一眼気分

「HANABI〜花火~」撮影で得られた教訓。大切なのは事前のロケハンだ!!

  • 文・写真 宮田正和
  • 2018年7月12日

EOS-1DX Mark II SIGMA 50mm/F1.4 DG HSM SP :14s F:11

これからの季節でだれしも撮ってみたいと一度は思う被写体に花火がある。日本の夏の代表的な風物詩でもある花火、しかしこれを写真に収めようとすると簡単にはいかない……。

何が難しいって、それは花火の最大の魅力でもある、儚(はかな)く消え去るところだ。

ヒュルヒュル〜と打ち上がり、ドン!という音と同時に空一面が鮮やかな色彩で覆われる。しかし、その間わずか数秒、言うなれば花火が上がってからは何もできないに等しい。

EOS-1DX Mark II SIGMA 105mm/F1.4 DG HSM SP:1.7s F:14

であるからには、事前の準備がとても大切になる。今回は夏のハイシーズンに先駆けて熱海の花火大会を撮影してみたのだが、初めてのロケーション、打ち上げ場所すら把握できていない状況。果たしてどのくらいの大きさか、そして距離感に合わせたレンズは何を選択すればいいのか、実際に花火が打ち上がってみなければ分からないことばかりだったので、とりあえずカメラは2台、広角と標準をつけて、交換レンズは4本を目の前に用意した。

シャッタースピードはバルブに設定、絞りはF16。ジッツオの三脚に固定してスタンバイ。花火そのものの時間も短いが、この日のイベントも25分間ということだったので、始まったら本当に何もできないなあと覚悟を決めて挑む。

だが花火の撮影には更なる難問が待っていた……。

花火を撮り慣れた方なら当たり前だと言われるかもしれないが、キチンと構えて撮ったのは今回が初めてのいわば素人同然。まさか「煙」というものの存在を、これほどあからさまに思い知らされることになるとは思わなかった(笑)。

EOS-1DX Mark II SIGMA 105mm/F1.4 DG HSM SP:5s F:11

僕が選んだ撮影ポジションは、宿泊先のホテルの屋上だったのだが、残念なことにそこは打ち上げ場所からは風下にあたり、次々と打ち上げられる花火の硝煙が視野を妨げることになったのだ。想像もしていなかったこの煙のために、正直に打ち明けると、僕が思い描いていた写真は撮ることはできなかった。

桜の撮影も難しかったが、桜は逃げないし、すぐには消えない。しかし花火は……。バルブで切ったシャッターも自分の感覚を頼りに3〜4秒程度にする。もちろんオーバーもあればアンダーになっている場合もある。だからその都度画像を見て調整するのだが、花火の種類によっても明るさが全く異なるので思うようにはいかないのだ。

EOS-1DX Mark II SIGMA 105mm/F1.4 DG HSM SP:6s F:11

ふと気がつけば25分間の宴は終わり、辺りに火薬の匂いとわずかな煙だけを残し、静寂の中に浜に打ち寄せる波音だけが残っていた……。

そしてそこには茫然(ぼうぜん)と目の前の交換レンズを眺めている僕がいた。

気分は完敗。そして花火に必要なのは何をおいてもロケハン! これが今回の教訓。やはり経験を重ねなくては、思い通りの絵を撮るのは難しい。

最近は画像処理ソフトなどで、何枚かの画像を重ねてより豪華絢爛(けんらん)に見せる方も多いようだが、本音を言わせてもらえば僕は好きじゃない。現実に目の前で起きたことをその瞬間で収めるのが僕の写真のスタイルだからだ。

今回の“負け”は悔しいので、これから始まる花火シーズンのカレンダーを見ながら自分のスケジュールの空白を探している(笑)。

EOS-1DX Mark II SIGMA 120-300mm F/2.8 DG OS HSM SP:1/20 F:5.6

写真にはこれといったフォーマットがあるわけではない。自分なりのスタイルで撮ればいいと思う。ただ自分がどんな絵を撮りたいかによって手法は変わってくるので、基本は押さえておくべきだろう。

皆さんもぜひ挑戦してほしい花火撮影だが、立ち入り禁止の指示は守り、当たり前だがゴミは出さず、そして周囲への配慮も忘れずに楽しんで欲しい。マナーを心得ず、ルールを破った結果、つまらない規制を設けられては元も子もない。

「写真は写心であり写信だから」

<今回の撮影に使用した機材>

EOS 1DX Mark II
キヤノンのハイエンドモデル。高速連写性能と高解像度を両立させたモデル。
僕の場合は通常はサーキットでのレースの撮影シーンで使うことが多い。

EOS 5D Mark IV
軽量(Xシリーズと比較して)高画質で色の良さが気に入っている、最近お気に入りの一台。

レンズは多く用意したが結局使用したのは3本。

  

14mm-24mm/F2.8、35mm/F1.4いずれもシグマのレンズだが、撮影の直前にまたすごいレンズが届いたので今回使用してみた。

105mm/F1.4、そのスペックにも驚くが、台座がついていてその容姿は昔のレフレックスレンズのようでもある。1645グラム、約1.6キロ。

巨大だがホールド性は良く、手持ちでも十分使える(あくまでも僕の場合だが……)「BOKEH—MASTER」の別名を持つこのレンズ、絞り込んだ今回の花火ではそれほど感じなかったが、その後室内でポートレート撮影した際に、その実力に驚かされた。

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PROFILE

宮田正和(みやた・まさかず)写真家

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)http://f1scene.com

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