私の一枚

音楽のことを考える暇もなくなる。だからハマッた釣り 葉加瀬太郎

  • 2018年7月23日

3年前の夏。石垣島の沖でキハダマグロを釣り上げる

2002年から16年間、『情熱大陸スペシャルライブ』と題して夏フェスを続けています。今年は、僕が50歳の節目を迎えたということで「葉加瀬太郎サマーフェス」として、夏の大音楽祭とさせていただくことになりました。年を追うごとにどんどん暑くなっている日本の夏ですが、どうかピクニック気分でいらしていただきたいと思っています。

僕のプライベートの夏は、ここ3年ほどはもっぱら石垣島に釣りに出かけています。この写真は、その最初の年のもの。ずっと憧れ続けていた八重山民謡の歌手に会いに行くというテレビ番組の企画で、石垣島に行った時の1枚です。

その歌手の方が歌っていた民謡酒場のスタッフと仲良くなり、一緒に釣りに出て、この大きなキハダマグロを釣り上げました。夜はその酒場でキハダの刺し身を肴(さかな)に飲めや歌えの盛大な宴(うたげ)になって、それ以来、毎年夏になると石垣島にお邪魔して、釣りを楽しんでいます。

もともと、少年時代も含めて釣りにはまったく縁がありませんでした。きっかけは7~8年前、息子が4歳の頃の夏休みでした。長女は習い事の関係で妻と自宅で過ごすというので、じゃあ僕は息子を連れて旅行に行こうということになって、一週間ほどの沖縄2人旅をしたんです。

はじめのうちはビーチやプールで遊ばせて、息子も喜んでいたんですが、何日も経ってくると間が持たなくなってきて、それで乗り合いの釣り船にたまたま乗ってみました。そしたら、息子が大きなソウシハギをビギナーズラックで釣り上げた。それ以来、彼は釣りが楽しくて仕方がなくなって、「息子と遊ぶこと=魚釣り」になりました。

彼の憧れはカジキマグロ。見た目もカッコいいですしね。1年に1、2回は、カジキを狙ったトローリングにも出かけています。彼は10歳の時に、130kgぐらいあるカジキを沖縄で釣り上げています。

よくある話ですが、子供の趣味のためにいろいろとやっていると親もハマっていくもので、最近は僕も、1日オフがあると1人で釣りに行くようになりました。海釣りから市ヶ谷の釣り堀まで、とにかく時間があれば釣りをしたいと思っていますし、道具なんて買いだしてしまったら、もう止まらない。男子の特性ですね。

一度に持てる竿(さお)は一本だけなのに、狙う魚が違えばそれに合う竿が欲しくなって、あれもこれもと言っているうちに、どんどん道具が増えていく。そのコレクション性がまたたまらないですね。特に日本製の釣り具は他の国の追随を許さないクオリティーで、あの小さいリールの中に日本のモノづくりの粋が詰まっていますから。釣りに行けない日は行けない日で、酒を傾けながらその道具の手入れをするのがまた楽しいんです。

息子は『釣りよかでしょう。』という主に佐賀県の釣り人たちがやっているYouTubeのチャンネルが大好きで、そこに出てくる人たちは彼にとってのアイドル、大スターですが、これもあるテレビ番組がきっかけで彼らと連絡を取るようになって、彼らとも2~3カ月に1回は一緒に釣りをしています。彼らの動画に僕も出てくるものだから、最近は僕のことを『釣りよかでしょう。』の人だと思っている人がいて、こないだも博多の街を歩いていたら、通りがかりの人に「釣りよか見てますよ!」って言われてしまいました(笑)。

将来の夢を聞かれて「漁師」と答えるほど魚が大好きな息子ですが、釣るだけではなく料理にも興味があるようで、最近は自分の出刃包丁を持って、家内と一緒に魚をさばいています。もう僕より上手ですよ。クッキングスクールにも行っていますし、寿司屋さんではずっと板前さんの手元を見ていたり、魚をさばく様子を動画に撮ったりしています。でも考えてみると、僕も結婚する前から熱帯魚にハマっていて、今も15槽ほど自宅に水槽がありますから、魚好きは遺伝なのかもしれません。

今年50歳を迎え、ますますバイタリティーあふれる活動を続ける葉加瀬太郎さん

釣りが好きな人って、釣れなくても楽しいって聞きますよね。やってみたら確かにそうで、僕の場合は、釣りに行っているのに釣れ過ぎると楽しくない。釣れ出すと、「釣り」が「漁」になってしまう感じです。

水中をイメージしながらひたすら竿先を見つめる、あの時間がとても好きですね。そもそも、あんなに大きな海に細い糸一本垂らして釣れるわけがないじゃん、って思うでしょ(笑)。トローリングでも、朝の4時か5時に起きて8時間ぐらい流して、それでも1匹も釣れずに帰ってくることもよくある。

旅行の中の1日が、ただ船に乗っていただけで終わってしまう。それでも、その時間が楽しい。釣れない間は、ぼーっとしているように思われるかもしれませんが、どうやったら釣れるかをずっと考えています。見えない水中や海底の地形を想像しながら。夢中で竿先を見つめていると、気づけば夕方5時ぐらいになっている。

もちろん、音楽のことを考えている暇などありません(笑)。ここまで仕事を忘れられる時間は他にありませんし、だからいいのかもしれませんね。

    ◇

はかせ・たろう 1968年、大阪府生まれ。1990年、KRYZLER & KOMPANYのヴァイオリニストとしてデビュー。1995年、セリーヌ・ディオンと共演した「To Love You More」が世界的大ヒット。1996年からはソロ・アーティストとして活動し、アルバム制作やコンサートツアーを積極的に展開。独自の音楽性とパフォーマンスはもちろん、バラエティー番組でのトークやわかりやすい音楽解説でも人気。2015年にはKRYZLER & KOMPANYを再結成。8月1日には生誕50周年を記念したベストCD『ALL TIME BEST』を発売する。

「葉加瀬太郎サマーフェス’18~50thanks evolution~」は7月28日(土)大阪、8月4日(土)・5日(日)東京で開催

◆「葉加瀬太郎サマーフェス’18~50thanks evolution~」大阪公演は7月28日(土) 万博記念公園もみじ川芝生広場、東京公演は8月4日(土)・5日(日) 葛西臨海公園 汐風の広場にて開催。出演は、7月28日が葉加瀬太郎、鈴木雅之、藤井フミヤ、TUBE、SING LIKE TALKING、ゴスペラーズ、押尾コータロー、沖仁、他。8月4日が藤井フミヤ、YAMA-KAN(KAN×山崎まさよし)、SING LIKE TALKING、ゴスペラーズ、KICK THE CAN CREW、押尾コータロー、沖仁、小柳ゆき他。8月5日は、さだまさし、矢野顕子、鈴木雅之、スターダスト☆レビュー、槇原敬之、SALT & SUGAR(塩谷哲・佐藤竹善)、KREVA、KRYZLER & KOMPANY他。(問)キョードー東京 tel:0570-550-799

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ロックやジャズというジャンルにとらわれず、さまざまなアーティストが集う夏フェスにしたいという思いで長年続けてきたイベントなので、今回もここでしか見られないコラボレーションをたくさんご用意しています。例えば、小柳ゆきさんを迎えて「To Love You More」を演奏したり、藤井フミヤさんがゴスペラーズとの共演でチェッカーズ時代の代表曲「ミセス マーメイド」を歌ってくださったり。見に来て下さるみなさんが主役であって、我々の音楽はみなさんの大切な夏の思い出の1日を飾るBGM。そんなつもりで音楽をお届けしたいと思っています。

(聞き手・髙橋晃浩)

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