キャンピングカーで行こう!

キャンピングカーの室内の暑さ・寒さは断熱次第!!

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年8月8日

砂嵐の中を走るキャンピングカー(getty images)

記録的な猛暑に見舞われている今夏の日本列島。みなさまいかがお過ごしでしょうか? もうすぐお盆休みですが、こんなときは涼しい高原に逃げ出したくなります。

さて、暑さ・寒さの厳しい状況でキャンピングカーを使うときには「重要なのは断熱だ」と、ことあるごとにご紹介してきました。

断熱のために行われる処置は、車ができ上がってしまえば、基本的には目に触れることがありません。キャンピングカーを選ぶ時、見ただけで判断できない断熱性能は、積極的に質問して確認することが大切です。

車内の温度とエアコン

一般の自動車は基本的に断熱されていません。走行中はエンジンあるいはモーターで、エアコンを作動させておけるので、その必要がないからです。ですから、エンジンが止まってしまえば、あっという間に車内の気温は急上昇(冬なら急降下)します。

炎天下、駐車場にとめてあった車の中で、乳幼児やペットが脱水症状や熱中症になった、という痛ましいニュースを聞いたことがある方も多いでしょう。言うまでもなく、「自動車は走るため=移動するためのもの」ですから、エンジンをかけない状態で、車内に長時間とどまることは想定されていません。

さて、そのエアコンについて考えてみましょう。

一般的な家庭用エアコンの場合、6畳間用なら2.2kW、10畳用では2.8kw程度の冷房能力のものが使われています。それに対してカーエアコンは、床面積にしたら2.5畳程度の小型車でも5kwは必要だと言います。5kwのエアコンというのは、家庭用なら16畳用に相当しますから単純計算でも5倍の能力です。車内を効率よく冷やし、かつ、外気温の熱を取り込まないように(冷たさを維持する)するためにも、断熱がいかに大事であるか、お分かりいただけると思います。

どんな断熱材が使われている?

暑くても寒くても快適に過ごせるのは、しっかりした断熱のおかげ

キャンピングカーに使われる断熱材は大きく分けて2種類あります。グラスウールやスタイロフォームなどの「固体の断熱材」とスプレーやローラーなどを使って塗布する「液体の断熱材」です。その他特殊な例として、シェルを二重構造にして空気による断熱層をつくるものもあります。

固体と液体、それぞれに特徴があり、ビルダーは様々な条件に合わせて断熱材を選び、場合によっては複数を組み合わせて使用します。

たとえば、固体の断熱材の場合。スタイロフォームは厚みが決まっていますので、それ以下の薄い空間には入りません。グラスウールは繊維ですから薄くすることはできますが、その能力は厚さに比例しますので、いたずらに薄くはできません。

一方、液体の断熱材は、天井だろうと曲面だろうと場所を選ばず塗布できますが、不要な場所をマスキングする手間はかかりますし、単価は固体タイプに比べて割高です。

どの断熱材をどこに使うかは、それぞれのビルダーごとに考え方が違い、一概にどれが正解とはなかなか言えません。また、ユーザー側から「これを使ってください」と指定するわけにもいきません。

とはいえ、どんな考え方で、どのような断熱材を使っているのかは、ビルダーの車づくりを知る上では重要なポイントになります。ご自身の車の使い方(真夏や真冬に使うのか、など)と照らし合わせて、自分たちに合った断熱性能のものを選びたいところです。

天井にも壁にもしっかりとグラスウールの断熱材が詰め込まれている、製作途中のバンコン。内張りを一度はがし、ボディーとの空間を断熱材で埋める

窓ガラスの断熱も重要

車の断熱を考えるとき、一番の弱点がガラスです。暑いにつけ寒いにつけ、内外の熱の交換がもっともたやすく行われてしまうのは、ガラス部分なのです。

住宅では省エネの観点からペアガラス(二重ガラス)を使うのが標準になってきていますが、車の場合はほとんどがシングルガラスです。それもかなりの面積がありますので、ガラスを通して入ってくる(逃げる)熱はかなりの量になります。

キャブコンの居室部分やトレーラーには、キャンピングカー用のアクリル二重窓が使われています。バンコンやバスコンの場合はいったんガラス窓を外して窓部分を鉄板やFRPで埋めてしまい、改めて、元の窓よりも小さくアクリル二重窓を設けているものもありますが、元のガラスのままのものもあります。しかし、どの車両にも共通しているのは、フロントガラスと運転席助手席の窓は、自動車メーカー製のままだということです。

キャンピングカーのベース車はほとんどが商用車なので、UV(紫外線)カットガラスこそ使われていますが、IR(赤外線)カット機能はありません。この運転席・助手席まわりのガラスに関してはユーザー側で工夫することができます。

軽自動車の場合、車両が小さいだけに内張りと外殻の隙間も小さく、断熱材を入れるスペースも少ないが、少しでも熱を遮断できるよう、しっかりと断熱材が張り込まれる(左:施工前 右:施工後)

できる工夫の一つは断熱フィルムを貼ることです。法令で前面や運転席助手席の窓については可視光線の透過率が定められていますが、これを満たすものが市販されています。

もうひとつは、一部の車両に限られますが、フロントガラスを丸ごと、熱線カットガラス(断熱ガラス)に交換する方法です。

断熱ガラスにもいくつか種類があります。フロントガラスは事故の際の飛散を防ぐためにフィルムがサンドイッチ構造になっていて、このフィルムに断熱性能がある場合。あるいは、断熱素材でコーティングされているガラス。サンドイッチ構造+コーティングの両方が施されているものもあります。

この方法は車種も限られていますが、バンコンのベース車として人気のトヨタ・ハイエース、日産・キャラバンは対応するガラスがあります。ただし、交換ガラスは高価ですし、加工もそれなりに大掛かりになります。ちなみに乗用車でもレクサスなどの高級車は最初から断熱ガラスが搭載されている場合が多いです。

塗料タイプの断熱材の施工風景。しっかりと塗布することで、金属フレームへの結露もなくなるという

エンジン熱の遮断も忘れずに!

国産のベース車両は、ほとんどが運転席下にエンジンがあるキャブオーバータイプです。そして走行して高温になったエンジンはすぐには冷めません。カーペットなどで最小限の断熱はされていますが、その熱は確実に室内に伝わってきます。そこで、できる対策としてはシート下などに断熱材を貼ること。いくつか専用品が市販されていますし、取り付けも簡単。これを施工するだけで、かなり熱を抑えることができます。

また、そうした運転席周りからの熱を居室に入れない(居室の熱を逃がさない)ことも大切。前述のように、運転席・助手席のガラス面から、夏なら熱気が入ってきますし冬は暖房の熱が逃げやすくなります。運転席周辺と居室部分を、寝る間だけでもカーテンで仕切るなどすれば、目隠しになると同時に断熱にも一役買ってくれます。

夏も冬も、省エネにもなる断熱。対策には、すぐにできるものから、大掛かりなものまで様々ですが、やればやっただけ快適に過ごせるようになるので、検討の価値は十分にありますよ!

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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