小川フミオのモーターカー

“若々しい”ドライブが楽しめる カローラ・ハッチバック・プロトタイプ試乗記

  • 小川フミオの試乗記
  • 2018年6月14日

全長4370mm、全幅1790mm、全高1435mm

まもなくカローラが12代目にフルモデルチェンジする。みるべき点は、従来のセダンおよびステーションワゴンから、若々しいハッチバックスタイルになったこと。

「現行カローラ・アクシオ(セダン)のユーザーの平均年齢は70歳、フィールダー(ステーションワゴン)は60歳。新型で20代と30代にターゲットを移したいと考えています」

開発を担当したトヨタ自動車の小西良樹チーフエンジニアはそう語る。70代から20代。ずいぶんな若返りである。

開発では「コネクテッド」とデザインと走りの両面から「クルマ本来の楽しさ」を軸にしたそうだ。アクシオやフィールダーもけっして悪いクルマでないのだが、今回は明確な性格付けを行ったということだろう。

コネクテッドとは、Wi-Fiなどを介して外部との通信機能を持つことを意味するのが一般的な解釈だ。カローラ・ハッチバックではどうなるか。あいにく「まもなくの発表まで待ってください」(トヨタの開発担当者)ということだった。

一方の走りはどうか。まだハッチバック(仮称)プロトタイプという車名のモデルだが、富士スピードウェイのショートサーキットで実際に味わうことが出来た。

ダッシュボードはすっきりとまとめられている

ぼくはこれまでに、2018年3月のジュネーブ自動車ショー(このときは「オーリス」の欧州名)と、続くニューヨーク自動車ショーで実車を見る機会に恵まれていたけれど、乗ったのは今回が初めてだ。

カローラ・ハッチバック・プロトタイプは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)なるプラットフォーム戦略の下で開発されている。

シャシーは現行プリウスやC-HRと基本的に同じだが、ステアリング剛性、戻り制御、乗り心地、静粛性などはC-HRよりさらに向上しているとされる。

パワープラントのラインアップは、1.8Lハイブリッドと、1.2Lガソリンの2本立て。前輪駆動に無段変速の組み合わせが標準だが、ガソリン車には4WDと、マニュアル変速機も用意される。

「iMT」と名づけられたマニュアル変速機は、「扱いやすく楽しく」が開発目標だったそうだ。ごく低回転域でクラッチをつなぐなど、普通は“がくがく”しそうな場面でも、コンピューターがエンジントルクを調整してくれるシステムである。

果たしてどのモデルもよく走った。

ハイブリッドモデルは静かに力強く加速する。「コーナリングがよりスムーズに行えるように」と開発担当者が説明してくれた新設計のダンパーのおかげだろうか。ステアリングホイールを操作して曲がるときの操舵感覚の気持ちよさが、印象をさらによくしている。

ドライブモードが三つ(ノーマルとエコとスポーツ)設定されていて、ノーマルでも遜色ないと思ったが、スポーツにするとあらゆる速度域で活発な加速が味わえる。

まっすぐな道(ショートサーキットではわずかしかないのだが)での乗り心地もよいと感じた。「高速道路ではしなやかに走り、かつ静粛性も高いと思ってもらえるはず」と開発担当者は胸を張っていた。

ハイブリッドには3段階、1.2Lガソリンには5段階のドライブモードセレクターが備わる

無段変速機だがアクセルペダルの踏み込み量に対する反応もよく、とくにスポーツモードでは、もたもたするようなところは一切ない。

よりスポーティーな走りがしたい人は、1.2Lモデルがいいかもしれない。排気量は小さいけれど、エンジン回転をやや高めに保てば、意外なほど活発だ。ダンパーの動きが締まり、操舵もシャープになる「スポーツ+」モードの設定も効果的である。

全体に抑揚のついたボディーといい、ホールド性がばつぐんのスポーツシートといい、ドライビング感覚とともに、たしかに従来のカローラとはまったく違うキャラクターになっている。

もちろんやや年齢がいっていても、乗って気恥ずかしくなるような派手さはないので、若いユーザーというより、“若々しい”ユーザーにぴったりかもしれない。

「ニューベーシックをめざす」とは小西チーフエンジニアの言葉である。「従来カローラがそうであったように、広い層に楽しんでもらえるクルマになることを企図しました」

実際に路上で乗るのが楽しみになる完成度だった。

(文・小川フミオ)

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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