一眼気分

レンズ一本勝負!Part2 @Seoul編「旅と写真」

  • 文・写真 宮田正和
  • 2018年8月6日

  

今回もレンズは1本勝負。撮影地は韓国ソウル、期間は2泊3日。

そして旅の目的は旅そのものであり、決して写真撮影がメインではない。

そんな条件の下、当初は何本かのレンズを持っていきたい衝動に駆られたが、主たる目的は「旅」なので、ここは我慢した(笑)。

  

散々悩んだ末に前回のレンズ1本勝負と同じセッティングで臨むことに。

Canon EOS 5D Mark IVとSIGMA 70mm F2.8 DG MACRO Art 。

70mmという焦点距離は中望遠としてスナップなどにも使いやすく、またマクロレンズでもあるので必要ならば接写もできることから、街撮りには最適な1本かもしれない。その実力は前回の一本勝負でも確認しているので、安心して選んだ。

ボディーも、見た目は大げさではないが秘めたパフォーマンスが高い5D Mark IVにした。旅先でも身軽なベストな選択だと思っている。

前回記事はこちら

  

ソウルを訪れたのは、6月12日に行われた米朝首脳会談の翌日だった。厳重な警備や規制もあるかもしれないと覚悟していたが、現地は意外と平静で、普段と特に変わらない感じだった。到着したのは仁川国際空港の新しいターミナル2。今年1月に完成したばかりらしく、清潔感にあふれていて、そのデザインや広々とした空間に圧倒される。

  

明洞(ミョンドン)は相変わらずパワフルで、元気のいい街だった。

相変わらずの呼び込みの多さには参るが、断っても断っても食い下がってくる執念には圧倒される。

しかし、明洞から離れて、今回初めて訪れた北村(ペクチョン)は一転して静かで、観光名所から外れた何げない街角におしゃれなカフェや美術館があり、そのディスプレーやデザインに目を奪われた。ふらりと立ち寄ってお茶を飲んではまた歩き出す。そんなまったりとした散策を続けた。

街全体がアートを意識しているようで、そんな街をカメラ1台レンズ1本だけを持って歩くことが気楽で楽しかった(笑)。

  

普段はどちらかといえばヨーロッパ方面での撮影が多いのだが、アジアでは韓国、中国、シンガポール、マレーシアはそれぞれ何度か訪れている。その中でも韓国は僕にとっては興味深く、好きな国の一つでもある。

もちろん2泊3日と限られた時間ではたいした距離も移動できず、限られた場所でしか撮影できなかった。だから次回はもう少し時間を取って、レンズも何本か持って……なんて考えていたら、「それじゃまるで仕事みたいじゃない?」という天の声が聞こえてきた。確かにそうだよね、それでは仕事だ!(笑)。

  

実は何度か訪れている韓国でも、今回初めてカメラを携えて街を歩いた。滞在時間は実質1日半程度。撮影数は全部で五十数カット。仕事での撮影とはスタンスも気分も全く異なるが、それでも撮った写真を見ると写真家としての欲があちこちに見え隠れしているような気がしてならない……。

  

旅の醍醐味(だいごみ)は、人との触れ合いや出会いを楽しみながら、自分の五感で感じ、味わうもの。写真を撮るために行くのではなく、あくまでも旅を楽しみ、風景は自分の記憶に刻み込んで、少しだけ気になった場所を数カット押さえればいいのかもしれない。あるいはいっそカメラなんて持たずに自分の記憶だけを大切にすればいいのかも。

今回、改めて旅と写真の関係について考えさせられた。

  

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PROFILE

宮田正和(みやた・まさかず)写真家

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)http://f1scene.com

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