キャンピングカーで行こう!

キャンピングカーでの「眠りの質」を考える

  • 文 渡部竜生
  • 2018年4月11日

フラットで寝心地の良いベッドは、キャンピングカーの要。欧州車によく使われるプルダウンベッドは常設ベッドながら、不要な時には収納しておけるのでスペース効率の良さが魅力だ

 走る生活空間。そんなキャンピングカーの本質とも言えるのが「就寝できる」ということです。

 キャンピングカーの中でも8ナンバー(特種車両)登録される車は一定の「構造要件」を満たしていることが前提です。その要件の中には就寝用設備(ベッド)について、法的に細かな取り決めがあります。それはこの二つ。

・就寝部位の上面は水平かつ平らである等、大人が十分に就寝できる構造であること
・就寝部位は1人につき長さ1.8m以上、かつ、幅0.5m以上の連続した平面を有すること

 今回は重要な「眠り」について、お話ししましょう。

ベッドは常設? 展開式?

 キャンピングカーには乗車定員と就寝定員というのがあります。乗車定員とは、車として乗ることができる人数のこと。それに対して就寝定員とは「寝られる人数」のことです。

 簡単にまとめると、

■乗車定員違反は法律に触れます
→定員8人の車に9人以上乗車すると違反。
→定員11人以上の車には「中型以上運転免許」が必要。

■就寝定員以上の人数が寝ても法的罰則はありません
→就寝定員4人のキャンピングカーに5人以上が寝ていても、何ら問題はありません。ただ、狭いだけでしょう。

■就寝定員は乗車定員の1/3以上
→構造要件上、就寝定員は乗車定員の1/3以上と決められています。たとえば8人乗りの車両であってもベッドが1人分しかなければ、キャンピングカー登録はできません。

 さて、そんなベッドですが、その種類は大きく分けて二つ。
 常設ベッドと展開式ベッドです。

 常設ベッドは文字通り、走行中を含め常時、ベッドのままの状態にあるタイプ。
 展開式ベッドはソファベッドともいい、椅子の状態から背もたれを倒したり、テーブルの天板にマットレスをずらしたりしてベッド状態にするタイプです。

 もちろん、それぞれにメリット・デメリットがあります。

●常設ベッド
メリット:常にベッドの状態なので、横になりたい時いつでも使える。
デメリット:場所をとる。ついつい荷物置き場になってしまい、寝る時になって荷物の動かし先に困る。

●展開式ベッド
メリット:ベッド展開前は椅子なので、限られた空間を効率よく使える。
デメリット:ベッドの状態に展開しないと使えない。テーブルの上に物が載っていたりすると、それらをすべて片付けてからでないとベッド展開できない。

 友人に、非常にお酒の好きなご夫婦がいます。キャンピングカーの奥に常設ベッドはあるのですが、そこは主にお子さん用。小さいお子さんを寝かしつけたら、ダイネット(食卓)で大人の酒盛りタイムが始まります。

 このように、子育て世帯にとっては常設ベッドはありがたいものです。いつでも寝かしつけることができるし、大人と子どもは生活時間がまるで違うからです。

 そうなると、大人は展開式ベッドを使うことになりますが、これがなかなか曲者です。

 まず、酒飲みにありがちなのが、酔っぱらうと面倒くさくなってしまうこと。

 そろそろ寝ようかとは思うが、ベッドになるはずの場所には、使った後の食器やビールの空き缶がずらり。結局「面倒だから」と床で寝てしまい「翌朝は決まって筋肉痛」なんてことも。

 キャンピングカーを選ぶ時、誰しもシラフの頭で冷静に判断するはずですが、せっかくの設備も「面倒くさくて使わない」ならば宝の持ち腐れ。酔っぱらっていたり極端にくたびれている状態でも展開できるかどうか。そんなケースまで視野に入れて検討する必要があります。

枕が変わると……?

 「枕が変わると眠れない」、という人がいます。いつもと寝ている環境が変わるとなかなか眠れない。実はこの現象、科学的にも証明されているのです。

 ある研究によれば「慣れない環境で寝ようとすると脳の左半分が無意識に覚醒し、物音などに反応しやすい警戒状態が続くため、ぐっすり眠れなくなる」そうです。

残念ながら、常に最良の条件とは限らないのがPA・SAでの仮眠。周囲が大型トラック(エンジンかけっぱなし!)だったりすることも珍しくない

 キャンピングカーの場合、室内は慣れた環境でも、泊まる場所は毎回異なる、という事情もあります。また、そもそも「車の中」で寝るというだけで非日常感も加わるでしょう。

 そんなキャンピングカーの中で安眠を得るには、ちょっとした工夫が必要です。
 以下、注意すべき項目です。

1.音
 静かなキャンプ場やRVパークなら問題はありませんが、PA・SAでの仮眠や、街中のRVパークなど、外の音が気になる場合もあるでしょう。こういう場合は、耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンなどが有効です。

 ただし、外からの音をあまりに遮断してしまうのも、安全上好ましくありません。適度に聞こえる、バランスの良いものを選びましょう。

2.揺れ
 車にはサスペンションが付いています。走行時には大変重要なものですが、停泊中はむしろ困った存在になることがあります。誰かが車の乗り降りをするだけで目が覚めるほど揺れる。それどころか、家族が寝がえりしただけで揺れることもあります。

 そこで、一部の車種には、手動や電動の安定脚が装備されていて、停泊時の揺れを抑止できるようになっています。そうした部品がついていない場合は、専用のジャッキや建築用の「床束」というものを使えば、揺れをおさえることができます。

 ただし、注意すべきポイントがひとつ。安定ジャッキなどを使用していることを忘れてうっかり車を動かしてしまうと、ジャッキや車体が破損する恐れがあります。

3.傾き
 残念ながら停泊地が必ずしも平らとは限りません。場合によってはかなり傾いた場所で停泊しなければならないこともあるでしょう。うっかり低い方を枕にして寝てしまうと、頭に血が上って、頭痛や肩こりなどを引き起こすこともあります。

タイヤの下にかませて水平を出すレベリングブロック。これがあれば、大抵の不整地で水平に近づけることができる

 欧米の大型キャンピングカーの中には、地面がどんなにデコボコだろうと自ら検知して車体を水平にしてくれる「レベリングジャッキ」を装備している車もあります。が、ほとんどの国産キャンピングカーにはありません。ではどう対策するのかというと、四つ車輪の下に「レベリングブロック」というくさびを入れて、極力水平に近づけるというやり方がポピュラーです。しかし、微妙な高低差は体の感覚だけではわかりにくいもの。そんな時便利なのが「水準器」です。最近ではスマホのアプリにもありますので、調べてから「どちらを枕にするか」決めるのがコツです。

水準器アプリの一例。いろいろな種類があるが、一つインストールしておくと何かと便利だ

 筆者自身は横になったら最後、朝までぐっすりのタイプなのですが、「睡眠負債」なんて言葉も登場するほど、日本人の睡眠の質が問題になっています。まして休日、それも運転する日の睡眠はしっかりとりたいもの。

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 ベッドを適切に整える。音・揺れ・傾きを調節する。これでかなり安眠できるので、備えておくに越したことはないでしょう。

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