口福のランチ

粗びき生パン粉がサクッ、かんだ瞬間の豚肉の甘み「とんかつ大宝」(東京・目黒)

  • 文・写真 ライター 森野真代
  • 2018年8月9日

「特上ヒレかつ定食」の肉の厚さは迫力満点

今月の口福のランチは、地域ごとのおすすめ店をピックアップ。まずは東京・目黒から。とんかつ激戦区の目黒には「御三家」と呼ばれる店がある。その一つとして君臨する「とんかつ大宝」は、創業40年を超える老舗だ。連日オープン前から列ができる絶品とんかつランチが味わえる。

都内のとんかつ店をかなり食べ歩いた筆者も「大宝」は大のお気に入り。特にランチタイムは、ヒレかつ、ロースかつ、チキンかつ、メンチかつの定食がどれも1050円で味わえる。生野菜の小鉢、お新香、みそ汁、ご飯が付いて、このクオリティーでこの値段はありがたい。

今回は、ランチの「ヒレかつ定食」と「ロースかつ定食」、それに「特上ヒレカツ定食(1800円)」を注文。特上ヒレかつは、通常のヒレの1.5倍ほどの厚みがある。ランチにしては奮発ではあるが、豪華さから言えば納得だ。定食のヒレ肉と同じ豚の肉を使うが、ヒレ1本で1人前しかとれないといわれる一番おいしい部分だそう。

ランチの「ヒレかつ定食」は圧倒的なコストパフォーマンスの良さ

ヒレかつも、ロースかつも、肉は驚くほど柔らかく、何のストレスもなくかみ切れる。サクッとかんだ瞬間に、じわっと肉の甘味が口の中に広がり、ラードのコクと肉のうまみが織りなすハーモニーこそ、とんかつのだいご味だと改めて感動する。王道のソースはもちろん、岩塩で食べたり、しょうゆとからしで食べたりと、味のバリエーションも楽しめる。ヒレかつなら、まずは豚肉のうまみが引き立つ岩塩からスタートしたい。

肉は創業当初から付き合いのある豚肉専門店から毎日仕入れる。特に指定の銘柄豚を取りそろえているわけではないが、この店に合うように考えられた豚肉は、銘柄豚自慢のとんかつ店の肉と比べても全く遜色がない。

パン粉は、一般のとんかつ店に比べて粗びきの生パン粉を使用。少し甘みのあるパン粉が大宝のこだわりで、ラードでからりと揚げた、サクサクした厚めの衣と肉のバランスが絶妙だ。一番重要な火入れは、揚げ、蒸らしなどを全て考慮し、熟練の技で最高の状態に仕上げる。「肉は肉のプロに任せるのが一番。長い付き合いの中で、大宝が目指すとんかつを熟知し、それに見合う肉を準備してくれる。それをいかにおいしくするかが自分たちのやるべきこと。火入れにはこだわります」とは店長の及川翔太さん。

絶妙な揚がり具合でジューシーな「ロースかつ定食」

大宝のとんかつには脂身のしつこさがまったくなく、肉の質というのは、こういった部分に現れるのかと実感する。一度食べたら、職人の腕の確かさが伝わってくる。お代わり自由のキャベツは「できるだけ細く」が信条。しっとりと、そしてふわふわとしていてとんかつの相棒として欠かせない。

親族で経営している大宝の店内は、アットホームで居心地が良く、何よりおかみさんのホスピタリティーがすばらしい。店の奥には、フランスで活躍する画家の松井守男氏の絵画が飾られ、ギャラリーのような雰囲気が漂う。少し不思議に思いながら、いつも見入ってしまう。松井氏は日本に来ると、この店に足しげく通うという。きっとこの店のとんかつは、彼にとってもなつかしい日本の味なのだろう。

目黒駅西側の権之助坂商店街の一角にある

<今回のお店のデータ>
とんかつ大宝
東京都目黒区目黒1-6-15
03-3491-9470
http://www.tonkatsu-taihou.jp/

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PROFILE

森野真代(もりの・まよ)

写真

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。「唎酒師(ききさけし)」の資格取得後は、自己研鑽も兼ねて各地の酒処の探索に余念がない。友人を招いての家飲みも頻繁に開催。

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