密買東京~遭遇する楽しみ

丸くてかわいい織物をつくる小さな織機「MARUIRO」

  • 2018年6月7日

カラフルで小さくてかわいい、丸型の織物「まるイロ」。それを作るための道具「MARUIRO」をご紹介します

この丸くてかわいい織物は、「まるイロ」。小さくてカラフル、可愛らしいその見た目に、思わず飛びつきたくなっちゃいます。

でも今回はこの「まるイロ」の紹介ではありません。

紹介したいのは、この「まるイロ」を作る道具。名前はアルファベットで「MARUIRO」です。

好きな色の素材を使って自分だけの「まるイロ」を作れます

手のひらサイズの小さな「まるイロ」は、モコッとした印象なので「編み物かな?」と思いきや、実は織物。

したがって、それを作るためのこの商品「MARUIRO」は織機ということになります。

織機と聞くと、なんだか鶴の恩返しみたいに、カタンカタンとやる、あれを思い出しますが……。

この「MARUIRO」は見ての通り、小さな丸いプラスチック。歯車みたいな形の道具で、これだけで、この可愛い「まるイロ」が作れてしまいます。

大小2サイズの丸い織機がセットになっています。右の2つのように湾曲させると、小物入れなどにも使えます

しかも、まるイロを作るために必要なのは、このMARUIROの他に、糸として使う材料と、毛糸針。たったこれだけ。

糸として使えるものは、毛糸や、綿糸、ひもの他にもビニールや、布、新聞紙なんていうのも。

色んなものが使えるので、色も質感も無数に選べる。しかも付属の説明書には基本の織り方が四つ載っているけれど、それ以外の織り方も無数にあって、組み合わせると、バリエーションはさらに広がります。

それに一つひとつは小さいけれど、つなげて大きな丸や四角、色んな形にすることもできます。これでラグなんて作ったら、それはもうハッピーな部屋になりそう。もちろん単体でコースターやブローチにするのも、文句なしにすてきです。

半透明のプラスチックの型が、織機の「MARUIRO」です

このMARUIROを初めて見たときに思ったのです。これって発明じゃないか、って。

これを考えた人は、きっとすごいぞ。すごく頭がいい人だぞ、と。

織物と聞いて想像するのは、四角くて長い布ですが、実はまるイロも仕組みは普通の織物と同じなのだとか。

普通は直線で進むところが、丸い円の運動に置き換えられている、というわけです。

それを置き換えられるところが、賢いし、数学的。そういう思考回路を持った人って、無条件に尊敬してしまいます。

それにこうして円になるのは、良いところが色々あって、例えば四角のときには4辺あった端が一つになるので、その部分の処理が楽でスッキリします。つまりマフラーの両端にある、ピロピロしたひもみたいなあれが無くなるというわけです。

しかも、こんなにシンプルな道具で織ることができるから、誰でも手軽に作れるし、仕組みもとても簡単だから、直感的に模様を作ることができるのです。

【動画】織り方の説明の動画。代表的な折り方を解説した動画がいくつか公開されているので、見ながら作ることができます

このMARUIROを発明したのは、織物の作家であり、アーティストでもある井上唯さん。

いったいどんな人なのだろうと気になって……。琵琶湖のほとりの小さな町にある、アトリエを兼ねたご自宅にお邪魔しました。そして色々お話を聞きながら、まるイロ作りをしてみたのです。

できたのが、下の写真にある黄色っぽいまるイロ。おしゃべりが楽しすぎたのと、隣に井上さんがいるという安心感も手伝って、勝手気ままに作ってしまった僕のまるイロ。

いま説明書を手にしながら見ると、基本と全然違っているぞ、ってことにビックリしますが、井上さんと過ごした時間の楽しさが、そのまま丸く形になったみたいで、なんだかちょっとお気に入りの、“初”まるイロです。

作家の井上唯さんのご自宅で作った「まるイロ」。直感的に作ることができるので、初めてでも自由に楽しめます

井上さんの家には6畳の部屋と同じ大きさの、大きな織機があって、それを見せてもらいながら、生地が織られる基本の仕組みを教えてもらいました。

織物とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が組み合わされてできているもののこと。それを作る織機は、なんとコンピューターの元になった、ご先祖様でもあるのだとか。

いわれてみれば納得。木でできた素朴な機械なのに、その動きはまさにデジタル。といっても、人が踏んで、手でトントンと作るのですが……。

これは絵を描いたり、音楽を奏でたりするのとは全く違って、できあがる模様の構造を設計すること自体が織物なのだ、といえます。つまりそれはプログラミングなのだ、と。

井上さんの家の織機。織物の仕組みを教えてもらいました

さて、井上さんは織物の作家なので、毎日生地を作って、それを売っているのかな? と思っていたんですが、どうもそうではないらしく、織物などを素材に、インスタレーションのような形で表現をするのが中心なのだとか。

しかも発表する場所に自分が行って、そこで過ごすというか暮らすというか、その場所に流れる時間の中で感じたものを、その場で作品として作り上げる、ということに興味があるようです。

井上さんは、まずその場所に入り込んでしまう。それも人見知りの僕が、初対面で楽しくしゃべれてしまったように、スルリと入ってしまいます。

それから、そこで感じた要素を拾い上げて、それを見えるように、感じられるように、空間として再び織り上げて見せるのが、井上さんの作品といえるかもしれません。

コタツに入っておやつを食べながら「まるイロ」を作りました。前には畑が広がっていて、500m先には琵琶湖があります

それから、もう一つ。忘れてはいけないのが、このMARUIROを生産する「SLOW LABEL」の存在です。

SLOW LABELは、様々な枠組みで雑貨などのもの作りを手がけるブランド。でもその活動は単に商品を作って売るのとはちょっと違っています。

SLOW LABELの商品は全て、国内外で活躍しているデザイナーやアーティストがデザインをしているのですが、そのもの作りには、それ以外に大きく二つの特徴があります。

一つは、誰もがもの作りに参加できること。つまり特殊な技術やセンスを持った人ではなく、誰にも可能なもの作りを目指しているということです。

そして、もう一つは、作り手の個性がにじみ出るような商品作りを目指しているということ。

SLOW LABELのイベント「THE FACTORY 2」。4mぐらいある特大の「まるイロ」を、みんなで作りました

SLOW LABELの商品を生産する担い手として、障がい者施設の人たちが活躍しているのですが、それもSLOW LABELの目指す世界が実現されていることの証明だといえるでしょう。

すでに見てもらったように、MARUIROはアーティストの井上さんが道具を作り出して、それを手にした人が、誰でも“自分のまるイロ”作りを楽しむことができる、という商品。

つまり、ものができあがる仕組み自体をデザインしたこのMARUIROは、SLOW LABELが目指す世界をとても分かりやすい形で表現していて、誰でもその世界を体験することができる商品だといえます。

(文・千葉敬介 写真提供・SLOW LABEL)

「密買東京」は、ここでしか買えないモノ、入手方法が良くわからないモノなどお気に入りのモノを、ひそかに発見する楽しみを提供するオンラインショップです。「密買東京」の記事はこちら(※ここから先は「密買東京」のサイトです。商品を購入する際は「密買東京」の規約等を確認の上、ご自身の判断でご購入ください)

[PR]

密買東京

Copyright(c)密買東京 記事・画像の無断転用を禁じます

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ

Pickup!