小川フミオのモーターカー

美しさが際立つパーソナルクーペ「三菱ランサーセレステ」

  • 世界の名車<第209回>
  • 2018年4月23日

全長4115ミリ、全幅1610ミリ、全高1340ミリ(写真は1600GSR) (写真提供はすべて三菱自動車)

 1970年代の日本車のなかでトップクラスの美しさが際立つクルマがある。ぼくにとっては、それが1975年に発売された三菱のパーソナルクーペ「ランサーセレステ」だ。

 長いノーズと、後退したキャビンによるプロポーション。スポーティークーペの教科書があれば、そこに載せたいぐらいいいスタイルだと、ぼくは考えている。

 当時の三菱自動車は米クライスラーと密接な関係にあり、三菱車は「ミラージュ」や「ギャランΛ(ラムダ)」などがクライスラー系のブランドで販売されていた。

 ランサーセレステも「プリマス・アロー」として売られた。個人的におもしろいと思うのは、ブランドのいわばミスマッチ感だ。

ヘッドランプは当初丸形で、途中マイナーチェンジで角形へと変わった

 ブランドアイデンティティーとは、ラインアップ(販売している車種)のデザインを整理して、あるていど統一したイメージを打ち出すことだ。

ところが、ランサーセレステはクライスラーのクルマというより、競合相手だったゼネラルモーターズのシボレー・カマロや、フォードのマスタングを連想させた。

 近似性の判断はともかく、結果的には、米国の消費者が好感を抱くスポーティーなデザインの恩恵は大きく、“セクレタリーカー”というジャンルで人気があった。

エンジンは1.4リッターと1.6リッターで、途中から2リッターが追加された

 ただ、ランサーセレステで残念なところは、ベースが初代ランサーだっただけに、コンパクトすぎる車体サイズだ。写真だと堂々としているように見えるが、実際は、全長は4.1メートル、全幅は1.6メートル。当時でも“小柄”に思えたものだ。完璧というには迫力に欠けていた。同じことはエンジンにもいえる。

ハッチゲートを持つ機能性が魅力だった

 ベースは1973年に発表されたランサーなので、エンジンラインアップもほぼ同一。当時としてはかなりパワフルな110馬力の1600ccも用意されていた。

 ランサーで実力を発揮したエンジンだが、ランサーの車重が825キロだったのに対してランサーセレステは910キロとだいぶ重かった。

 いまのエンジン技術ならもっと小さい排気量でもパワフルに仕立てられるだろうが、当時の自動車界には、 “軽量化にまさる性能なし”という言葉もあったぐらいで、逆をかえすと重量増は大きなハンデだったのだ。

メーターの数の多さが時代を感じさせる(写真は1600GSR)

 それでもこのプロポーションを生かしながら、全長5メートルぐらいにしたら、いまも通用するスタイリッシュなクーペが出来るのではないか。

 そんな“夢”をみたくなるクルマである。

  

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ

Pickup!