キャンピングカーで行こう!

道の駅でのキャンピングカーの停泊マナーについて考える

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年5月16日

みなさん、ゴールデンウィークはいかがでしたか? サービスエリア、パーキングエリア、道の駅、高速道路、いたるところでたくさんのキャンピングカーに出会いました。

私がキャンピングカーに最初に出会ったころからすると隔世の感があります。当時は週末に出かけてもキャンピングカーに出会うことはまれでしたし、キャンプ場でも周りはテントキャンパーがほとんどでした。

キャンピングカーに乗る仲間が増えることは、とてもうれしいです。ユーザーの多様化を受けて商品のバリエーションも広がっています。しかし、台数が増えるにつれて、各地でちょっと困ったことも起こるようになりました。今回は特に道の駅に注目して、キャンピングカーでの利用とそのマナーについて考えてみたいと思います。

キャンピングカーを道の駅やPAなどに停車させる際には、他の乗用車と同様に、利用者はマナーをきちんと守りたい(写真はイメージ:getty)

「動く家」ではあるけれど……

全国各地にある、道の駅。空いていれば24時間好きな時に使えて、しかも無料です。とても便利ですね。私もよく利用させてもらいます。

ここでまず知っておくべきなのは、道の駅は「休憩施設」であって「宿泊施設」ではない、ということです。

24時間、駐車場がオープンしていてトイレや手洗い場が使える。ということは、いつそこにいてもいいわけです。しかし、ホテルやキャンプ場のように「宿泊」してもらうために作られた施設ではありません。

ドライバーがいつでも立ち寄って、休憩したり仮眠をしたりするためのもの。交通安全のためというのが道の駅の大きな目的のひとつです。

もちろん、深夜に道の駅で仮眠をとっているキャンピングカーユーザーはたくさんいます。私自身、夜中の2時、3時に到着して朝まで仮眠。商業施設のオープンと同時に入って朝食を食べたり、地元の産品(野菜など)が販売されていれば、キャンプ用の食材を買いこんで出発したりします。うちのかみさんなどは「あそこの道の駅ではお餅、こちらではお漬物……」と、場所ごとに楽しみにしている品物もあるようです。

このような使い方なら問題はないはずですが、トラブルになるのはあたかもキャンプ場のような使い方をする人たちです。

今年のGW、某道の駅にて。子ども連れの若いご夫婦だったそうで、撮影者さんが声をかけたところ「知りませんでした」と、すぐに撤収してくださったとか(編集部注:提供写真を加工しています)

気を付けたい“マナー違反”の行為

例えばどんなことが「迷惑行為」になるでしょう。日本RV協会では、ユーザーのマナー啓発のために、公式サイトやチラシ、ポスターなどで呼びかけています。

■長期滞在をしない
「仮眠」や「休憩」の場所に長期間居座るのは困りもの。なのに、何泊もする人がいます。いくら景色や施設が魅力的だからといって、連泊するのはNGです。

■キャンプ行為をしない
オーニングを展開したり、椅子やテーブルを出してくつろいだり食事したり。車外で調理したりすることもできません。これは駐車場以外の緑地などでも同じことです(併設されたBBQ場などがある場合を除く)。

■盗電行為は違法
施設のコンセントを無断で使用するのは、立派な犯罪です。こちらについては通報されても文句は言えない、マナー違反ではなくルール違反でしょう。

■ゴミの投棄をしない
基本的に、ごみは持ち帰るのが原則。もちろん、家族分の空きペットボトルなど、普通車でも出る常識的な量ならば別ですし、その場で買って食べたものの空き容器なら問題ないでしょう。しかし、キャンプで出た大量のごみやこわれたキャンプ道具を放置していく人までいるというからあきれた話です。

■トイレ処理やグレータンクの排水はNG
カセットトイレやポータブルトイレの処理は控えましょう。生活排水用をその場で垂れ流したり、側溝に流すのもNGです。キャンプ場やRVパークにあるダンプステーションを利用するか、自宅で処理するのが本来です。

■発電機の使用には細心の注意を
発電機の使用は、TPOを充分に考慮する必要があります。電子レンジを使う数分だけならいいのですが、長時間の回しっぱなしは他の利用者や近隣住民の迷惑になります。特に周辺が寝静まる夜間は注意が必要です。

■アイドリングストップの励行
停泊中はアイドリングストップするのが基本的にはマナーです。もちろん、エンジンが回っていないと冷暖房が使えない車両や、命にかかわる機器を使用している、などの特殊な例を除けばということです。

■身障者スペースには該当者以外駐車しない
身障者用の駐車スペースには、健常者のみが乗車している場合には駐車できません。もちろん、足をけがしている、妊娠中、など一時的に不自由がある場合もあるでしょう。
あるいは外見はまったく身障者に見えなくても、重篤な症状を抱えている人もいます。車椅子マークのない車が止まっているのをすべて「マナー違反だ!」と糾弾することにも問題があるかもしれません。大切なことは、利用者の誰もが「該当者以外は使うべきではない」という意識を持っているべきと思います。

もちろん、キャンピングカーだけがマナーが悪いわけではありません。昨今のブームで車中泊(乗用車の車内で寝泊まりして旅すること)をする人も増えてきました。居住空間のあるキャンピングカーと違って生活には不便ですから、トイレで食器を洗ったりする人もいるようです。それどころか車外にテントを張ったり、椅子を出したり、中には調理をしたりする人も。

また、最近流行のバンコンやミニバンなどは、外から見ただけではキャンピングカーかどうかわかりません。そのため、中で寝泊まりしている車はすべてキャンピングカー、という見方もされてしまうようです。

 

三重県内の、ある道の駅で話を聞きました。

「キャンピングカーにもいろんな種類があって、正直なところ、私たちには見分けがつきません。午後8時以降はキャンピングカーお断りにしようかという意見もありましたが、『キャンピングカーに見えないキャンピングカーがある』『普通乗用車の利用者でもマナー違反をする人がいる』となると、いかにもキャンピングカーらしい車両だけを締め出すのは不公平ですよね。それに、安全運転のための仮眠施設という目的がある以上、特定の車を排除するのは難しいですし」

施設の責任者も、線引きの難しさに困惑していました。実際、あちこちに上記のような行為をつつしむようお願いするポスターを掲示したり、場内アナウンスを繰り返すなど、対策とマナー啓発に乗り出している道の駅も増えてきています。

確かにクルマは2台分、それぞれの駐車枠には収まっていますが、収まっていればそれでよいというものでもありません(編集部注:提供写真を加工しています)

マナー違反を見かけたら

私自身、明らかなマナー違反(ルール違反)に遭遇したこともあります。直接お声がけしたこともありますが、こういう時の反応は見事に2パターンです。ひとつは「マナー違反だとは知りませんでした。ごめんなさい」と、すぐに対処してくださる方。困るのはもうひとつで、

「自分のキャンピングカーをどう使おうと勝手だ」と強弁される方。しまいには「法律違反だとでも言うのか? だったら警察を呼んで来い!」。こうなると処置なしです。

今回、マナー違反の状況を写真に撮ったという方に画像の提供をお願いしました。その方によれば「口頭で注意したんですが無視されました。スマホで写真を撮ったら、怒鳴られ、追いかけられましたね。こちらにも家族はいるし、万一何かあったらと思うと……。今後はもう、見かけても何も言わないようにします」(T.O さん46歳)。

このように、直接声を掛けるのはよほど慎重にする必要があります。指摘されて激高する人もいますし、ましてや夜、お酒が入っていたりしたらなおさらです。実際に警察が介入する傷害事件に発展したケースもあります。どうしても目に余るような場合は、道の駅のスタッフに相談してみるのが得策です。自身が飲酒していないならば、その場を離れるのもひとつでしょう。

また、マナー違反に憤慨する気持ちもわかりますが、このエピソードのように写真を撮影し、それをSNSなどにアップロードして報告するのも、慎重に扱うべき案件だと思います。

盗電行為以外は、あくまでマナー違反であってルール違反や法律違反ではありません(施設のルールとして明記されている場合は別)。人の顔や車両ナンバー、車種などから簡単に個人が特定されたり、個人情報が流出してしまう昨今です。

また、行き過ぎた順法精神のせいでSNSが窮屈になるという指摘もあります。誰もが気持ちよく過ごすために存在するのがマナー。いくら正しくても、誰かを悪者にして糾弾するのは、周囲を不快な思いにさせないとも限りません。

道の駅の片隅に併設されているRVパーク(群馬県太田市)。ここは電源が離れているため延長コードで引いている。近隣には日帰り温泉施設も

道の駅の存続とRVパーク

ドライバーにとって、道の駅はとてもありがたい存在。今後ともキャンピングカーユーザーとよい関係を保って、いつまでも施設には存続してもらいたいものです。

道の駅の中には、どうせ一晩過ごすキャンピングカーが多いのならばとRVパークを併設するところもあります。

RVパークは日本RV協会が推進している、キャンピングカーユーザーや車中泊愛好者のための宿泊システム。有料ではありますが、1台当たり平均3000~4000円と、ホテルやキャンプ場よりは安価ですし、何人乗っていても同じ料金です。

トイレや電源が使えて、ごみを引き取ってくれるところもあります。オーニングを展開したり、椅子やテーブルを出してよいかどうかは、各施設ごとにルールがありますが(中にはテントを張ってもOKのところも!)、宿泊施設ですから連泊もOK。

そんなRVパークを併設する道の駅(福島県内)で話を聞いたところ、駅長さんがため息交じりにこうおっしゃいました。

「有料スペース利用者の方はとてもマナーが良く、気持ちよく使ってくださるのですが、無料エリアの方は、その場にごみを残して行くなどマナーが悪いですね……」

なんとも残念な話です。

「こっちはお金を払っているのだから、客だ!」ではなく、むしろ無料施設を使っている人のほうがマナーが悪いとは……。無料施設を利用しているキャンピングカーユーザーは私を含め大勢いるわけですが、一部の人のバッドマナーのために、誰もが白い目で見られるのは勘弁してもらいたいものです。

なんと! 道の駅の建物脇にテントを設営中……。この人はキャンピングカーユーザーではなかったそうですが……「あまりに大胆なので、びっくりして写真に撮りました」(写真提供者)(編集部注:提供写真を加工しています)

地域経済と道の駅

道の駅の存続について、もうひとつ忘れてならないのが「経済効果」です。

国交省の定める道の駅の登録要件にも「休憩機能」「情報発信機能」と並んで文化教養施設、観光レクリエーション施設などの「地域連携機能」が求められています。

地域連携機能とは、簡単にいえば観光客を誘致して、地元にお金が落ちるようにすること。

「ドライバーに無料で休憩できる場所を提供=交通安全に寄与する」と同時に「産品を販売したり観光情報をアピールする場でもある=経済活性化に寄与する」ということです。

以前にも記事にさせていただいたように道の駅ではバラエティーに富んだ、地元産の物品などが販売されています。朝どれの新鮮な野菜が都会では信じられないような値段で売られていることもあります。前述のように、私が道の駅で朝食を食べて買い物をするのは、その土地の魅力を知るためでもあり、心ばかり、仮眠でお世話になったお礼のつもりもあってのことです。

実際、RVパーク推進のために各地を回っていて言われたことがあります。

「キャンピングカーに乗ってる人って、食料から何から全部持ってきて、遊びたいだけ遊んで、何にも買わずにゴミだけ置いて帰るんですよね」

本当に残念でなりません。

ほんの一握りの人たちのために、そんな風に思われてしまうのは悲しいことです。

もちろん、無料の施設です。お金を払う義理はありません。徹頭徹尾、無料で利用するのもひとつの考え方です。でも、こんな風に見られてしまうのもつらいですよね。

台数が増えてきたからこそ、ジュース一本、ガムひとつでもいいから、地元で買い物をするように、私は心がけたいと思っています。

欧米では、安全上の問題から、定められた場所以外では仮眠すら制限されています。それに比べ、安心して仮眠できる場所が多いというのは、他国にはまねのできない日本だけの素晴らしいインフラです。おまけにさまざまな設備が無料で使える道の駅は、キャンピングカーユーザーにとって貴重な財産ともいえる場所。

公共の設備すべてに言えることだとは思いますが、気持ちよく使うためのマナーは、心がけておきたいですね。

道の駅には直売場を併設しているところも多い。野菜の新鮮さと安さは特筆もので、我が家では行きにキャンプの食材、帰りには自宅用の買い出しに立ち寄ることも

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