連載・口福のランチ

インドを旅してたどり着いた、オーナーの思いのこもったカレー「砂の岬」(東京・桜新町)

  • 文・写真 ライター 森野真代 イラスト あんじミサ
  • 2018年5月9日

  

5月は本連載で二度目となるカレー特集。カレーの世界の奥深さについては以前にも触れたが、間違いなく年々深みを増している。

特集の初回は、東急田園都市線の桜新町駅から歩いて5分ほど、緑に覆われたフォトジェニックな1軒屋のカレー店「砂の岬」。今年6月で7年目を迎えるお店には、鈴木さんのこだわりと思いが詰まっている。

小さなカトリに入ったカレー2種、副菜5種がピラミッド状のライスを囲む

書籍を出版するなど、カレーフリークの間では超が付く有名店だが、あえて事前情報をあまり頭に入れずに店に向かった。にもかかわらず、店から帰る時には、もうこの店のファンだと公言している始末だ。

今回食べたのは、7種の料理がセットになっている南インドの菜食定食「VEG MEALS(1530円)」。それにラム肉のカレー「マドゥライラムチュッカ」の小皿(350円)を追加した。メニューは基本月替わりで、ミールスが2、3種類と、ミールスに追加可能な小皿の魚または肉のカレー。月ごとのメニューの詳細はWebサイトで発信している。

ラム肉を煮込んだ「マドゥライラムチュッカ」はスパイシーさが絶妙

料理が運ばれてくると、7種について説明がある。見た目の美しさに感心しながら、そのひとつひとつの説明に耳を傾ける。季節野菜と豆のカレー「ベジタブルサンバル」、タマリンドの酸味と黒コショウの効いたスープ「ダルラッサム」、山菜アマドコロなどの野菜のココナッツ煮込み「クートゥー」、じゃがいもの「きたあかり」とだだちゃ豆を使用した野菜のスパイス炒め「マサラポテトポリヤル」など、バラエティに富んでいる。どれも小皿だが存在感があり、忘れられない味わいだ。

別皿のラム肉のカレーについては、私が大好きな「ダバ インディア」のマトンカレーに匹敵、いや超えたかと思うほどど真ん中の味だ。ラムの濃厚さと絶妙なスパイスの使い方により、グッと重みのある味わいになっている。すべての料理において、香辛料だけでなく、素材の持ち味が最大限に生かされているのだ。

ジャスミンライスの上に少しだけかかっている緑色の粉末は、「ポディ」と呼ばれるインドのふりかけ。豆とスパイスに、ウドの葉を加えて粉にするそうなのだが、これのあるなしでは、まったくの別物。妥協することなく、時間を惜しまずに丁寧に作ることの大切さを料理が教えてくれるのだ。

インドのアンティークで満たされた1階8席、2階4席の小さな店内

インド亜大陸を旅しながら、見て、食べて、体験してきた「食」の記憶を、鈴木氏がこれだと思い描く料理へと昇華させた。

営業時間は水木金の11時半から15時、土日は11時半から16時までで、売り切れ次第終了だが、イレギュラーな休みも多い。

現在も、サービスを担当する奥様の有紀さんとインドの食の現場を訪ね歩く旅を続けているためだ。

これほどおいしいカレーを提供し続けられるのは、このインドの旅が原動力になっているのだと思う。気軽にお腹を満たすランチもビジネスパーソンには必須だが、舌と心も満たしてくれるお店に足を運ぶ日があってもいい。

桜新町駅から徒歩5分ほどの、壁一面にツタが這う個性的な店構え

[PR]

<今回のお店のデータ>
砂の岬
東京都世田谷区新町2-6-14
080-4248-7720
http://www.sunanomisaki.com/

(注)年に数回長期休業があるため、来店時にはホームページで営業日を要確認。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

森野真代(もりの・まよ)

写真

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。「唎酒師(ききさけし)」の資格取得後は、自己研鑽も兼ねて各地の酒処の探索に余念がない。友人を招いての家飲みも頻繁に開催。

今、あなたにオススメ

Pickup!