一眼気分

幅広い表現ができる単焦点レンズの魅力 プロが選択する理由

  • 文・写真 宮田正和
  • 2018年6月1日

EPSON RD-1s+SUMMICRON 35mm/F2.0 SP:1/500 F:5.6

僕は基本的には単焦点レンズが好きだ。35mm、50mmなど、いわゆる標準レンズと呼ばれているレンズを多用する。そしてこの1本のレンズを使い、広角レンズのように、時には望遠レンズのようにも撮る。

えっ?、と思う方もいるだろう。でも実は簡単なことだ。自分と被写体の距離とアングルを工夫すれば標準レンズでも幅広い表現ができるからだ。

Canon EOS-1DX Mark II + SIGMA 35mm/F1.4 SP:1/8000 F:1.4

僕がある日のレースに持って行ったレンズはこんな感じだ。

・14mm/F1.8
・35mm/F1.4
・50mm/F1.4
・85mm/F1.4
・135mm/F1.8
・120-300mm/F2.8
・500mm/F4.0

これにNDフィルターとエクステンダーを加え、ボディが通常2台、バックアップで1台とこんな感じになる。「ある日の」と書いたのは現場や被写体によってセットアップが変わるから。

もちろん、すべてのレンズを常に持っていければ最高だが、飛行機や電車での移動など持ち運べる重さに制限があることも多く、撮影ごとに何をスタメンに加えるか、ベンチに何を置いていくかに悩むことになる(笑)。

LEICA M8 +NOCUTILUX-M50mm/F1.0 SP:1/30 F:1.0

そしてこんな時に役立つのはズームレンズだ。最近のズームレンズは過去のイメージとは違い、クオリティも高く解像度も良い。

しかし、実はここに僕が単焦点にこだわる最大の理由である、ズームレンズの特徴がある。基本的にズームレンズはF(絞り値)が暗めになる。つまりピントの合う範囲が広くなる。これがどうして駄目なの?、と思われる方もいるだろう。もちろん状況によって、見えるものすべてにピントを合わせる必要があればF値は絞る(大きい数字なる)。

でも僕は肉眼ではなくレンズとカメラを通して表現をしたいので、見せたいところ(魅せたいところ)だけを見せ(魅せ)あとはボカしたいのだ。

LEICA M8 +NOCUTILUX-M50mm/F1.0 SP:1/90 F:5.6

ただし、実際の撮影現場では後ろに下がれなかったり、前に出られなかったりと思うようにいかない場面も多い。だから僕自身もズームレンズを持っていくし、使う機会も結構ある。

それでも、どうしても単焦点レンズの切れ味やボケ味が好きだから、ここぞという撮影シーンや現場では単焦点レンズを使いたいのだ。 

結果として自ずと絞り値が暗めになるズームレンズは僕の好みではなくなるというわけだ。つまり自分の撮影スタイルによって機材は変化するもので、最後は性能の優劣ではなく好みの問題だと思っている。

先に挙げた僕の機材の一例をみて、この好みに気付かれた方もいるだろう。基本的にはF値の開放値が明るいレンズがほとんどだ。簡単に言えばピントが浅く、重くでかいレンズ群ということだ(笑)。

Canon EOS-1DX Mark II + SIGMA 35mm/F1.4 SP:1/8000 F:1.4

仕事だから僕はレンズを多くそろえているが、みなさんに試して欲しいのが、いわゆる単焦点の標準レンズ1本を駆使してあらゆる撮影をして欲しいということだ。

そして、カメラとレンズに慣れ、写真を撮ることを特別なことではなく、呼吸をするように普通にシャッターを切ることができるようになれば、もっと写真が楽しく素晴らしいものに思えてくるはずだ。

LEICA M8 +NOCUTILUX-M50mm/F1.0 SP:1/15 F:1.0

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

宮田正和(みやた・まさかず)写真家

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)http://f1scene.com

今、あなたにオススメ

Pickup!

Columns