北方節炸裂! 橘ケンチと『チンギス紀』トークイベント開催[PR]

  • 2018年8月31日

ユーモアとともに「物語の力」について語る北方謙三さん

「今日はすごい、女性ばかり。私の講演会では9割が男です」と登場するなり、会場を笑わせる北方謙三さん。モンゴル帝国の礎を築いたチンギス・カンの生涯を描く歴史大河小説『チンギス紀』の刊行を記念して開かれた、EXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチさんとのトークイベントでのことだ。

「今日は北方菌をばらまきます。みなさんは感染し、書店の前で発症し、私の本を全部買うことになるでしょう」。そう前置きし、自身の幼少期や中学時代の本との思い出を語り出す。やがて話は、アフリカで飢えた子供から食べ物を請われた時のエピソードへ。その時、子供のために何もできなかった北方さんは、サルトルがノーベル文学賞を辞退したときの言葉「飢えた子供にとって文学は無力である」を思い出し、深く落ち込んだ。しかしホテルで、コンシェルジュに本を読んでもらっていた黒人の女の子が、感動して涙を流している姿を目にし、物語の力を再認識。「日本に帰ったらまたしっかり仕事をしよう」と決意したという。

初対面ながら本好き同士、すぐに意気投合した北方謙三さんと橘ケンチさん

その後、橘さんも登場し、和やかな雰囲気のなか2人のトークが始まる。本好きの橘さんは、気に入った本を紹介するブログ「たちばな書店」を運営している。本好きになった理由を聞かれ、「20代後半から自分を変えたいと思い、本を読むようになった。大変なとき本からパワーをもらってきた」と語る。「自分を磨くために本だけは読め」が口癖だった父親は、北方さんの大ファン。このトークイベントを、誰より喜んでくれたという。

2人の話は、音楽や北方さんのデビュー前の話、ファンとのやり取りなど、多岐にわたる。「作家でこんなにトークが面白い人はいない」と橘さんが語るように、ハードボイルドなイメージとは裏腹に、おちゃめなトークで会場を沸かす北方さん。若い女性からの「かわいい!」の声に、照れながらもご満悦の様子だ。

橘さんは『チンギス紀』のなかの〝馬は、乗りたい時に乗れればいいというものではなく、毎日の手入れが必要。走らせないと、駄馬になる〟との一節をあげ、「僕らも努力を怠ったらすぐ駄目になる。毎日のトレーニングをさらにしっかりやろうと思った」と語る。北方さんも「どんなに酔っ払って帰っても必ず1枚は書く」と決めているという。「これからも本の力を色んな人に伝えたい」と語る橘さんに、「本には無限のものがつまっている。無限のものを感じられる人生はすばらしい」と北方さんは応じた。

その後は、参加者から募った質問に2人が答えるコーナー。「モンゴルの国民的英雄を書くうえで苦労したことは?」との問いに、北方さんは「なにもない。チンギス・カンの生涯については40歳までほとんど分かっていない。お墓がどこにあるかさえ分からない。だから私のテムジン(チンギス・カンの幼名)を自由に書ける」と答えた。

橘さんは「『チンギス紀』で印象に残ったシーン」として、テムジンとその恩人、蕭源基との別れのシーンを挙げる。それまで熱心に読んできた歴史書『史記本紀』を、蕭源基からはなむけとして差し出されたテムジンは、それを受け取らず、「歴史は、俺が作ります」と旅立っていく。その心意気に胸を熱くしたという。

最後に橘さんは「たちばな書店を始めたおかげで、今日のような素晴らしい出会いがあった。これからも本とすてきな出会いをしたい」と語る。北方さんは、「私は物語の力を信じている。物語が力をもっている限り、小説、本はなくならない。今日、みなさんは北方菌に感染したので、1週間以内に書店で発病し、都内から私の本はなくなるはず……なんて妄想をするのも、小説家です」と最後まで会場を笑わせた。

『チンギス紀』北方謙三 ウェブサイト:
https://www.shueisha.co.jp/kitakata/chingisuki/

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