小川フミオのモーターカー

トヨタがルマン優勝車「TS050 HYBRID」をベースに造るスーパースポーツカーへの期待

  • 文 小川フミオ
  • 2018年7月20日

サルト・サーキットでの発表会には、ルマンで優勝したトヨタガズーレーシングチームが勢ぞろいした

トヨタ自動車は先日、スーパースポーツカーの市販化に着手した、と発表した。ベースとなるのは、発表翌日に行われた2018年ルマン24時間レースで優勝したクルマ「TS050 HYBRID」だ。

モータースポーツ活動やスポーツモデルの開発を担当するガズーレーシングカンパニーが開発を総指揮する。

2400ccV6ツインターボエンジンにトヨタハイブリッド「レーシング」を組み合わせて735kWが予定されている

ルマンに優勝したことで、「ライバルは現在存在しない」とトヨタ側が胸を張る理由もうなずける

「レーシングマシンTS050 HYBRIDの魅力を、可能な限りダイレクトに、そして扱いやすくした、スーパースポーツカーを世に出すことが、トヨタのWEC参戦を意義深いものにする」と同社の友山茂樹プレジデントは語った。

記者会見の場所は、24時間レース開催を翌日に控えたサーキット内の特設会場。2018年1月に千葉・幕張での「東京オートサロン」で初公開され話題を呼んだ「スーパースポーツコンセプト」プロジェクトがさらに前進していることが明らかにされたのだ。

左はガズーレーシングカンパニーの友山茂樹プレジデント

「ルマン24時間レースはそもそも市販車をベースにしたマシンで競われてきた歴史を持ちます。今回はその逆になりますが、それこそファン・トゥ・ドライブをしっかり持ったスポーツカーになると思います」

TS050 HYBRIDの開発に尽力したドイツに本拠地を置くトヨタモータースポーツGmbHの古場博之チーフエンジニアは、レーススタート前にサルト・サーキットでこう話してくれた。

ついにトヨタ(トヨタガズーレーシング)に勝利の栄冠をもたらした中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソ組のTS050 HYBRID 8号車

リアルなコンセプトカーを見るのは初めてというひとが多かったようで、スーパースポーツコンセプトが姿を現すと会場はどよめいた

いまのスポーツカーはGTレースでも走ることで性能を証明する傾向にある。ルマンのGTE Proクラスでも同様だ。BMW M8をはじめ、ポルシェ911、フェラーリ488、アストンマーティン・ヴァンテッジ、シボレー・コーベットといったモデルが競い合った。

勝つためのかたちであるTS050 HYBRIDとも違うコンセプトモデルのスタイリング

タイヤサイズは前後とも330/710R18

「ピュアスポーツカーというジャンルでは、このクルマにはライバルが見当たりません」(古場さん)

その理由は明らかだ。ルマンのトップクラス、LMP1(ルマンプロトタイプ1)で優勝したマシンをベースに開発するからだ。

発表会ではTS050 HYBRID(左)と2台並べて展示された

たしかに同じカテゴリーにライバルはいないが、先だってメルセデスAMGがF1マシンをベースにした「プロジェクトワン」の計画を発表している。

メルセデスAMG(実際のブランドはAMGのみとなるかもしれない)のスーパースポーツカーはハイブリッドユニットを搭載した全輪駆動でパワーは1000馬力以上、価格は3億超とされている。

サルト・サーキットの特設会場で報道陣にスーパースポーツコンセプトのお披露目をするガズーレーシングカンパニーの友山茂樹プレジデント

2018年7月の週末に英国グッドウッドで開催された「フェスティバル・オブ・スピード」というイベントには、ルマンで優勝したTS050も、プロジェクトワンも展示されていた。かたやF1、かたや耐久マシンとオリジンは異なれど、スーパースポーツカーがガチンコ対決になったらおもしろそうだと思った。

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なるべく早い時期の市販化をめざしたいというトヨタ製のスーパースポーツカー。スタイリングや市販台数など「詳細は検討中」という。次の発表を楽しみに待とうではないか。

(画像提供=トヨタ)

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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