小川フミオのモーターカー

ウェッジが迫力のスポーティクーペ「トヨタ・セリカXX」

  • 世界の名車<第206回>
  • 2018年4月2日

写真の「2800GT」は初代ソアラと共用の2759cc直列6気筒エンジン搭載で、5段MTと4段ATが用意されていた(写真=トヨタ提供)

 くさび形のフォルム、格納式ヘッドランプ、大きなエンジン……すべてが“時代”だが、不思議と古びて見えない魅力を持つ2代目セリカXX(ダブルエックス)だ。

 発売されたのは1981年。ウェッジシェイプと呼ばれたスタイルこそ、まさにスポーツカーと受け止められた。

 真横からみると、ドアのストッパーとかに使われる“ウェッジ(くさび)”のような三角形を思わせる。それでこう呼ばれた。

 このスタイルに先鞭をつけたのは英国のロータスだが、ロングノーズのセリカXXはさしずめ日本代表。いま見ても迫力を感じさせる。

全長4660ミリ、全幅1685ミリ、全高1315ミリでホイールベースは2615ミリ(写真=トヨタ提供)

 ダブルエックスとは、そもそも、セリカが2代目にフルモデルチェンジした際、78年に発表された車種だ。セリカXX初代の特徴は2563ccの6気筒と、セリカより大きなエンジンとぜいたくなつくりにあった。米国市場を見ながら開発されたモデルである。

 セリカXXの2代目はセリカが3代目に変わったタイミングで登場した。セリカと同様、直線を基調としたスタイルが、速いクルマを作りました、という明快なメッセージを伝えるのに成功した。

短い前後長のルーフに大きなリアクォーターウィンドウの組み合わせというテーマはソアラやカローラ・レビン(83年)と共通(写真=トヨタ提供)

 スポーツカー的な側面をみれば、DOHC化されて、初代の最高のグレードで140馬力から170馬力へとパワーアップしたエンジン、ホイールベースを短くするいっぽうでトレッドを拡大したシャシー、全輪に採用された通気式ディスクブレーキなどが挙げられる。

 もうひとつ、2代目セリカXXの特徴は、ソアラ(初代)の姉妹車という位置づけだ。エンジンも同じ、デジタルメーターや、「世界初のナビゲーションシステム」とメーカーが謳(うた)った「ナビコン」も採用されていた。

上級グレードにはデジタルメーターの設定もあった(写真=トヨタ提供)

 トヨタ自動車の説明によると、ソアラが「ラグジュアリー」で、セリカXXが「スポーティ」という性格分けがされていた。

 スポーティクーペにしては大きくて豪華なシートには違和感もあった。が、もし目論見(もくろみ)どおりにいけば、スポーティさとエレガントさを両立させているメルセデス・ベンツやBMWといったドイツメーカーと同様の成功を手にすることも出来たはずだ。

2800GTのインテリアは米国的な?豪華な雰囲気がある(写真=トヨタ提供)

 車名のXは未知数を表す、とトヨタは説明していた。日本の自動車界がのぼり調子にさしかかった81年は、このウェッジシェイプは大きな可能性を感じさせた。

 実際に走らせると、あいにく、見た目ほどスポーティでなく、性格がちょっとあいまいだった。それはトヨタが最も分かっていたはずだ。

「姉妹車」とされた初代ソアラと共用した2.8リッターエンジンはDOHC化されていた(写真=トヨタ提供)

 86年にセリカXXのフルモデルチェンジが行われ、スープラと名称変更。スープラは2代にわたってよりスポーティな路線を追求した。その頃「ライバルはポルシェやフェラーリ」とされていた。

 理想だけでどんどん突っ走ってしまった感もある(応援もしていたのだけれど)。結局、市場がうまくつくれず姿を消すことになってしまった。

[PR]

 ぼくは2代目で、迷わずBMW6シリーズのような路線を選択していれば、マーケットにしっかりした基盤を築けたのでは、と思っている。クルマづくりはむずかしい。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ

Pickup!