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『思い出2.0』時代に、日々の記録を残すことの尊さについて

  • 文・りょかち
  • 2018年5月8日

こんな瞬間は、きっと何年か未来の自分にとってかけがえない財産になるはず。(右が筆者)

私がネットで知られ始めたのは「自撮り」が話題になったことがきっかけですが、改めて自撮りをはじめてよかったことがあります。それは、「誰かとの思い出を残しやすいこと」。

こう見えても、昔は写真を撮られるのが苦手な子供でした。笑うことが苦手で、写真の中の私はいつも顔がひきつっていて、だからそんな自分に会いたくなかった。できるだけ写すのは風景だけでいいやと思っていたし、もし自分の写真を撮ったとしても、撮った後にあまり見ないようにしていました。SNSに自分の写真をあげるのも全然好きじゃなかった。

だけど自撮りをはじめてから、私のスマホのカメラロールは自分の写真でいっぱいになりました。友だちとの写真は、LINEのアルバムにアップロードして保存をしています。すると、見返すたびに、そのときの楽しかった思い出がよみがえってきて、友だちがもっと好きになる。友だちと一緒にいる自分も好きになる。自分の毎日が好きになる。

「誰かとの写真を残すこと」ってとても幸せなことなのだ、ということがわかるようになったのは最近です。そして、改めて気づいたことは、どれだけ大切に心の中にしまっていたつもりでも、いつのまにか大切な景色はこぼれ落ちてしまう。けれど、写真にはそれが残されているからこそ、いまでも感動できるのだという尊さでした。

手のひらの上のスマホで、十分すぎる一枚が撮れる時代

  

カメラ好きな友人に、「私も、写真を始めようかしら」と話したら、「日常的な写真を趣味で撮るくらいなら、今持っているiPhoneで十分ですよ」と返されました。仕事で使うならまだしも、私的に使用するレベルなら、私達の手の中にあるスマートフォンはかなり優秀なカメラへと進化しているようです。

「自撮り」といえば、2016年の夏頃にはアプリの「SNOW」の犬になれるフィルターや、ひげが生えるフィルターがもてはやされましたが、今ではもっと自然に“盛れる”アプリもたくさんあります。“自撮り女子”として、万人にオススメしたいのは「Foodie」というアプリ。元々は食べ物をキレイに撮影するためのアプリなのですが、フィルターの発色の良さなどから、自撮りにも十分活用できます。Foodieを使えば、Instagram用の“シズル感”あふれる食べ物の写真から、仲良しの友だちグループと撮影する自撮りまで、色鮮やかに撮れるでしょう。

私が幼稚園の頃はまだまだフィルムカメラが中心で、旅行の思い出を見返すにはおじいちゃんが持っている一眼カメラを持っていくか、あるいは「使い捨てカメラ」を大量に買って、旅行後に現像に出すしかありませんでした。

しかし、いまはスマホを持って旅に出るだけで十分に思い出を残せます。残した瞬間から振り返ることができる。現代人の私たちは、子供の頃よりもずっと、この幸せな瞬間を未来の自分にプレゼントしやすくなっているのです。

思い出の「形式」は常に進化し続けている

新しいカメラやレンズを使えば、人間の視野を超えた思い出を残すことができる

さらに現代は、画質などといったものだけでなく、思い出の形式自体もどんどん進化しています。

私の会社の先輩が、去年の冬子供と一緒にスキーに行って、その様子をRICOHの「THETA」という360度を撮影できるカメラで録画してきたと教えてくれました。見せてもらったその映像がとっても面白かったことを覚えています。

私の先輩がスイスイ滑る姿と、後ろをついてきているお子さんがちょっと滑るのに苦戦している姿が映っていて、さらにその後ろには、そのお子さんを追い抜けずに困っている人も。一方で、頭上にはリフトに乗っている人の姿もいます。

その映像は、私たちがいつも見ている世界よりずっと広い視界で、その楽しい瞬間を切り取ってくれていました。

THETAを使えば、例えば家族で祝う子供の誕生日なんかも、これまでは楽しそうにバースデーソングを歌う子供の顔だけを切り取っていたのが、その姿を愛しそうに見つめるお母さんの表情や、楽しそうに撮影するお父さんの顔まで同時に記録することができてしまう。きっとそれを未来に見返せたなら、これまでよりもずっと、そのしあわせな一瞬を手触り感とともに取り出すことができるでしょう。

「思い出を何で残す?」さえ、選び放題

  

さまざまな形式で思い出を残す方法も随分手軽になりました。

こどもの成長を家族で共有できる写真SNS「みてね」では、SNS内で写真を日々アップロードしているだけで、その思い出をフォトブックやDVDにすることができます。

また、LINE creators studioというアプリを使えば、スマホだけでかんたんにその写真を使ったLINEスタンプを作ることもできる。

思い出を残して、家族みんなでそれを愛(め)でながら振り返るという行為は、インターネットによってどんどんハードルが低くなっています。私たちは、自分が持っている愛情をさまざまな形で表現し、それを大切な同志たちとさらに育んでいくことが簡単にできるようになったのです。

「写真をデバイスで撮る」ということをもっと楽しもう

おいしそうなレストランに行くたびにパシャパシャ写真をスマホで撮影していると、「またそうやって写真ばっかり撮って~」と言われることもあるけれど、そんな日をいつの日か「懐かしき良い思い出」として振り返る日はきっとやってくる。

思い出を手軽に、しかもずっと解像度高く、視界も広く取り出すことができるようになったのですから、少しくらい思い出を残すことに貪欲になったっていいじゃないですか。

あなたが今、とてつもなく幸せでも、そうでなくても、未来はそんな自分の延長線上に存在していて、ある時見返せば、思い出は、想像以上に自分に多くを語りかける。

いつも見ているスマホで、カメラアプリを開いてシャッターを押せばすぐにその瞬間を切り取れるのですから、思い出を常に更新しながら、素晴らしい一瞬を未来の自分に残していくことを楽しみましょう。

シャッターボタンを押すことをためらう親指の理由が「なんとなく」ならば、そのリミッターを外してみることが、思わぬギフトを未来の自分に与えてくれるかもしれません。

  

筆者プロフィール

りょかち

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。学生時代より、ライターとして各種ウェブメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題になる。新卒で某IT企業に入社し、アプリやWEBサービスの企画開発に従事。現在では、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎)。
Twitterは@ryokachii

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