作家・夢枕獏の「変態的」長編愛とは?
北方謙三、春風亭昇太、押井守…著名人が続々証言。
スペシャル動画公開中[PR]

  • 2018年3月26日

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 数多くの長編作品を手掛け、映画化作品も多い人気作家・夢枕獏。しかしその創作風景は、「変態的」だった?! その真相について北方謙三など夢枕獏と関係の深い著名人が証言したスペシャル動画が公開中だ。映像を手掛けるのはPRIDEなどの格闘技選手紹介映像を手掛け、「60億分の1の煽りVアーティスト」と言われる佐藤大輔氏。果たしてその「変態性」とは何なのか? そして夢枕氏が本当に読んでほしい長編作品とは? スペシャルゲストも続々登場、ファンならずとも必見の映像をぜひその目で確認してほしい。

 獏は、大いなる混沌であり、幸福な地獄であり、いまだ全貌を見せない宇宙である。そこから紡ぎ出される物語は、終わるところを知らず、常に人の世を震撼させ続ける ――北方謙三

夢枕獏や著名人がおすすめする長編作品とは?
長編への想いを各氏がコメント

  

永遠に書き続けられて、永遠に終わらない物語・・・・・・これが私の理想だ。

 虫に生まれかわっても …………………………… 夢枕獏

 子供の頃から、本を読み終えてしまうのが嫌だった。どうして物語に終わりがあるのか。読んでいる物語の残りページがだんだん少なくなってゆくのが悲しかった。読み終えたくない。ずっと永久にこの物語を読んでいたい。

 そのためかどうか、物語作家として生きてゆくようになってざっと40年、書く物語の多くが長い。30年以上かかって書きあげた物語、30年以上かかってまだ完結していない物語、そういうもの多数。今連載中のもの11本。今年67歳。これって、ちょっと変態じゃないの。これまで数百冊の本を書いてきたが、そのほとんどが長編である。しかし、売れたものばかりではない。売れなかった本の方が圧倒的に多い。あたりまえのことだ。あたりまえのことなのだが、これが哀しい。こんなにおもしろいのに、こんなにがんばったのにと、ついついおろかな言葉を口にしたくなってしまう。がんばれば結果が約束されるならこんなに楽なことはない。がんばったあげくに結果が出ない、それがまた生きてゆくということの難しさであり、逆にまたおもしろさでもあるのだ。

 しかし、泣きごとを言うかわりに、自ら、自分の書いた物語を再度世に問いなおすということは許されるであろう。

 今回、作者本人から皆さんにぜひともお薦めしたい長い物語がふたつある。『大江戸恐龍伝』と『東天の獅子』がそれである。この二作品をぜひ、皆さんに読んでいただきたく、このような広告を出すことにしたのである。これに『陰陽師』を合わせたのは、一物語作家としては過分な評価をいただいているこの物語の力を借りて、前記二作品の後押しをしてもらうためである。

 何であれ、我々は、考えて考えて、脳が鼻の穴から垂れ出てくるほど物語のことを思いぬいて書いてゆくしか方法がないのだ。

 ああ、来世で虫に生まれかわっても、物語作家として生きたい。

■中島かずき (脚本家)が薦める 夢枕長編

  

大江戸恐龍伝

構想から完結まで20年。

平賀源内、恐龍と戦う!

□小学館 □2015年、文庫第1巻発行、 16年6巻で完結

 読み終わった時の興奮を今でも思い出す。これはもう、立派な時代小説であり立派な冒険小説であり立派な伝奇小説であり立派な怪獣小説であり、そして立派な平賀源内評伝という、すさまじく高い志とアクロバティックな趣向を成功させた大力作にして大傑作。

 それぞれのジャンルのはずしちゃいけないツボをきっちり押さえた上で、ひとつの物語として完結させる。こんなこと、なかなかできることじゃない。その腕力の冴え、改めて物語作家としての夢枕獏の実力を思い知らされた。ぜひ、潤沢な予算で映像化してほしい。日本にしか出来ない怪獣映画の可能性がここにあるのだから。

■北上次郎 (文芸評論家)が薦める 夢枕長編

  

東天の獅子

柔術から柔道へ。強者たちの青春を描く熱血大ロマン!

□双葉社 □2014年、文庫「天の巻」第1巻発行、同年11月、4巻で「天の巻」完結

 夢枕獏の小説はなぜ長くなるのか。それは必ず途中で横道に逸(そ)れるからである。具体例を出したいがスペースの都合で我慢する。そういう意味で、本書は象徴的な作品といっていい。これは、20代のときにアメリカに渡り、2000試合して無敗。最後はブラジルに渡ってその生涯を終えた明治時代の柔道家前田光世が主人公なのである。ところが、その前田が世に登場するまでの柔道創成期の話で全4巻になってしまった長編だ。なんと、主人公が登場していない(最後に、ちらっと出ているが)。いつもは途中で逸れるのだが、ここではなんと最初から逸れているのだ! その意味ではいかにも夢枕獏らしい作品だ。

■池井戸潤が薦める 夢枕長編

  

陰陽師

安倍晴明、平安京の闇を解き明かす。

30年以上人気の国民的ベストセラー!

□文藝春秋 □1991年、文庫第1巻発行、 最新巻は2017年「螢火ノ巻」

 毎晩のように「陰陽師」を読んでいた時期がありました。豊かな筆致で楽々と物語を紡げる作家が余裕をもって書いているから、四季の庭を眺めながら晴明と博雅がほろほろと酒を飲む冒頭の一行から作品の空気感がぴたりと決まっている。池波正太郎さんの作品にも通じるような心地良さがあって、いつまでも読んでいたくなる。それに、獏さんも池波さんも、誰もが納得する結末をサラッと書いてしまう。これが実は難しいんですよ。僕自身は作品にあまりゆとりを設けずに詰め込むタイプで、文章も文体も異なりますが、獏さんの作品のおおらかな心地良さがうらやましくなることがありますね。

 2017年には第65回菊池寛賞、第21回日本ミステリー文学大賞をW受賞し、押井守による「キマイラ」の映像化が決定するなど話題豊富、まだまだ止まらない夢枕獏作品。2018年は夢枕作品の「変態的」な長編の海におぼれるのも一興だ。

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