ミレニアルズトーク Millennials Talk

“好き”と“武器”を掲げ、夢をかなえ続けるZ世代の全貌

  • 大久保楓✕石井リナの『ミレニアルズトーク』
  • 2018年5月31日

  

女性向けエンパワーメント動画メディア「BLAST」を運営するBLAST Inc.のCEOであり、SNSコンサルタントでもある石井リナが、ミレニアル世代を掘り下げる連載「石井リナのミレニアルズトーク」。

これまでに同世代との対話を通じてミレニアルズをひも解いてきたが、今回は「ポスト・ミレニアルズ」とも呼ばれる“Z世代”をゲストに招き、異なる世代同士のディスカッションで世代別の価値観にフォーカスを当てる。

高校生YouTuberとして一斉を風靡した、「ぷるこ」こと大久保楓は、現在19歳。Z世代(注:1990年代後半以降生まれ)を代表する一人である。Z世代は「起業家精神が豊富」とも言われ、刹那的なミレニアルズとは異なる特徴を持つ。目標達成のために手段を厭(いと)わない“戦略的フッ軽思考”や、人生に“予約”を入れるトップダウン思考など、ポスト・ミレニアルズの価値観に迫った。


戦略的に、しなやかに。夢をかなえる“戦略的フッ軽思考”

石井リナ(以下、リナ):楓ちゃんは高校1年生からYouTuberとして活躍していたんだよね。コンビでやっているチャンネルの登録数が20万人もいたんだとか。YouTuberになったきっかけを教えてもらってもいい?

大久保楓(以下、楓):もともとアパレルブランドを立ち上げたくて、高校生になった頃に大阪のモデル事務所のオーディションを受けたんです。運よく合格できましたが、なかなかしっくりこなくて。所属しているだけで、何もアクションがない日々が数カ月続いたんです。

リナ:モデルのお仕事がなかったから、YouTuberになろうと?

:「自分で動かなきゃな」と思ったので、大人の力を借りずにすぐにできることはないかな……と考え、YouTuberを始めました。

リナ:フットワーク軽い! ちなみに、プラットフォームをYouTubeに決めた理由は?

:シンプルに「これからYouTubeは伸びる」と思ったんです。アクションするまでは“フッ軽”ですけど、プラットフォームは戦略的に選びました。でも、それまでにYouTube動画を見たことはほとんどありませんでした。有名なYouTuberも、全然知りませんでした。

  

リナ:じゃあ、目標にしている人もいなかった?

:目標としている人はいませんでした。だからこそ自由にできて、その分オリジナリティーが出たんだと思います。投稿を始めてからまもなく、動画が拡散されて、動画だけが一人歩きすることもありました。

リナ:YouTubeを始めたのも、「アパレルブランドを立ち上げる」という目標につながっていたのかな?

:そうです! 自分はデザインがうまいわけでもなかったので、どうすればブランドを立ち上げられるのかを考えました。できることを目いっぱいやって、どんどんステップアップしようと思いました。なので、YouTubeはとにかく自分を売り出すひとつの手段でした。

“好き”と“武器”を意識して、ポジションを取る

リナ:意思決定のスピードが早くてびっくりしてる……! もともと、“フッ軽”タイプだったの?

:小さい頃からですかね……。親に頼んで通わせてもらった習い事も、自分に合わないと思ったらすぐ辞めちゃいました。「合うか合わないかは、やってみないと分からない」と思っていたので、まずはすぐに始めちゃうんです。

その延長線上で、高校も中退しています。早く社会に出て仕事がしたくて、中退して高卒認定を取得しました。それから、夢だったアパレルブランドを立ち上げました。

リナ:楓ちゃんの“フッ軽”具合は世代を代表するものでもないのかもしれないけど、私たちの世代とはそもそも価値観が違うような気がするな。学歴中心主義の人が少なくはないし、経歴を気にする子がまだ多いからね。

  

:どうなんでしょう……? でも、確かに年上のミレニアル世代と比べたら、経歴に対するこだわりは少ない気がします。私の友人には、高校を卒業して留学する人も多いし、すでにやりたいことがあって、大学ではなく専門学校を選ぶ人も少なくありません。自分が本当にやりたいことを突き詰めている印象です。「賢い大学を卒業して、大企業に入る」みたいな目標を持っている人は多くないですよ。

リナ:楓ちゃんも、そうした価値観を持った一人だよね。自分の“好き”を追求しているし、自分の武器を持とうとしているように感じる。

:“好き”を追求することと、武器を持つことのバランスが重要なんです。私はファッションの世界で生きていきたいけど、自分の“好き”を追求し続けると、売れないアイテムしか作れない。なので、100%の“好き”を表現するのではなく、ある程度「市場に合わせた」アイテムを提供するように心がけています。

リナ:そのセンスは武器だよね。“好き”に固執せず、相対的に自分を見つめられるようになったきっかけを聞いてもいい?

:もともと歌唱力に自信があったんですけど、高校に入ったら、自分より歌がうまい子がたくさんいた。そこで少し心が折れちゃって。あとは、YouTuberと学業の両立が難しくなって、病んでしまった時期がありました。

そうした“1回死んでいる感覚”を持ってから、すごく楽になったんです。「今まで小さな世界で生きてきたんだな」と、自分を俯瞰(ふかん)することができるようになりました。

Z世代が目指すのは“ニュー・ニューエリート”

リナ:精神的にも、身体的にも、心が折れる経験を早いうちにしているんだね。

:だからこそ、吹っ切れたんです。昔は動画に寄せられたアンチコメントでへこんでしまう時期もありましたが、“1回死んでいる感覚”を持ってからは、「アンチをどう利用するか」と気持ちを切り替えられたんです。

  

リナ:鼻にわさびを入れているような動画もあったもんね(笑)。夢のためになんでもアクションを起こせちゃう行動力、本当にすごいなあと。

:セーラームーンになった気持ちなんですよね。たとえばYouTubeに出るときは、同世代に共感してもらえる私になるし、逆にプライベートでは、私自身の“好き”を存分に表現します。毎日変身して、いろんな自分になれるのが、楽しくて仕方ないです。

リナ:「有名になりたい」と思っている人は少なくないだろうけど、楓ちゃんは泥臭さも厭(いと)わないところが頭一つ抜けている理由だと思うな。

:自分の人生に“予約”をしているから、ためらいはないです。「いつまでにこの目標を達成する!」と先に決めて、それをノートに書き込んでいます。もう、30歳まで予約が入っているんです。だから、あとは必要なことをやるだけで目標がかなうと思っているので。

リナ:トップダウン型の思考なんだ。私は楓ちゃんと少し違って、以前は「自分の名前で仕事をすること」を目標にしていたんだけど、その目標がかなってからは、誰かのためにする仕事も楽しいなって思える。

たとえ自分ごとじゃなくても、心が痛むことも多いし。ニュースで見かける理不尽な女性差別にも、すごく不愉快になる。「誰かの声を代弁する」じゃないけど……。この話を知人にしたら「リナちゃんジャスティスだね」って言われたんだよね。(笑)

:リナさんのような大きな目標ではないですけど、「ほしい未来を自分でつくる」という思いは、一緒かもしれませんね。私は、近い将来セレブになりたいんです。セレブじゃない自分なんて、考えられない。(笑)

リナ:セレブって2000年代に流行(はや)った言葉だよね。前回の対談で「オールドエリートはステータスにこだわるが、ニューエリートはインパクトと社会貢献にこだわる」という話をしたんだけど、楓ちゃんはそれとも違う、“ニュー・ニューエリート”って感じ!

ちなみに「セレブになる」目標も、予約済みなの?

:もちろんです。“好き”を追求することと、武器を持つことのバランスの話にもつながりますが、自分のためだけに頑張っても、セレブにはなれないと思っています。社会に対して価値を生むことが必須なので、「誰かのために」という視点は忘れないようにしたいです。

その上で、まずは小さく始めてみる。戦略だけでは夢はかなわないので、「まずは、やってみる」姿勢を大事にしていきたいな、と思っています。

  

<対談を終えて>
夢をかなえるには、思考と行動をセットで考えることが必要だ。ただ、思考だけで未来を憂いてばかりでは、いつまでたっても「ほしい未来」がやってくることはない。強烈な達成思考を持った彼女の言葉を聞いていると、「きっとかなわない夢などないだろう」と思わされる。“刹那的”なミレニアルズは、アントレプレナーシップ(積極的に取り組む姿勢)を持つZ世代の声に耳を傾けてみてもいいのかもしれない。

文:小原光史
写真:小林真梨子

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