プロカメラマンの写真連載「一眼気分」

うまく利用してイメージ通りの作品をつくりたい、逆光の世界

  • 文・写真 宮田正和
  • 2018年5月2日

パリ市内でのスナップ。太陽に雲が被り空には飛行機雲ということなしのシャッターチャンス Canon EOS-1D X Mark II EF24mm F1.4L II USM SP:1/1600 F:10

僕は個人的には逆光が大好きだ。
もちろんどんな写真を撮りたいか、その選択により状況は変化するので、言い方を変えるなら、逆光に向いているシーンを撮ることが好きなのかもしれない。
では何故好きなのか? 具体的な理由はいくつかあるが、順光で撮った写真は奇麗だけれども面白味がない(笑)。だが、逆光をうまく利用して撮った写真は強烈な印象を与えることができるからだ。

これは実はストロボを使用していない一枚。それで撮影ポジションを工夫すればこんな写真も撮れる Canon EOS-1D X Mark II SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM SP:1/8000 F:2.8

「逆光だからダメだよ」。写真を少しでも知っている人からよく聞く言葉があるが、実は撮影者の工夫次第でなんとでもなる。ただし状況判断を間違えるとただの暗い写真になる恐れもあるので、そこは考えなければいけないのだが。

ワイキキビーチのマジックアワー。これもある意味では逆光だが、そこにたたずむ女性がポイントだ SIGMA dp0 Quattro SP:1/15 F:5.6

もちろん、ストロボを使用する、レフ板を使うなど、物理的に逆光に対する手段もある。アマチュアの人にとっても、ストロボは暗いときにだけ使うものではなく、あえて昼間に使ってみるのも面白い写真を撮る要素の一つになるから、積極的に使ってみてほしいアイテムでもある。

2018年のF1中国GPからの一枚。ピットアウトするフェラーリをストロボ+スローシンクロで撮影 Canon EOS 5D Mark IV EF16-35mm F2.8L III USM SP:1/15 F:8

ただし、今のカメラは日中シンクロをオートで補正して、なるべく自然に見せるように設定されているので、結果として、ストロボを使っても背景との露出差は抑えられて、ストロボ無しで撮った写真に近い表現になってしまうことがある。

そこで、あえてオートを使わずにマニュアルモードを使って撮影することで背景との明暗差を生かしたインパクトのある写真を狙ってみてはどうだろうか?

僕の本業(?)のレースの写真SGTから。完全な逆光なので、ストロボでマシンのフロントを見せる Canon EOS 5D Mark IV SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM SP:1/200 F:13

マニュアルモードでシャッタースピードと絞りを変化させて撮影してみると、非現実的な写真が生まれる可能性がある。何でも何度でも試せるのがデジタルカメラの最大の長所なので、極端に速い(遅い)シャッタースピードを試してほしい。そして、自分の好みの色や動きが出た絞りやシャッタースピードを記憶しておこう。基本的に撮影は経験とデータの積み重ねでもある。だからどれだけいろんな場面で撮影してきたか、その経験が次の撮影に生きてくるのだ。

僕が時々利用する二子玉川駅周辺。季節によって太陽の上がる場所や角度、 そして時間も違うので、同じ場所でも違う一枚が狙える SIGMA dp0 Quattro SP:1/15 F:5.6

多彩な表現力を身につけると作品に幅が出てくる、そうするとますます写真が楽しくなる。テクニックに溺れるのではなく、テクニックを使いこなして、自分のイメージの世界を描き出す、これこそが「写心」だ。あなた自身の写心の世界を楽しんでほしい。

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PROFILE

宮田正和(みやた・まさかず)写真家

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)http://f1scene.com

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