キャンピングカーで行こう!

キャンピングカー「ベース車両と架装」の関係を考える

  • 文 渡部竜生
  • 2018年2月28日

お値段、気になりますよね。表示されているのは車も架装も全部込みの金額です

  • 架装するのは断熱材の関係もあって、最初からフロアも鉄板むき出しのほうが好都合なのだ

  • 上は市販ハイエースのDXクラス(最下クラス)。下はハイエースのキャンパー特装。グリルやドアノブがメッキパーツになるだけで、外観の雰囲気はがらりと変わる

  • 何かの冗談のようだが、これがフィアット「デュカト」のキャンパー特装。前輪駆動なので、工場出荷時には後輪すらない。ビルダーが車両に合わせて後部のシャシーを用意する(Photo:Fiat Chrysler Automobiles)

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 ショーなどでたまに受ける質問に、こんなものがあります。

 「ここに書いてある値段って“改造費”ですよね? 元になる車の代金は別ですよね?」

 キャンピングカー=高価なもの、という先入観があるせいでしょうか。きれいに架装された車が丸ごと買えるお値段だとは思えないのでしょう。

 キャンピングカーショーなどで展示されている商品の価格は、荷台に載せるだけのトラックキャンパーや一部のベッドキットなどを除けば、すべてベース車両込みの値段です。

「キャンパー特装車」ってなに?

 ビルダーはベースとなる車両を自動車メーカー(の販売会社)から仕入れ、架装を施してキャンピングカーとして販売します。ベース車両は車種にもよりますが、多くは「キャンパー特装」といった名称(メーカーによって異なります)でメーカーが用意しているもの。架装専用の車両で、一般には売られていない特別仕様です。

 例えばトヨタ「ハイエース」のキャンパー特装では

・リアシートがない。
・床のマットが張られていない。
・運転席と助手席が最上級グレード(スーパーGL)のもの。

 などなど。ほかにも細かな点で一般市販車と違うところはたくさんあります。

 国産キャブコンのベースに使われるトヨタ「カムロード」も、一般向けに販売はされていません。元になっているのはトラックの「ダイナ」。市販車のダイナと比べると

・リアのサスペンションが専用のワイドトレッド。
・オルタネーター(エンジンに取り付けられたDC12Vの発電機)が大容量化されている。
・運転席後ろのガラスが取り付けられていない。

 他にもさまざまな違いがあります。

 つまり、キャンパー特装とは

・キャンピングカーとして架装する前提で、不要な部品が元から外してある車両。
・前列座席は元車両の上級グレードにしか付かない部品がついている車両(=ラグジュアリー仕様)。

 ということです。

 それではなぜ、キャンパー特装があるのでしょう。それは「少しでも原価を抑えて、より安価に良い車を作るため」です。

 例えばシート。キャンピングカーは商用車ではありませんから

・運転席と助手席のシートは、実用一点張りのものよりも上質な物が欲しい。
・2列目以降のシートは居室用(キャンピングカー専用)のシートを使うので、元のシートは使わない。

 という事情があります。

 運転席と助手席のシートを上質なものにするために市販車の上級グレードを仕入れたら、その分車両の価格も上がります。シート以外の内装も豪華にはなりますが、居室を架装する際には一通りの内装をはがして断熱材を仕込み、家具や設備を取り付けます。せっかくついていた椅子や内装はゴミになってしまうというわけです。だったら、欲しいものといらないものを整理してキャンピングカー専用車両(キャンパー特装)にすれば、価格は抑えられるし、ゴミの処理費もかかりません。

中古車をベースにはできないの?

 ベース車両のコストを抑えたいなら、「中古車を架装すれば?」という人もいます。中古車は新車より安いもの。それは常識ではありますが、キャンピングカーのベース車両はキャンパー特装車。新車でありながら価格は抑えられ、捨ててしまう装備(後部シートや余分な内装など)は最初からついていません。一方、中古車は普通の乗用車ですから、架装に不要な後部座席や内装の処分費が発生します。さらに、程度の良い中古車は高価ですから、かえって高くつくことになりかねません。だからといって低価格重視で中古車を選べば、走行距離が長いなど、車両の状態によってはトラブルが出る可能性も出てきます。

 日本のビルダーは優秀ですから、架装部分は長年の使用にも耐えるように作られています。架装部より先に車の寿命が来てしまったら、とてももったいないことになりますよね? そのためビルダーは基本、新車に架装をするのです。

今の愛車に架装できる?

 前述の中古車架装と似たようなケースとして「持ち込み架装」があります。例えばハイエースなど、愛車がキャンピングカーのベースに使われている車両ならば「これに架装してもらいたい」という方もいるのです。

 これなら、取り外す後部座席の処分費はかかったにせよ、もともと自分の車ですから車両代はかかりません。

 とはいえ、中古車と同じ問題はまだ残ります。つまり、

・愛車の程度によっては、せっかくキャンピングカーにしたのに、思ったより早く車の寿命が来るかもしれない。
・後から架装することでトラブルが発生しても、責任の所在がはっきりしない場合もある。

 という懸念があるのです。

 現在の愛車がワンオーナーで新車から乗り続けているなら、オーナーは来歴を承知しているのでトラブルは少ないと思われます。実際、一部には持ち込み架装を受け付けているビルダーもあります。持ち込み架装を希望するなら、愛車の状況を把握したうえで、詳細に検討する必要があるでしょう。

 走っている間は車。止まっている間は家。キャンピングカーは奥が深く、どこをどう評価するかも多岐にわたります。いずれにしても、何より大切なのは安全性。価格と品質をじっくり検討して、自分にとって最善の一台を検討してみるのも楽しいものです。

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