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今日から始める「インターネット小商い」のススメ

  • 文・りょかち
  • 2018年3月14日

 昨年、政府が「働き方改革」のひとつとして副業・兼業の普及促進を打ち出したことで、2018年は“副業元年”と呼ばれています。そして、副業について語る時に出てきがちなのが「ネットでお金を稼ぐ」という言葉。

 しかし「ネット」という言葉が出てくると、いまだに「ワカモノの文化」という雰囲気がどこかにあるような気がします。Twitterの日本上陸が2008年。当時新しい文化だったTwitterに目を輝かせる大学生だった彼らも今や、30代になるというのに。

いま始めても追いつける。それがネットの世界の良さ

「ネットで稼ぐ」はワカモノだけのものじゃない

「ネットでお金を稼ぐ」という言葉を耳にする機会は多くとも、実際に周りで始めている人が多くいる環境に身を置く人はどのくらいいるのでしょうか。

 私は「これからは『インターネットおじさんの時代』」だと言い続けています。すでに数多くのニュースが出ているように、今年は決済や金融、シェアバイクルなどの社会インフラをITが変えていく時代になるはずです。そしてその主役となるのは経済のど真ん中にいるお父さん世代。

 少し前までは、「お父さんはインターネットがわからない」というのが典型的なリビングの風景でしたが、今や「お父さん」といえば、毎日のビジネスコミュニケーションでメールを使いこなし、人によってはタイムマネジメントや読書、自主学習までをすべてアプリを利用して行う時代。10数年後にはインターネットを使いこなす「デジタルシニア」が一般的になるでしょう。

 インターネットは若い人がやるもの、という時代は終わっています。そして、ネットで「商人」の顔を持っているのはワカモノだけという考えも。

「インターネット大おじさん時代」はすでに未来ではなく、足音が耳元で聞こえる現在の話。まだ、「インターネットはコワイモノ」と敬遠している方々におかれましては、2018年は気軽にできそうでありながら、いざとなると腰が重い「インターネットことはじめ」に、さらには「インターネット小商い」に挑戦してみることで、自分の身をネット市場にさらしてみてはいかがでしょうか。

 そこには、血流が思わず良くなるような、刺激的な旨味(うまみ)と苦味(にがみ)があふれています。

 

Over50からはじめる「デジタルクリエーター」の実例

「インターネット小商い」および「デジタルシニア」から見える明るい未来は、私のつたない言葉よりもきっと、実例をのぞいて見たほうがクリアに描けるはず。

 例えば、目立った例で言えば、少し前にはMicrosoftのExcelでLINEスタンプをつくるおじさんが話題になりました(参照:BuzzFeed News記事)。田澤誠司さんは、ビジネスツールであるExcelの技術をLINEスタンプに適用して一躍有名となり、人気クリエーターとして多くの人に知られる存在になっています。

 また、WWDC2017(Appleが開催している技術者向けイベント)にゲストとして呼ばれた若宮正子さんは83歳(参照:BuzzFeed News記事)。彼女はシニア向けゲームアプリを作成したことが注目を浴びて、米国のサンノゼという遠い街までスペシャルゲストという大役を担って飛び立ったわけですが、プログラミングをはじめたのは80歳を過ぎてから。どんなインタビューを読んでも、「ワカモノ」と呼ばれる私でも難しいのでは? と思ってしまうプログラミングについて、彼女はキラキラと楽しそうに語っています。

 さらに身近な例で言うと、自分の趣味の料理をYouTubeにあげていたら書籍化の依頼が来るかもしれない。ひたすら育児グッズオススメ日記を書いていたら、BLOG内に貼っていた広告で気づかないうちに利益が膨れ上がっているかもしれない。日々の気づきをTwitterに書いているだけで、人気者になって講演の依頼がくるかもしれない。チャンスは数多く転がっていて、そのシルエットも様々なのです。

 

「餅は餅屋」文化が加速する現代で、あなたは「餅屋」になれるか

 先に紹介した事例はインターネット技術を駆使したクリエーターの例が多いですが、他にはオフラインにある自分の「とくい」を活用して、気軽に「商い」をはじめることも可能です。

野菜の直販にもアプリが使われるようになりました

 最近はメルカリなどのフリマアプリで自分の作品を売買する人が増えているとのこと。東京から遠く離れた地方から野菜を出品する農家の人もいれば(参照:BuzzFeed News記事)、自分の手作りの製品を売りに出す人もいるそう。メルカリはすでに、世代を超えた現代の「楽市楽座」となりつつあります。

 また、minne(ミンネ)というハンドクラフト品のマーケットサービスでは、たくさんの人が自分で作ったピアスやスカートを販売しています。noteというブログサービスではユーザーに有料で記事を公開することができますが、その有料記事の中には、特定の職種の専門的な知識に関するものが売られている事例がたくさんあります。

 さらに、海外で大人気のUberという配車サービスは、誰もがタクシー運転手になれる世界を実現しました。そのプラットフォーム上で一般人が販売しているのは「時間」と「運転」です。また、最近私は家事代行サービスを利用することが多くなりました。そのサービスでは、私の家にサイト上でマッチングした女性が来てくれ、家中をピッカピカにしてくれます。彼女たちはその「掃除スキル」を仕事にしているのです。

 インターネットが世の中に浸透し、人と人とを広範囲かつ柔軟に結び付けられるようになればなるほど、「餅は餅屋」文化は広がっていきます。なぜなら、「自分がやらなくても、それをより速く完ぺきにこなしてくれる人に任せる」ことが容易に可能になっていくから。そしてそれは、“専門的スキル”と呼ばれているものだけではなく、一般人が普通にやってきた「家事」なども含まれるのです。

掃除や洗濯といった家事は、プロに任せた方が効率的かもしれません

 

「今日からはじめる」が後れをとらないインターネット世界

 私たちは、どんどん「自分がやらなくていいこと」を機械やプロフェッショナルに任せるようになっています。そしてそんな時、強みを得ることができるのは、その仕事を誰かに任せることなくやってきたOver35世代でしょう。

 自分がやらなくていいことを他人に任せてきたことと引き換えに、ワカモノ世代は多くの知識を失いつつあります。ほとんどのワカモノが着物の着方を知らないように、数年後のワカモノたちは、アイロンのかけかたも知らないかもしれない。そして少数だけの人が知り得ているスキルは、特定の強みになっていくのです。

 また、失ったスキルは周辺知識も奪います。着物に付随する色彩のルールやマナーといった単純な知識から、そこに含まれる日本人的な気遣いを私たちは知りません。だからこそ、知っている人にとってそれはアドバンテージとなり得るし、また、自分が発信するアウトプットの個性にもなるかもしれないのです。

 コンテンツが飽和し、多くの人が時間を細切れにしながらエンタメを消費する一方で、そのマネタイズが課題となっている昨今。リッチでプロフェッショナルのみの手で作られた上質なコンテンツを消費してきたOver35世代こそ、新しいエンターテインメントの作り手になれるのかもしれません。

 インターネットは流れの早い世界です。流行はすぐに入れ替わり、同時に打席に立つ人間も変わっていく。そしてそこに必要な技術や文化の基盤もまた、目まぐるしく変わっていきます。それは残酷なようにも見えて、年代関係なく誰もが思いを掲げた時から平等に闘えるやさしい世界でもあります。

 現代は、それぞれがそれぞれの輝きを武器に全力で競り合う時代。経験豊富で、少しずつ着実に積み重ねてきたスキルを糧に、次に世の中のスポットライトを浴びるのはあなたかもしれません。

 

筆者プロフィール

りょかち

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。学生時代より、ライターとして各種ウェブメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題になる。新卒で某IT起業に入社し、アプリやWEBサービスの企画開発に従事。現在では、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。
Twitterは@ryokachii

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