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自宅でグランピングできる暮らし!? 分譲住宅+“ベランピング”のトレンドレポート

  • 2018年8月15日

  

テント設営や食事の準備をせずに、屋外に設けられたゴージャスな施設で優雅に自然を楽しむという、キャンプの“良いところ取り”をした『グランピング』。イギリスが発祥とされるグランピングは、グラマラスとキャンピングを合わせた造語で、日本でも楽しむ人が増えてきました。

そして最近、このグランピングを自宅のベランダで行う『ベランピング』に注目が集まっています。本来はアウトドアや旅行先で楽しむものを、なぜ自宅で行うのか? 今回は、2018年6月に東京都稲城市で行われたベランピングイベントをレポートします。

  

ベランピングで叶う? 自然と共に作る“リア充”な暮らし

ベランダに大きく張り出したタープ、タープの下に置かれた木製のベンチとテーブル、ゆったり寛げるビーチチェアに、空を切り取るように飾られたカラフルなフラッグ……敷地内のグリーンが借景になって、家にいることを忘れそうな気持ちのいい空間。こんな、住まいでアウトドアを楽しむベランピングの演出がされているのは、実は全51区画の一戸建てが並ぶ分譲住宅地です。

  

そもそもなぜ、分譲住宅地でベランピングの提案をしたのか、イベントを主催したアキュラホームの中道弘敬・まちづくり推進部長に聞きました。

「ここは、新宿駅まで26分という距離にありながら里山保全地区に隣接していて豊かな自然を感じられる立地です。自然が日常に溶け込むような仕掛けを考えたときに、室内や庭で自然を感じられるベランピングに注目しました。コモンスペースでベランピングをすれば、ご近所同士が繋がるきっかけになりますし、インナーバルコニーや各戸のウッドデッキでやれば、家族で気軽に外を感じられる新しいアクティビティになります」

インナーバルコニーのベランピングの様子。屋根が付いているので雨天でも屋外気分を味わえる

今回のベランピングをプロデュースしたのは、ライフスタイルとして“キャンプのある暮らし”を発信しているクリエイターズユニットCAMMOC代表の三沢真実さん(Instagram:@mamimisawa)。三沢さんによると、休日にキャンプへ出かけて自然を楽しむことが当たり前になってきたように、自然に近い暮らし方を豊かだと感じる人が増えているそうです。キャンプ地まで行く時間が取れない人や、小さな子ども・年配の方がいて家を離れることが難しい家族でも、気軽にキャンプを楽しめる手法として誕生したのが『ベランピング』だと説明してくれました。

「ベランピングには、家の中でテレビゲームをして過ごすことが多い子どもが遊びの幅を広げ、家族と過ごす時間が増えるという効果があります。また、気軽に“外”の空気を楽しみながらグラマラスな気分を味わえるベランピングは、写真映えするシーンも多く、ベランピングの様子をSNSで投稿することで、“リア充”な日常を見てもらえるのも魅力のようです」と三沢さん。

ウッドデッキでのベランピングの様子。家と外を繋ぐ“半分外”のウッドデッキでは、屋外を感じながらプライベートアクティビティを楽しめる

分譲住宅に起きている変化とは?

ベランピングイベントの舞台になったのは、東京都稲城市若葉台にある51戸が並ぶ分譲住宅地『ヒルサイドテラス若葉台』。建売住宅というと、郊外にあり、同じ外観の建物が並ぶ画一的な姿を思い浮かべる人も多いと思いますが、近年、そのイメージは当てはまらなくなっています。少し前までは○LDKの部屋数が多い家、将来の子ども部屋を確保できる建売住宅がスタンダードでしたが、近年は、家族の団らんを重視した広いリビングルームのある家、子ども部屋を個室化しないなど、家族のコミュニティを重視した住まいが主流です。

株式会社アキュラホームまちづくり推進部長 中道弘敬さん

中道さんは、「近年の分譲住宅は、価格だけでなく、アクセス・スペック・環境の良さがそろわないと選ばれません。華美な設備よりも現実的な設備が好まれるし、共働き世帯が多いので、家事の時間を短縮できるような無駄な動きのない考えられた動線設計が評価されます。例えば、時代の移り変わりとともにキッチンと洗面室の距離はどんどん近づいています」と説明してくれました。

コミュニティ醸成のために、住まいができること

少子高齢化・晩婚化・未婚率上昇などから、集合住宅では近隣コミュニティの重要性が説かれていましたが、東日本大震災以降は、分譲住宅地も同様に近隣コミュニティを作ろうという機運が高まっているそうです。

傾斜地や周辺の自然を生かした曲線道路にすることで、街区に変化が出て暮らして楽しい住まいが実現できるという

ヒルサイドテラス若葉台では、コモンスペースと呼ぶ住民共用の広場を囲むように住戸が配置されています。どの住戸もコモンスペースを通って家に出入りするように動線設計をすることで、近隣住民とのコミュニケーションを取りやすい工夫がされています。ベランピングイベント時は、コモンスペースにもデッキチェアやテント、バーベキューグリルを置いて、住民共用スペースの使い方のアイディアが提案されていました。

  

ヒルサイドテラス若葉台の『コモンスペース』。家の前に空き地があることで、部屋の日当たりや風通しが良くなるメリットがある。また、子どもの遊び場や、家に入る前に一息つく場としての効果も見込んでいる

もう一つ、近隣コミュニティ醸成のために作られたのが、センターハウスと呼ばれる集会場。シアター機器やライブラリーを併設しており、入居後は住民参加型のワークショップ開催を予定しているそうです。「敷地内に多目的に使える場所を作って、多様なシーンで住民同士がコミュニケーションを取れる仕掛けを設けておくことが、コミュニティ醸成のために必要なことだと考えています」と中道さん。

街区の中心にある『センターハウス』。防災備蓄倉庫・防火水槽を設置しており、いざという時の防災拠点にもなる

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住まいは、部屋数の多さを重視する時代から、家族や近隣コミュニティを重視する方向に変化しています。部屋の内と外・家族と近隣を繋ぐアクティビティとして注目されるベランピングの登場は、そんな境界線の曖昧化を象徴するトレンドなのかもしれません。

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