モーニング娘。20周年企画

吉澤ひとみ(後編) 改革から始まったプラチナ期へのバトン

  • 第2回
  • 2018年7月5日

  

封建的な組織からの脱却

2005年春、20歳の誕生日を迎えた直後、吉澤ひとみは、矢口真里の脱退により繰り上がる形でリーダーに就任した。そのころ世間では、小泉純一郎内閣総理大臣による郵政民営化法案、いわゆる「小泉劇場」が話題を呼んでいた。そして、「モー娘。」の新たなリーダーもまた、“改革”に着手し始めたのだった。

「部活などでもよくあるような、後輩を呼び出して“こういう方針でやっていくから”みたいな感じにはしたくない。みんなが伸び伸び活動できるようにしたかったんです。ただ、目的はひとつで、ゴールは決まっている。メンバー一丸でそこに向かうことさえ忘れなければ、―――もちろんルール違反はいけないですけど、“常識の範囲内であれば何してもいい”みたいな感じでしたね」

当時の吉澤の頭の中には、初代リーダー 中澤裕子の姿がある。

  

「中澤姐さんがリーダー時代は厳しいルールがあったからこそ、みんな緊張感をもって活動できていました。黎明期からグループを作り上げていく上では必要な要素ですし、モーニング娘。にそういう時代があったことは大切でした。だからこそ、姐さんが卒業したことでメンバーそれぞれに”しっかりやらなければ”という意識改革が起きて、1~3期までの先輩みなさん全員がサブリーダーみたいな感じで、リーダーのかおりん(飯田圭織)を支えているようでした。たとえば、私たち後輩もダンスならやぐっちゃん(矢口)に、歌ならかおりんや圭ちゃん(保田圭)に相談していて、役割分担されていました」

予測不能の起爆剤として活躍した「辻加護(辻希美、加護亜依)」が卒業し、石川梨華も続いた。4期でただひとり残った吉澤は、それまでやや封建的だった組織からの脱却―――各々の個性を伸ばし、自主性を重んじる集団性を求め始めた。

先輩の力だけで続いていると思われるのはイヤ

「中澤姐さんのやり方ではないし、2代目、3代目のリーダーのやり方でもない。自分なりのやり方で、グループを作っていくことにしました。『モーニング娘。』は学校ではないし、私たちは友達でもない。仕事なんです。だから年齢が近いからといって、仲良くなり過ぎるのは良くない。相談もしなかったですし、プライベートの話などもほとんどしなかった。後輩たちを変に固めるのではなく、個々に伸び伸び活動できるグループを目指しました」

その方向性は時代ともマッチしていた。しかし、そんな彼女の思いとは裏腹に、モーニング娘。の人気は徐々に陰りを見せていく。とりわけテレビを中心としたメディアでの存在感は減少していき、CDのセールスでは吉澤がリーダーに就任したころには、オリコン週間シングルランキングで1位を獲れなくなってしまった。

  

「いまだにカラオケへ行くと、『LOVEマシーン』や『恋愛レボリューション21』『ザ☆ピ~ス!』といった曲を歌ってくださる人がたくさんいらっしゃいますよね。それまでの各リーダーは、必ずオリコン1位という成績を残していたので、ずっと悔しい気持ちがあって。先輩の力だけで続いていると思われるのはイヤだ……っていう想いは、後の代の子たちも強く持っていたと思います」

彼女には黄金期の経験がある。世間の耳目を集め、お茶の間レベルにまで浸透していくことのすごさと難しさを知るからこそ、先輩たちやかつてのヒット曲の大きさは痛感していた。

「だから『歩いてる』でやっとオリコン1位を獲って、ピンク・レディーさんの記録も抜かせていただいた。あの時は大きな達成感がありましたね。自分がリーダーのうちに何かを残したいと思っていたのですごくうれしかったですし、つんく♂さんにも“オリコン1位、獲りました!”って報告したことを覚えています」

そしてプラチナ期へ “2人が手を取り合えば上手くやっていける”

【動画】YouTube「モーニング娘。 『歩いてる』 (MV)」

2006年夏、5期 紺野あさ美と小川麻琴が卒業し、8人体制のモー娘。はシングル「歩いてる」で約3年半ぶりにオリコン週間ランキング1位を獲得。ピンク・レディーとタイ記録だった“女性グループによるオリコンの週間シングルランキングCD 1位の回数”を10に伸ばし、当時の歴代最多記録を更新した。しかし悲願は果たすも状況が好転したわけではなく、翌年2月のシングル「笑顔YESヌード」は週間4位。そして同年5月、7年と20日という長きにわたって在籍し、うち2年間リーダーの責務を全うしてきた吉澤ひとみは、そのバトンを後輩に託してグループを卒業する。

「高橋(愛)は一見リーダーというタイプではないというか、非常にマイペースだし、おっちょこちょいで天然な子だったから、ちょっと心配はしていましたね。ただ、サブリーダーにガキさん(新垣里沙)がいるから大丈夫だろうとも思っていました。ガキさんはしっかり者なんですよ。ライブでも収録でも『はい、何分前です。行きますよー!』って、引率の先生のようにグループをまとめることができる。後輩たちに厳しいことを言えるのはガキさんだったから、2人が手を取り合っていければ、上手くやっていけると思っていました」

  

インタビューの最後、吉澤が口にした言葉は、グループ、とりわけ同期メンバーの結束の強さを物語るものだった。

「あのときオーディションを受けた25,000人ぐらいの中で、もちろん『モーニング娘。』になれたこともすごいんですけど、そこに一緒に飛び込んでいく仲間がいたことがうれしかったし、そういう縁がなかったらあの3人と出会えていない。たぶん前世でつながりがあったぐらいの関係なんだと思います。だからメンバーのことはみんな好きですけど、同期のことがいちばん好きかもしれない。4期の20周年は4人で集まりたいです」

彼女の卒業をもって、モーニング娘。は4期までのメンバーが全員グループを去ったことになり、時代はいよいよプラチナ期へ。第3回からは、長く続いていく不遇と革新の時代をサブリーダーという形で支えた“ガキさん”こと新垣里沙にスポットを当てていく。

(インタビュー・文:平賀哲雄、撮影:Jumpei Yamada)

 

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<吉澤ひとみさん出演情報>

『埼玉で開催!2年前イベント ~Tokyo 2020 2 Years to Go! 』

■ 開催日程 : 7月21日(土)・22日(日)

■ 開催時間 : 10:00~18:00 (※OUTLETは、10:00~19:00)

■ 開催場所 : イオンレイクタウン(mori・kaze・OUTLET )

■ 主催 : 2020オリンピック・パラリンピック ラグビーワールドカップ2019 埼玉県推進組織委員会

■ 共催 :オリンピック・パラリンピック等経済界協議会

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