キャンピングカーで行こう!

キャンピングカーでもできるユーザー車検とその注意事項

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年6月13日

安全なキャンピングカー旅行には、クルマの整備は欠かせない(gettyimages)

当然のことながら、キャンピングカーも自動車です。乗用車と同じで、定期的に車検を受け(合格させ)なければ、走らせることはできません。

最短で1年。長くても2年程度で巡ってくる車検ですが、ビルダーやカーディーラーにお任せしてしまうならば、全く問題ありません。しかし「少しでも節約したい」と、ユーザー車検にチャレンジされるオーナーさんも少なくないようです。

今回はキャンピングカーのユーザー車検のお話です。

「ユーザー車検」こそ本来の姿?

キャンピングカーの安全・安心には「適切な整備」が不可欠。誰かに頼むなら、キャンピングカーの特性を理解している人や会社にお願いしよう

車検について定めている道路運送車両法によれば、自動車の使用者は「自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない」とあります。

つまり、車検を受けることは使用者(=ユーザー)の義務であり、車検とはユーザーが受けるもの。それをビルダーやディーラー、あるいは街なかの自動車工場など一定の基準を満たした業者に「委託することが許されている」のです。

古くから自動車に乗っている人で、昔の検査場の雰囲気を知っている人ならば、「ユーザー車検も楽になった」「簡単になった」という印象をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

昔の検査場は「プロ以外お断り」のシビアな場所でした。自分で車を持ち込むユーザーは、よほど車の整備に自信がある人のみ。つまり、「中途半端な知識や技術で整備して持ち込まれても、ダメ出しすることになって順調に進まないから迷惑」というスタンスだったのです。

ですが、法律にも「使用者が検査を受けなさい」と書かれているのに「使用者が持ち込めないのはおかしい」という指摘があり、今や検査場にもユーザー車検用の受付窓口が設けられるようになりました。

さらにはインターネットによる情報共有が広がり、ちょっと調べれば「こんなに簡単!」「○○円も節約できた!」という情報が飛び交っています。

言わずもがなですが、車検とは、安全に・安心して走行できるだけの基準を満たしているかどうかを確認するために行うもの。以前にもお話ししたとおり、オイル漏れがないか、ブレーキは正しく作動するかなど、車の基本動作(=走る、曲がる、止まる)を中心に確認が行われます。ですが、もちろん、それだけでは終わりません。車の種別(乗用車、貨物車、バスなど)によって、独自の検査項目がそれに加わります。

では、キャンピングカーの車検とはどのようなものでしょうか。

8ナンバー車の車検とは

納得できる整備を受けるためには事前に「何を」「何のために」「いくらかけて」行うのか相談しよう。節約したいからといって、価格だけで安易に判断するのは危険だ

8ナンバーのキャンピングカー・キャンピングトレーラーの場合は、構造要件を満たしているかについての「簡単な」検査があります。なぜ「簡単な」と強調したかと言えば、本当に「構造要件に定められた設備がちゃんとあるか」をざっと確認する程度だからです。構造要件にはベッドのサイズ、キッチン前の室内高の数値などが事細かに決められています。

しかし、私のこれまでの経験では、それらすべてをチェックされたことはありません。かといって、今後もまったく見られないと決まっているわけではないので、もしかしたら詳細に調べられることもあるかもしれません。

例えば、毎年5月、6月ごろは新人の検査官が各地の検査場に配置される季節。「珍しい車両の実地訓練」とばかりに、あれこれと測り、「ベッドを展開して見せてください」などとやっている姿を見かけます。いずれにせよ構造要件は8ナンバーの条件ですから、いつ調べられてもクリアできるようにしておかなければならないというわけです。

しかし、仮に詳細に調べられたとしても、それぞれの設備の動作確認までしてくれるわけではありません。「シンクの水がちゃんと出るか」なんてことはチェックされませんから、仮に故障していても「定められた設備」としてついていれば通ってしまうというわけです。

点検整備は念入りに!

最近は構造要件(居室部分の装備)について、細かく点検される傾向があるようだ。自己流の改造などしていなければ問題ないはずだが、8ナンバーの人はいま一度、愛車の装備を確認しておこう(写真提供:ドリームエーティー社)

検査場の受け入れ態勢が整ってきたこともあり、ユーザー車検のハードルは年々、低くなってきています。実際やってみるとわかりますが、わからないところは懇切丁寧に教えてくれますし「拍子抜けするほど簡単でした」という感想も聞かれます。

今、ユーザー車検は非常に優遇されているといえます。

車検とは本来、まず先に「法定点検整備」を行った上で受けるものですが、ユーザー車検の場合は例外が認められているのです。

つまり「整備→検査」、ではなく、整備を検査の後に行う「前検査・後整備」でもOK。事前整備なしのぶっつけ本番でも、最低限検査に通る状態であれば合格できるのです。しかも後回しにした「整備」を後日実施したかどうか、その証明は求められません。

じゃあ「後整備なんてしなくてもいいんですね?」と言われると、それには賛成しかねます。なぜなら「最低限の検査には通った車」と「どんな条件下でも安心して走れる万全に整備された車」とでは意味が違うからです。

どうも「ユーザー車検」=節約できる、という論調が独り歩きしている点は気になりますが、

■ユーザー自身に十分な知識・技術があり、必要な整備を自ら行う
■ビルダーやディーラー、または整備工場に整備を依頼する

など、車検の前でも後でもいいから愛車の点検整備は行っておくのが自分のためです。

ご存じの通り、キャンピングカーは乗用車とは違います。さまざまな装備を架装していて、荷物を積んだ状態の貨物車のような重量があります。キャンピングカーのプロは経験に基づいて「この車両でこの走り方なら、そろそろ○○を換えておいたほうがいいな」など、『予見整備』を行ってくれます。ここで大切なのはそのプロとユーザーの信頼関係です。

「故障していない部品を早めに交換すると“不要な事をするな!”と怒る方がいらっしゃるんです。しなくてもいい交換をして金もうけしようとしてる!、と誤解されてしまう。旅先で故障したら、それこそ大ごとになるので、先を見越した整備が重要なのですが……」

これは、あるキャンピングカー販売店の整備担当の方から聞いた話です。

キャンピングカーに限った話ではありませんが、車検に「合格した」というのは「その日、検査に合格できる状態だった」ということにすぎません。次の車検まで無事に走れると保証された訳ではないのです。日頃から点検整備を行い、予防整備もする。愛車のケア(点検整備)をお願いするプロとの信頼関係を築き、適切なアドバイスをもらえるようにしておく。

それがいつまでも安心・安全に走る上で、とても大切なポイントなのです。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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