一眼気分

魅力的だけど難しい被写体 今年のサクラ撮影に挑んで

  • 文・写真 宮田正和
  • 2018年4月3日

今や名物となった調布、野川の夜桜。一夜限りのショーに大勢の人が訪れる Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 120-300mm/F2.8 DG OS HSM SP:1/20 F:2.8 ISO:640

 春の桜と秋の紅葉は四季のある日本ならではの自然の造形美だが、やはり写真を撮っているとどちらも気になる。それと同時に毎年巡ってくる自然の摂理の不思議さに改めて驚かされる。

今回の撮影地は東京都、調布市を流れる野川。狭い川なので桜に圧倒される Canon EOS 5D Mark IV(WG)+ SIGMA APO 70-200mm F2.8 DG OS HSM SP:1/3200 F2.8 ISO:125

 残念だがこのコラムが読まれる頃には桜は満開になっているか、もしかしたら既に散っているかもしれない。その場合には北へ向かうか、満を持して来年を待って欲しい。なぜならこのコラムを読んで、写真を見ると絶対に桜の写真を撮りたくなるはずだからだ(笑)。

野川沿いのこのエリアは川原も自由に歩けるので、多彩なアングルを選べる Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 120-300mm/F2.8 DG OS HSM SP:1/1600 F2.8 ISO:125

 桜前線や桜吹雪という言葉があるように年に一度、日本人の心を晴れやかで気分の良いものにしてくれる桜。最近はライトアップされた夜桜や趣向を凝らしたイベントなども広がりつつあり、「桜=お花見」という単純な図式は成り立たなくなっていて、写真を撮る立場からすると変化がついてうれしい。しかしこの桜、撮影するとなると実はなかなか手強い被写体だ。正直に言えば、花より団子(笑)。僕があまり得意ではない写真の一つでもある。

川沿いの遊歩道には民家が隣接しているので、これも特徴的な一枚 Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 120-300mm/F2.8 DG OS HSM SP:1/1250 F2.8 ISO:125

 いろんな思惑を込めて狙ってみるものの、思ったような写真にならないことも多く、そしてリベンジの機会を待つと普通は1年後になるのだから大変だ。ここで普通と言ったのは中には桜前線を追いかけて、暖かい地域から北上してくる写真愛好家も多数いるようだからだ。

桜の季節には花見やお弁当持参で楽しむ姿も見られる Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 120-300mm/F2.8 DG OS HSM SP:1/800 F2.8 ISO:125

 蕾から花への開花のプロセス、散りゆく儚(はかな)さと切なさ、桜の持つ魅力をどう伝えようか。僕も過去から現在まで色々と試行錯誤を繰り返してきているのだがこれといった一枚をいまだに生み出せていない……。

地元企業、有志により年に一度、3時間だけという限定のライティングによる夜桜 Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 14mm F1.8 DG HSM SP:1/160 F1.8 ISO:640

 では具体的に桜を撮る上で何が難しいのかというと、まずは「色」だ。

 あの微妙な白とピンクの間のようなソメイヨシノの色合いを綺麗に表現することが難しいのだ。青空や緑がうまく背景になれば色のコントラストもついて見栄えがするのだが、くもり空だと途端に色あせて華やかというよりは寂しそうな表情に見えてくる。そして「ピント」だ。いったいどの枝、もしくはどの花にフォーカスすればいいのか? 花の数が多すぎて迷ってしまう。そんな理由もあり僕は苦手なのだが……。

午後6時から照明が点灯、空の色のグラデーションに桜が映える Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 14mm F1.8 DG HSM SP:1/400 F:1.8 ISO:640

 ただ苦手なりに最近感じているのは満開で咲いている桜の花よりも、散って水面に漂う花びらや、風に舞う花びらの方が私的には好きかもしれないということだ。自分が天邪鬼なのか、満開の桜は綺麗なのが当たり前で、どうしても斜にかまえてしまう。本当は綺麗なものは素直に綺麗だ、と撮ればいいのだろうが。いずれにせよ桜の撮影で自分自身の写真でも納得のいく一枚を生み出すために今年もチャレンジしてみた。

完全に陽が落ちると全く異なる表情を見せる。黒い帳(とばり)と桜の対比が幻想的だ Canon EOS 5D Mark IV(WG)+SIGMA 14mm F1.8 DG HSM SP:1/200 F:1.8 ISO:640

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 そして僕が写真を撮るときに必ず意識するのは、例え景色でもただの風景ではなく、そこに人が写り込んでいること。これが基本になる。フレームに人が写り込むことにより、見る人によって十人十色、様々な物語が始まる……、そしてこれが写真の醍醐味だから。

 桜の撮影で肝心なのは当日の天気と背景ということになる。やはり撮影には運とかツキみたいなものはあるようで、その持ち合わせが僕にあったかどうか。果たして2018年の桜はどうだったのか……、僕の「写心」は「写真」に表れているのだろうか、その評価はご覧になった方々に委ねよう。

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