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オトナ専用の「エンタメコンテンツ」というタイムマシンに乗って。

  • 文・りょかち
  • 2018年7月10日

懐かしい曲を聴いて当時の風景を思い出すことは誰にでも経験があること。その瞬間、あなたの意識は過去へと時間旅行していると言えるかも

この世にタイムマシンが既にあるとするならば、それは、「良質なエンタメコンテンツ」だと、私は思う。

私たちは、過去に聞いた音楽や、観た映画を消費しながら、「あの頃」を思い出す。自主的に振り返る思い出よりも、ふと耳にしたイントロや映画の中のセリフのほうが、鮮明に「あの日」を思い出させるのはなぜだろう。

耳や目から流れ込んでくる情報に身を委ねていると、いつの間にか乗り込んでいるタイムマシンは、私たちを遠い過去へと運んでくれる。

私がエンタメコンテンツに熱心になったきっかけ

そんな、素晴らしきツールである「過去のエンタメコンテンツ」だが、私は最近、以前よりたくさん消費するようになった。きっかけははっきりしていて、映像や音楽の「サブスクリプションサービス」の流行である。

サブスクリプションサービスとは、月1000〜1500円程度の定額で、サービス内の音楽や映画を聴き放題、見放題というものである。音楽では、SpotifyやLINE MUSIC、AWAなどがあり、映像では、Amazonプライム・ビデオ、Netflix、Huluなどがある。

私は最近、毎朝LINE MUSICでモーニング娘。を聞きながら出勤している。暑くなってきたので、ORANGE RANGEを久しぶりに聞いてみたりもする。帰宅した後は、Netflixでお気に入りの映画を繰り返し見ている。

私は中学生の頃は“エンタメオタク”で、帰宅部だったこともあり、15時ごろには家に帰って、深夜までずっと音楽を聞いたり、テレビを観たりして過ごしていた。

しかし、進学校に入学した高校時代からは、まったくそれらに触れなくなった。そのため、いま私がひたすら消費しているのは、2000年代前半の音楽や映画やドラマだ。そして、当時のことを思い出し、人生で数え切れないほど反芻(はんすう)したメロディーに身体が反射的にうれしくなることを楽しんでいる。

サブスクリプションサービスが連れてきたエンタメへの熱狂

定額課金制のコンテンツサービスは急速に普及している(Gettyimages)

サブスクリプションサービスのヘビーユースは、もちろん私に限った話ではない。最近のミーハーな若い子はみんな、Netflixのお気に入りコンテンツを友人たちと教え合うことを楽しみにしているし、Spotifyなどの音楽サブスクリプションサービスも、すっかり多くの人に定着した。

最近は、Mr.Childrenや椎名林檎ら大物ミュージシャンがそうしたサービスに自分の楽曲を公開しだしたこともあってか、それほどネットに詳しいわけではないアラサー世代の人達も、サブスクリプションサービスの利用に熱心になってきたように感じる。

さらに近年は、スマートテレビというものがあり、最初からテレビでサブスクリプションサービスの映像を見られるように設定された(リモコンにボタンがあったり、メニューからサービスを選択できたりする)モデルもあるようだ。家のテレビでAmazonプライム・ビデオを見るようになった私の先輩は、ひたすら青春時代にはまった海外ドラマ「フレンズ」シリーズを見直しているという。

そして、そんなサブスクリプションサービスの流行とともに感じるのは、エンタメコンテンツへの熱量の増加だ。みんな、音楽の話をしている。みんな、映像作品の話をしている。そんなシーンを最近よく見るようになった気がしている。

静かに、最近また世の中の人の視線が、エンタメコンテンツに向き始めた雰囲気を感じるのだ。

「タイムマシンにおねがい」できる2018年

かつて親しんだコンテンツを改めて「オトナ買い」してみるのも、休日の良い過ごし方かもしれない

人生の中に、映像作品や音楽とともにあった時間が長ければ長いほど、映像や音楽が連れてくる過去の思い出は豊富になる。だからこそ、「エンタメコンテンツ」というタイムマシンはオトナになればなるほど、遠くまで飛ぶようになる。大人になるほど、広く遠い世界まで行けるようになるのだ。

もともとコンテンツ消費が大好きな私は、サブスクリプションサービスが流行し始めてから、自分がオトナになっていくことが楽しみになった。毎朝、イヤホンを耳につけるたびに。毎晩、新しいドラマに出会うたびに。いつか、この瞬間を、再度いま消費しているコンテンツとともに思い出す日がくるだろう、と思えるのだ。

インターネット普及の恩恵で情報が限りなく無料に近づいた現代においては、こんなにも素晴らしい「タイムマシン」も非常に安価だ。月額3000円以下で、短い我々の人生においては十分すぎるほどのコンテンツの消費権が与えられる。思い出のあの頃に戻る、という意味では、我々はどこにだって行けるのだ。2018年のオトナは、自分が大人になればなるほど、カジュアルに壮大な旅に出ることができると言っていいだろう。

ヒット曲が頻繁に生まれる、という意味では、90年代がエンタメの最盛期だったかもしれない。しかし、我々消費者の立場でいえば、現代は過去最高に恵まれた時代であるのは間違いないだろう。あの頃あこがれた、コンテンツの「大人買い」がいとも簡単にできるようになったのだから。

過去の名作はもちろん、エンタメコンテンツ消費に熱心なユーザーが増えているにつれ、サブスクリプションサービスというプラットフォーム上でも、オリジナルコンテンツの中から新たな名作がじわじわと生まれ始めている。高い熱量で制作された新しい作品は、私たちを時に、ミライに連れて行ってくれることもあるかもしれない。

大切な過去へ。時にはミライへ。週末ごとに気軽に旅に出られるエンタメというタイムマシンで遊ばない手はない。”タイムマシンにおねがい”して、時間の螺旋を飛び越えて好きな時代に行ける未来は、実はすでに私たちの手の中にあるのだ。

筆者プロフィール

りょかち

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。学生時代より、ライターとして各種ウェブメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題になる。新卒で某IT企業に入社し、アプリやWEBサービスの企画開発に従事。現在では、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎)。
Twitterは@ryokachii

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