キャンピングカーで行こう!

どうなっているの? キャンピングカーの冷蔵庫の仕組みとお薦め活用術

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年6月27日

  

食材の鮮度を保持したり冷たい飲み物を貯蔵しておいたりと、これからの季節に大活躍してくれるのが冷蔵庫です。キャンピングカーの場合、限られた空間に生活設備が配置されていますから、車によって装備されているものと、いないものがあります。

特に普段使いと兼用しやすいバンコンなどでは、装備されていてもどうしても小さいものになりがちですし、場合によってはポータブル式の場合もあります。

こんな環境でも、食品の鮮度が保てたり、冷たい飲み物が飲めたり。冷蔵庫はキャンピングカー旅の必需品だ。ちなみに国土の広いアメリカでは車両も大型。冷蔵庫も家庭用サイズを搭載していることが多い

「長期で出掛けないからクーラーボックスで……」という方もいらっしゃいますが、保冷剤や氷の準備が必要ですし冷やし続ける時間も冷蔵庫のようにはいきませんよね。

今回はそんな、キャンピングカーの冷蔵庫についてのお話です。

仕組みが異なる3種類の冷蔵庫

キャンピングカーで使われている冷蔵庫は、その仕組みによって分類すると3種類あります。

海外のキャンピングカーショーでは冷蔵庫の使いやすさを見せる展示も。バカンスが長かったり、家族の人数が多い家では冷蔵庫の容量は大問題! 冷蔵庫を隅々までしっかりとチェックする人の姿が見られた

静かで構造が単純な「電子式」

2種類の半導体を電極でつなぎ電気を流すと、一方では吸熱し、他方で発熱します。この原理(ペルチェ効果)を利用して、箱内部の温度を吸熱、箱外部に放出する仕組みです。この方式を使った「電子式」は半導体に電気を流すだけなので、作動音がほとんどしない特長があります。寝ている頭のすぐそばに置いてあっても気にならないほどの静かさです。また、構造も非常に単純なため、他の方式に比べると安価に作ることができます。ただ、冷却効率はあまりよくありませんので、ごく小型のポータブルタイプに限られます。

温めると冷える? 不思議な「吸熱式」

アンモニアを加熱して気化させ、その際に生じる気化熱で庫内を冷却するのが「吸熱方式」です。この方式はガスなどを使ってアンモニアを温めますので、ガスのシステムを搭載した、アメリカ製やヨーロッパ製に多いタイプです。この方式にも可動部がありませんので、電子式ほどではないですがとても静かです。

アンモニアの温め方にもいろいろあって、「ガスを燃焼させる」や「電気ヒーターを使う」などを選択することもできます。詳しく言うと「ガス」と「AC100V」を使い分ける2Way型、「ガス」「AC100V」「DC12V」を使い分ける3Way型があります。

この方式を採用した冷蔵庫そのものの大きさもさまざまで、ポータブルタイプから家庭用に匹敵する大型の物まであります。

ガス使用時にはDC12Vも必要ですが、その際の消費電力は非常に少ないためキャンピングカー向きといえるでしょう。「我が家」もこの吸熱式の2Wayタイプですが、気になるのは熱源をどう使い分ける仕組みなのか、ということですよね。

これは車の仕組みにもよります。例えば我が家の2Way冷蔵庫はオートモードにすると、AC100Vを優先的に使うようになっています。AC100Vは外部電源(コンセントをつなぐか、発電機を回すか)から得られる電気ですので、特にコンセントからつなぐ場合は、ある意味無限に電気が使えます。外部電源が得られないとなると、自動的にガスに切り替わります。ガスは搭載しているボンベのガスですから、有限です。電気が使える環境ではガスを温存して、長時間冷やし続けよう、という発想です。

ちなみに国産キャンピングカーの場合は、外部電源につなぐことをあまりイメージしていません。電源のないところでも使えるように、という発想から、バッテリーから供給されるDC12Vの電源のみを使う、いわば1Wayタイプが主流です。そのため、1Wayタイプではバッテリーの容量と冷蔵庫の消費電量のバランスが大切となりますが、電源付きのキャンプ場や発電機を使えば、コンバーターでAC100VがDC12Vに変換されますのでバッテリーに負担をかけずに使い続けることができるというわけです。

コンパクトなキャンピングカーには、コンパクトな冷蔵庫を。不要な時は降ろしてしまえるのもメリットだ

家庭用と同じ「気化圧縮式」

一般家庭で使われている冷蔵庫が「気化圧縮型」です。モーターでコンプレッサーを動かし、冷媒(昔はフロンガスでしたが、今は代替ガスです)の圧縮と減圧を繰り返すことで冷却する仕組みです。車載用としてはDC12Vで作動するタイプが主流ですが、オール電化のキャンピングカーでは、小型の家庭用(AC100V利用)を搭載したものもあります。家庭用冷蔵庫は昔に比べればかなりの静穏設計になりましたが、それでも前にご紹介した電子式や吸熱式に比べると若干、音はします。まして、車の中の限られた空間ですから、静かな場所で停泊していると作動音が気になるかもしれません。

賢い使い方を知っておこう!

どの方式の冷蔵庫にせよ、車載設備ですから限られた条件下での作動になります。性能面で家庭用と比較すると、どうしても冷却能力がやや弱くなり、外気温に左右されやすい点は否めません。また、外部から電力供給を受けられる「電源サイト」以外では、ガスボンベかバッテリーで動作させることになりますから、省エネも心掛けたいところです。そこで知っておきたいのが、賢く使うためのちょっとしたコツです。

限られた室内空間を有効に使うため、昨年のヨーロッパのショーでは天つりタイプの冷蔵庫も登場して注目されていた

出掛ける半日前位にはスイッチをONに

どの方式でも、スイッチを入れていきなり冷えてはくれません。出発の半日ぐらい前にはスイッチを入れておいて予冷しておきましょう。もちろん、この時に外部電源(自宅のコンセント)につないでおけば、なおGoodです。

予冷のときには保冷剤を使おう

予冷するとき、自宅の冷蔵庫で冷やしておいた保冷剤などを入れると、さらに早く温度が下がり、省エネにも◎です。また、車載冷蔵庫に冷凍庫がついている場合は、保冷剤を冷凍室で冷やし、冷えたら冷蔵室に移すのも効果的です。

可能な限り冷やした食材を入れる

自宅から持ち出すにせよ、旅先で買うにせよ、せっかく予冷した冷蔵庫ですから、なるべく冷やしてあるものを入れるように心がけます。冷たい庫内に常温のものをたくさんいれると、また冷たい状態に戻るのに時間がかかりますし効率もよくありません。

ポータブルの吸熱式はガスに注意!

ガスを使って冷やす吸熱式の場合、冷蔵庫が車内に作りつけになっている(車載タイプ)なら問題ありません。FFヒーター同様、冷蔵庫がガスを使っても、車内の空気を汚すことがないようにできているからです。

注意が必要なのは吸熱式冷蔵庫のポータブルタイプです。ポータブルの吸熱式はカセットガスを使って冷媒を温めます。これは、車内でカセットコンロをつけっぱなしにするのと同じこと。何より換気が大切ですが、一酸化炭素中毒の危険性を考えると、車内ではガスを使わないようにしましょう。また、万が一に備えて、一酸化炭素警報器もつけておきたいものです。

いかがでしたか? 高温多湿な日本の夏。食材を持っていくにせよ、旅先から買って帰るにせよ、安心して食べられることが何より大切です。あると便利な冷蔵庫ですが、それぞれの特徴を知って、正しく使うよう心掛けたいですね。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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