キャンピングカーで行こう!

オフロード専用キャンピングカーってつくれないの?

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年8月15日

猛暑に台風……、今年の夏は厳しい天候が続きますが、キャンピングカーのオーナーさんたちはそれでも元気に各地で遊んでいるようです。

特に家庭用エアコン搭載の車が増えたことで、快適なキャンプライフを送れているという話題をSNSなどで目にします。

夏でも冬でも、快適な生活環境を家の外に持ち出せるのがキャンピングカーの魅力ですが、もっとワイルドに遊びたい!という方もいらっしゃるでしょう。

今回は「キャンピングカーでオフロード遊びはできるのか」がテーマです。

海外では定着している「探検車」

ドイツのオートキャンプ場で見かけた、8輪駆動のキャンピングカー。お値段は1億円強だ。日本でも登録可能なサイズだが、明らかにオーバースペック?

海外のキャンピングカーの中には「エクスペディション・ビークル」というジャンルがあります。直訳すれば「探検車」。耳慣れない言葉ですが、ヨーロッパのキャンピングカーショーなどでは、それだけでかなりの展示面積を占めるほど、キャンピングカーの一種として定着しています。

そこに並ぶのは、いわゆる「生活四駆」とは一線を画した特殊な車両たち。定着した存在とはいえ、誰もが庭先にとめておく……というわけにはいきません。

その実態は、ウニモグやランドローバーなど、ハードな四輪駆動車(中には六輪、八輪といった超大型車も!)をベースに架装を施したもの。

外観はまるで軍用車のようですが、中をのぞくとあっけにとられるほど豪華な、まるでラグジュアリーホテルのような室内になっていたりします。

同じくドイツのキャンプ場にて。なかなか年季の入ったベンツの4輪駆動ベース。使い込まれた「スタック脱出板」(荷室側面)が本気さを感じさせる

どんな人が買うのか興味がありますよね。もちろん、自然科学の研究機関などが保有して、文字通り「探検」「探究」に使用されることもありますが、個人で購入するお金持ちも少なくないとか。欧州から地中海を渡ればアフリカ大陸ですから、週末、気軽に砂漠へ出かけてクロスカントリー的な走行を楽しみ、熱砂に沈む夕日をめでる……なんていう人もいるのだそうです。

さて、では我が国はどうでしょう。たしかに山がちな国土ではありますが、もちろん砂漠などありません。八輪駆動車で、道なき道をどこまでも……という状況は考えにくいのが実際のところです。けれど、そうしたニーズがまったくないのかといえば、そうとも言い切れません。ハードなウィンタースポーツ愛好家や渓流釣りを楽しまれる方の中には、生活四駆よりさらに走破性の高いキャンピングカーがほしい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本にもあった「探検仕様」車

過去には国産キャンピングカーの中にも、生活四駆以上の走りを実現する製品がありました。トヨタ・ランドクルーザーや三菱・デリカ、変わったところでは三菱・キャンター4WDといった、走破性を「売り」にしたベース車両を採用したキャブコンが、少数ながら存在したのです。しかしいま、日本で販売されているキャンピングカーを眺めてみると国産・輸入車を問わず、走破性重視の車両は見当たりません。

現在のキャブコンのベース車両は、国産の場合、ほとんどがマツダ・ボンゴかトヨタ・カムロードです。さまざまな事情があって、この2車種におちついているわけですが、これだけキャンピングカーが定着し、使う人の遊び方の幅も広がってきた昨今。そろそろ、走破性重視などのバリエーションの増加を望みたいところです。

今の日本車で作るなら……という妄想

例えば、最近新型が登場した、トヨタ・ハイラックスはどうでしょう? ローレンジ付き4WD、頑丈なハシゴ型フレーム。走破性の高さは折り紙付きです。さらにパワフルなクリーンディーゼルエンジン搭載です。もちろん、いざベース車両として利用しようと考えると、車両価格が高価であるとか、国内発売はダブルキャブ(4ドアでシートが2列)のタイプしかないため、架装時の廃棄物が多く、ロスが多いなど課題はたくさんありますが、車そのものは、ベース車両として格好の素材に思えます。

ハイラックス+トラックキャンパーなら、すでに市販されている。ミスティック社・J-CABIN HL

ちょっと視点を変えてみると、先日デビューした新型ジムニーはどうでしょう。軽自動車であるジムニーはサイズに制限がありキャブコン化をするのは難しいでしょうが、同じボディーに1500ccエンジンを搭載した普通車登録の「ジムニー・シエラ」をベースにすれば、サイズの問題もクリア(もともと軽自動車登録はできませんから)。架装で重量が多少増加しても、普通車登録の基準を考えるとまだ余裕があります。

普通車登録のジムニー・シエラ。これをベースに小型キャブコンを作ったら、面白いと思うのだが……

これらは私の勝手な妄想ですが、仮に本当にこの2車種をベースにしたとすると、高い走破性以外にもメリットはあります。

ハイラックスとジムニーに共通するのは「ボンネットタイプである」ということです。ボンネットタイプはエンジンが運転席よりも前にあります。エンジンが運転席下にあるキャブオーバータイプに比べ、同じ全長だとしたら、荷室長が短くなってしまいます。日本でボンネットトラックを見かけないのは、税制上、全長を一定に抑えたい商用車には適さないからです。

小型貨物自動車=4ナンバーは全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m、排気量2000cc以下(ディーゼルは3000cc)と決められており、それを超えると普通貨物自動車=1ナンバーとなり、税金や高速道路料金がアップしてしまう。とすると、少しでも多くの荷物を一度に運ぶためには、荷室は1ミリでも長く欲しい、ということになるため、キャブオーバータイプが主流なのです。

ほとんど見られなくなってしまったボンネットタイプですが、「重心が低い」「エンジン音が静か」という長所があります。商用車としての税制はキャンピングカーには適用されませんから、キャンピングカーのベース車両として採用する妨げにはなりません。走破性能が高く、音が静か。さらに架装部分の背が高いキャンピングカーにとって、低重心は歓迎すべきスペックです。

いまから30年以上前のこと。ヨコハマモーターセールスから販売されていたロデオというキャンピングカーがありました。いすゞ・ロデオというピックアップトラックをベースにした、国産キャブコンの先駆けと言われている車両です。日用家具類は頑丈なアメリカ製を搭載。ホイールベースを40cm延長するなど、キャンピングカーとしての使い勝手を追求した、大変凝った作りの車でした。高い走行性能に加えて燃費も良く、販売終了から四半世紀経った今でも愛好家のいる名車です。

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かつてのロデオのような車を、今こそ。私の妄想の域を出ませんが、ハイラックスやジムニー・シエラをベースにすれば、かつてのロデオのような車ができるのではないかと思うのです。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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