キャンピングカーで行こう!

キャンピングカーの車検、ヘッドライトで不合格にならないために

  • 文 渡部竜生
  • 2018年7月4日

  

どんな車にもついているヘッドライト。ロービームとハイビームがあるのはご存じだと思います。では、ロービームとハイビームを法的には何と呼ぶかもご存じでしょうか。

ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」。ハイビームは「走行用前照灯」といいます。

名前からわかる通り、ヘッドライトは通常走行時にはハイビームを使用するのが基本。対向車や前走車、また歩行者や自転車利用者が存在する場合はロービームに切り替えるというのが法的に正しい使い方です(市街地など交通量が多い道路ではロービームのままでOKです)。

夜間、進路を照らしてくれるだけでなく、昼間であっても自車の存在を周囲に知らせるなど、非常に大切なのがヘッドライト。その検査方法(車検時)が変更になります。今回はそのお話を。

ハイビームとロービームの違い

快適な夜間走行にはヘッドライトは不可欠。写真はドイツ・デスレフ社のキャンピングカー。ヘッドライトはデスレフオリジナルデザインだ

まず、ハイビームとロービームの違いを理解する必要があります。ハイとロー、単純に光軸が上を向いているか、下を向いているかの違いだと思っている人も多いでしょう。実はそれだけではないのです。

ハイビームの目的は「遠くまで照らすこと」。見通しの悪い夜、少しでも周囲の状況が視界に入りやすいように、より遠く・より広く、明るく照らすのがハイビームです。

しかし、それでは対向車がすれ違う時にまぶしい思いをしますよね。運転手が幻惑されるのは非常に危険です。だからこそ対向車がいるとき、先行車がいるとき(前を走る車のミラーにまともに光が当たらないように)はロービームへの切り替えが推奨されているのです。

ロービームは前述のとおり、ただ単にやや下向きに照らす、というわけではありません。実は右前方がより低くなる(照らす範囲が狭くなる)ようにできています。それは、左側通行の日本では、対向車は右側になるからです。右側通行の欧米では、逆に左側が低く・狭くなるようにできています。

ヘッドライトが照らす方向の中心線を「光軸」と呼びます。ヘッドライトは左右それぞれの光量と光軸が定められていて、車検の際にもチェックされる重要なポイントなのですが、その基準や規制が、2015年(平成27)年9月1日から変更されました。

それまでは、車検時のチェックはハイビームで行われていて、ロービームのチェックはなかったのです。

それが、同年9月1日以降は原則としてロービームによる計測が行われることになりました。ここには経過措置があって、ロービームで計測して基準を満たしていない場合は、ハイビームによる計測を実施。ハイビームで合格ならOKとしたのです。

経過措置が終了!さてどうなる……?

アメリカの広大な大地や、交通量の少ないヨーロッパの田舎道ならともかく、市街地走行の多い日本では、ほとんどロービームしか使わない。となれば、車検時にロービームをチェックするのは現実に即しているといえるだろう

この経過措置が今年5月31日までで終了し、6月1日からはロービームによる検査の全面施行に向けて第二段階へと進みました。ハイビーム計測のみでOKとするのは廃止。とはいえいきなり厳しい基準でロービームを計測しても基準を満たさない車が続出する可能性がありますから、現在は暫定的に本来の基準よりはかなりゆるい条件で運用されています。最終的な運用に移行するまでの間に、計測手法が見直されることになりました。

細かな規定の解説はしませんが、要するにロービームでの検査がより厳しくなったということです(興味のある方は下のお知らせ文をご覧ください)。

  

対象となるのは1998年(平成10年9月1日)以降に製造された自動車です。前節で書いた通り、日本は左側通行ですのでロービームは右側を低く照らすようになっています。しかし、欧米からの輸入車は右側通行仕様ですから、左側を低く照らすようになっているのです。

以前は、ヘッドライトの規格は世界共通でした(角型2灯式、角型4灯式、丸型2灯式、丸型4灯式の4パターンのみ)。欧米仕様の車両が入ってきても、日本仕様の規格ライトにつけかえれば話は済んだのです。

ところが現在は、ヘッドライトのデザインも多様になりました。車種ごとにデザインが違っているので(異形ライト)、規格ものを交換すれば済む、というわけにはいかなくなったのです。

それでも、欧州からの輸入車両は何とかなります。というのも、左側通行の国イギリスがあるから。イギリス仕様なら、異形ライトでも日本の車検に適合します。困るのは、アメリカ車です。イギリス仕様の設定がある車両が極端に少ないのです。

キャンピングカーへの影響は?

国産車の場合は「ほぼ」関係ないと言ってよいでしょう。「ほぼ」というのは、元々ハロゲン球だったものを、アフターマーケット品のHIDやLEDに換装したりしている場合に、注意が必要だからです。こうした社外品によっては正しく光軸が調整できず、不合格となることがあります。この場合は元のハロゲン球に戻す作業が必要になってきます。

車検の時だけ元のハロゲン球に交換して車検を通し、「合格したからまたHIDやLEDに入れ替える」という方がいらっしゃいますが、それは間違いです。車検に合格できないようなアフターマーケット品は使うべきではありません。HIDやLEDに換装するなら、きちんと規定どおりの光軸が出る製品を選びましょう。

輸入車の場合は、この改正により大きな影響を受けることが予想されます。

ベース車両がヨーロッパ車で、日本に輸入するにあたってイギリス仕様など、左側通行仕様のヘッドライトを装着していれば問題ありません。

問題なのは「右側通行仕様」のまま輸入された車です。もう「ハイビームの計測」で車検を通すことはできません。左側通行用のヘッドライトに交換するしか対策がないのです。あなたの愛車のヘッドライトが、昔ながらの丸型2灯式、角型2灯式など「規格ライト」ならば、左側通行用のヘッドライトを手に入れて交換すればいいだけなので簡単です。しかし、前項で書いたとおり独自デザインの「異形ライト」で、しかも「左側通行仕様」がない場合、何らかの対策が必要になります。

アメリカ製キャンピングカーのベース車両に多い、フォードEシリーズ。左がオリジナルデザイン(異形ライト)、右が規格ライトだ

ちなみに、私の愛車はアメリカ車です。元々「オリジナルデザイン」の異形ライトが装着されていて、左側通行仕様のライトはありません。

調べたところ、同車種でも低グレードタイプなら規格ライトを搭載していることがわかりました。そこで低グレード用のパーツを取り寄せ、規格ライトが付けられるようにして、日本製の規格ライトを取り付けました。

いざ車検場に行って「光軸検査に通らない!」では大変です。乗っている車によって、すぐ対応できる・できないは違います。輸入車に乗っている方は、早めに販売店に相談されることをお勧めします。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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