パパって楽しい

子どものウソを「味わい深い」と思える理由 脳研究者・池谷裕二さん

  • 2018年6月19日

「子育ては自分をマリアブル(変化すること、鍛えること)にする。娘に教えるために知識を広げたり、パパ会に参加して新たな発見をしたり。子どもたちが、『この年になってもまだ変われるんだ』と気づかせてくれました」と話す、脳研究者の池谷裕二さん

東京大学薬学部教授の池谷裕二さんは、5歳と2歳の女の子のお父さん。娘の成長と脳の発達過程の関連をわかりやすくまとめた著書『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』(クレヨンハウス刊)が昨年の発売以来、人気を呼んでいます。育児も家事も得意な脳研究者に、子育てについて伺いました。

    ◇

脳研究という仕事は、とても楽しいです。だからずっと「この仕事さえあればいいや」と思っていたのに、今では仕事よりも子どもの方が好きになってしまって、毎日毎日、早く家に帰りたくてソワソワしています。

なぜ子育てを楽しいと感じるのか。その理由の一つは、子どもといると何も考えずに今この瞬間の「楽しい!」に没頭できるからです。フランスの作家ラ・ブリュイエールは「子どもは未来を想像することも過去を振り返ることもなく、ただ“今”を生きている」と言っています。一方、大人は「1年後はあれをやろう」「2年前こんなことがあった」なんて考えながら生きている。大人は捉える時間の幅が広いんです。先行きに不安を感じて落ち込むのも、大人だからこそ持ちうる感覚と言えます。

そんなとき、お酒を飲みに行って「楽しい」に没頭する時間を作ることもできますが、これでは人工的ですよね。わざわざそういう場を自分で作らなくても、子どもと一緒だと自然と童心に帰るような時間が持てるから、飲み歩くよりも子育てをする方が私には有意義に思えます。

ところで最近、次女が初めてのうそをつきました。やっと人間っぽくなってきた気がして、すごくうれしかったです。というのも、目的と手段が合理的に一貫していないとうそをつくことはできませんから、高度な認知能力が必要なんですよ。将来、社会で波風を立てずに生きていくためには、つまらなくても「楽しい」って言わなきゃいけないこともある。生きるために必要なテクニックを今まさに磨いているのだと思うと、子どものうその一つ一つが味わい深く感じられます。

娘たちが可愛すぎてなんでもやってあげたくなってしまい、ブレーキを踏むのに日々苦労している私ですが、唯一ブレーキを踏む気がないのが、“体験させること”へのこだわりです。

先日も、長女にテントウムシの生態を教えるべく、公園で「ハルジオンにはいるけどムラサキカタバミにはいないでしょ」と話しかけながらテントウムシを見つけて、指先まで上りきったら飛んでいく様を見せてあげました。私、実は虫が嫌いなのでできれば触りたくなかったのですが、娘のためにがんばりました。

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そうまでしたのに、その日の夜お風呂に入りながら「テントウムシ楽しかった?」って聞いたら、返ってきた言葉は「ふつう」。めちゃめちゃがっかりしましたけど、まぁ、親の期待通りの反応が返ってこないのも子育ての楽しさですよね……。

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