密買東京~遭遇する楽しみ

静かな狂気を宿すシャンデリア アートとプロダクトの境界を突き破る

  • 2018年2月22日

SF的な迫力の造形美を誇るシャンデリア。でも実は既製のプロダクトを再構成することで作られています

 まるで映画に出てくる未来都市のよう。構築的なフォルムのかっこ良さと迫力に圧倒されます。

 見慣れた工業製品が、なぜ迫力ある造形物に生まれ変わったのか。そこには必然性があるのです。

 プロダクトと作品の境界を突き破り、一気に新しい領域へと突入した物体の登場に、猛烈にワクワクさせられます。

「1000 combination locks」という作品。なんと1000 本ものワイヤ錠を使った80kgの鉄の塊。パズルとしてダイヤル錠を解除して遊ぶことも! 3桁1000 通り1000 本!

 最近の岡本さんは狂っています。もちろん、最上級に良い意味で。

 以前、アトリエに遊びに行ったときには、完成したばかりの巨大なワイヤのボールが机の上に置かれていました。

 重さ80kg。

 巨大な鉄の毛玉。というか、映画「鉄男」の世界がいきなりゴロリ……と転がり出てきたような、ド迫力の鉄の玉。

 正体は、自転車などに使うワイヤ錠。その数なんと1,000本というのだから本当にヤバいです……。

「construction chair」。481本の銅の角管をハンダ付けして作った、重さ120kgの椅子。静かな狂気をたたえています

 次に会ったとき。岡本さんは鈍く光る角張った金属の塊を、いとおしそうに磨いていました。

 猛烈にかっこいいその金属塊は、481本の銅の角管を自らハンダ付けして作った椅子。その重さ120kg。

「construction chair」と名づけられた、この狂気の椅子は、以前発表された「composition chair」からの連作です。

 前作「composition chair」もアルミのワイヤを編むようにして、岡本さん自ら6カ月もかけて作り上げたという、狂気のたまもの。

 そして……。

「composition chair」。アルミのワイヤを6カ月もかけて自らの手で編み上げたという椅子。完全に狂気の沙汰です

 今回紹介するのは、共栄デザインの「reconstruction chandelier(リコンストラクションシャンデリア)」。

 上で書いた岡本さんというのは、共栄デザインのデザイナー・岡本光市さんのことです。

 もはや説明不要。一目で完全に心奪われたこの造形、この迫力。

 これほどのダイナミックさを湛(たた)えながら暑苦しさを感じさせないのは、全て同じ部材だけを組み合わせるという、ミニマルな構成ゆえです。

今回ご紹介する「reconstruction chandelier(リコンストラクションシャンデリア)」。説明不要のかっこ良さと迫力

 説明不要と言い切ったのに、あえて説明しますが……。

 使われている部材は全て工事現場などで良く見かけるクリップランプです。「既製の照明器具を再構成することで、作品が作れないか」と考えていた岡本さんの目にとまったのが、日常的に身の回りで使っているこの工業用クリップランプだったそうです。

 匿名的で実用的。意味の付加されていないクリップランプの潔い形と、クリップの連結によってどこまでも構築されていく造形の面白さに触発されて、このreconstruction chandelierは作り上げられました。

 見た瞬間に、脳天を直撃するかっこ良さ。クラクラとしびれながらも追いかける視線の先には、まるでSF映画のセットのような未来都市の風景が広がっていて……。

 視線はさらに奥へとダイブしてします。

SF映画に出てくる建築物のような構造美。全て既製品のクリップランプを再構成して作っています(撮影・千葉敬介)

 まずは解体。既製のクリップランプを、一度バラバラにするところから、このreconstruction chandelierの制作はスタートします。

 バラバラにされた12個のクリップランプは、生まれ変わるために組み上げられ、接合、溶接されます。

 組み上げられたその見た目は、ロボットのようでもあり、未来都市のようでもある。まるでSF映画に出てくるようなその姿に、作り手の岡本さん自ら触発され……。そして、この黄金色をまとわせることを決めたのです。

金色に輝く姿はただならぬ存在感です(撮影・千葉敬介)

 めっきを施された金色。実物を見たら、まっ先に度肝を抜かれるのは、造形の迫力よりも、むしろ色かもしれません。

 実はこのめっき、24金です。

 知りませんでした。金めっきが本物の金でコーティングする行為を指す呼び名だということを。

 金色にすることではなくて、金をまとわせること。それが金めっきの意味。そして24金で生まれ変わったこの工業製品は、もはや元のそれとは完全に別次元の磁場を放つ存在になっています。

 これぞ狂気の成せる業。その狂気を見事にプロダクトに変換してしまったのが、岡本さんの底知れぬすごさです。

 冒頭で紹介した3点は、アーティスト岡本光市の作品という位置付けにある一点物。共栄デザインの中でも、他のプロダクトとは一線を画す存在です。

 それらの作品を生み出す過程で手に入れた異次元的なモノ作りの手法を余すところ無く注ぎ込んで構築された、量産可能な作品。きっとこのプロダクトは、そんな位置付けになるのでしょう。

 この迫力を、楽しんでもらえたらうれしいです。

(文・千葉敬介 写真・yuichi yamaguchi)

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