだ。

 前輪駆動の利点はプロペラシャフトなどがなくなるため、限られた外寸に対して室内空間や荷室などを比較的広くとれるところにある。

 4代目だってクルマとして悪くないし、スタイリングの面でも「リフトバック」というユニークなモデルもあった。それに対して5代目は欧州的な雰囲気を持つ点が好ましかった。

セダンをベースにしているのでリアクォーターウィンドウのデザイン処理が苦しいものの、欧州的な雰囲気がよかったハッチバック(写真提供=トヨタ自動車)

 販売系列によってカローラにはスプリンターという双子車が設定されてきたが、5代目になってやや見直され、スプリンターは少し上級のグレードという位置づけになった。

 もうひとつ。ラインアップにおける特徴は、系列のモデルを増やしたことだ。「カローラFX(84年)」をはじめ、「スプリンターカリブ(82年)」や、中身はより小さな前輪駆動のターセル/コルサと同じ初代「カローラII(82年)」といったぐあいだ。

 それらをみると、いまでいうSUVだったりハッチバックだったりで、本命ターゲットが若々しいライフスタイルを好む層とされていたことがわかる。そのあと市場の好みに合わせてどんどん多品種化して、スタイリングも多様化した。

 それでもトヨタは日本を代表する大衆車という矜持(きょうじ)のようなものをカローラに対して抱いていたのではないだろうか。

 カローラの名前は捨てなかった。スタイリングもセダンとステーションワゴンを守った。そんな作り手の姿勢が、いまの「カローラ アクシオ」と「カローラ フィールダー」に感じられる。

 アクシオにしてもフィールダーにしても、乗るととてもいい。外観は地味めだが、ハイブリッドを含めてどのモデルも、パワーの出かたやハンドルを切ったときのクルマの動きも素直で、自然体で乗っていられる。

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 カローラのDNAはずっと残っているという感じだ。いや大事にされているというべきだろう。前輪駆動化された5代目「カローラ」こそ、そんな現在のカローラ・シリーズの再スタート地点だったとぼくは思っている。

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