キャンピングカーで行こう!

ベース車両やパーツ部門に注目 世界最大級の展示会キャラバンサロン最新リポートvol.1

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年9月5日

今年も大盛況のキャラバンサロン2018

8月末といえば、キャラバンサロン。8月24日~9月2日まで開催され、今回も私はドイツ・デュッセルドルフで現地取材しました。

毎年のこの時期はその展示会場のリポートをお届けしていますが、今回もいろいろと気になる話題を見つけました。

>>キャラバンサロン2018の詳細フォトギャラリーはこちら

キャラバンサロンって何?という方のために

改めて世界最大級のキャンピングカーショー「キャラバンサロン」について、簡単におさらいをしてみましょう。

ドイツ北部の都市、デュッセルドルフで開催されるキャラバンサロンは今年が57回目となる歴史あるキャンピングカーショーです。

キャンピングカーやキャンピングトレーラーはもちろん、部品メーカーやベース車両メーカー、アウトドア用品の店にいたるまで、600超の企業が出展します。今年の車両展示台数はなんと2100台。日本最大のショー、ジャパンキャンピングカーショーの実に7倍で、開催期間も10日間にわたります!

会場はデュッセルドルフの中心街から北に少し離れた「メッセ デュッセルドルフ」。幕張メッセのように、大きな建物をホールで仕切るタイプではなく、独立した展示館が15館もあるという広大な展示場です。昨年はそのうちの12館を使っていましたが、今年はさらに1館増えて13館に。総展示面積は214,000㎡という途方もない規模です。

キャラバンサロンは出展各社にとっては翌年モデルの発表受注会でもあり、欧州のキャンピングカーの動向がわかる、非常に重要なショーなのです。

もうひとつ、日本のキャンピングカーショーと大きく違う点があります。日本でもおなじみのHymer(ハイマー)やHobby(ホビー)といった大手メーカーは、1社(または系列含むグループ企業)で1館を丸ごと使って出展。自社製品のフルラインアップを並べて大々的にアピールしています。そして毎年、どの会社がどの展示館に出るか、位置はほぼ固定されています。

さてそんなキャラバンサロンですが、今年は昨年に比べて、どんな変化があったのでしょうか。

欧州でも人気が高まっているバンコン

定番化する車両

まず展示全体を見渡しての第一印象は「定番化が進んだなあ」ということです。ホビーやアドリア、デスレフといった日本でもおなじみの大手ビルダーは、各部のリファイン(レイアウトなどはそのままに、各部をブラッシュアップした)にとどまっている様子。ならばと、中小ビルダーが集められたホールへ行ってみると、こちらも「どこかで見たような」車両のオンパレード。

この中小ビルダーゾーン、私が毎年楽しみにしているエリアのひとつです。その理由は、どうしてもマーケット優先になる大手に比べて、個性的でユニークな提案をしてくる中小ビルダーが多いから。今年も期待していたのですが、会場の雰囲気は例年とはだいぶ違っていました。フィアット・デュカトをベースにした車両がずらりと並び、レイアウトも定番のもの。アピールポイントは価格面だけといった感じです。

これは、「大手にはない良さを打ち出してきたものの、実際に市場に受け入れられるのは定番的なモデルだった」ということなのでしょう。売れなければビジネスになりませんから当然ですが、斬新なアイデアを目にすることも多いゾーンだっただけに、少々残念です。

ベース車両に変化の兆し

ここ数年、ヨーロッパ製キャンピングーのベース車と言えばフィアット・デュカトです。前輪駆動(FF)の利点を生かして、フィアット社が製造するのは運転席まで。後ろには専門メーカーのシャシーを連結するというスタイルで、

・低コストでできる

・後部につなげるシャシーの長さは自由。そのおかげで様々なタイプのキャンピングカーを作ることができる

というメリットがウケて、シェアをなんと70%まで伸ばしてきました。

そんなデュカトの牙城(がじょう)に切り込んだのが、今年のメルセデス・ベンツです。

展示されていたのは、この春モデルチェンジをしたスプリンターのキャブコン用ベース車。実は今回のモデルチェンジで、スプリンターにFFが登場したのです。ラインナップ全体を見れば相変わらずFR(後輪駆動)が主流ですが、FFをわざわざ登場させたのはキャンピングカーマーケットへの意識があるからではないでしょうか。

ブースにいたスタッフに「デュカト対策ですか?」と直球で質問してみたところ、回答は「顧客の幅広いニーズに応えるためです」と苦笑いを浮かべながら答えてくれました。そつのない回答ですが、ベストセラーと全く同じ方式をぶつけてきた以上、目指すところは明らかでしょう。

さっそく、メルセデスベンツと関係の深いハイマーが、いち早くBMCシリーズとしてFFのスプリンターベースを採用しています。いまのところ他ビルダーに目立った動きはないようですが、果たしてこの新型ベース車両でフィアットのシェアを少しでも奪還できるのか、牙城を崩していけるのか、今後に注目したいと思います。

部品関連ゾーンが拡大!

キャラバンサロンには、いわゆる部品メーカーも出展しています。具体的には、窓専門メーカー、水回りの蛇口や排水、洗面台の専門メーカー、ベッド、トイレ、はてはワイパーまで! 

こうした展示は、基本的にはB to B、業者向けであって、その場で小売りはしていません。しかし、一般のお客さんが数多くつめかけています。それはなぜか。ひとつには、詳細な商品説明が受けられるから。自分のキャンピングカーのトイレの使い方、冷蔵庫の悩み、ガスボンベについて知りたい……熱心なユーザーたちは各企業から直接説明してもらおうと足を運ぶのです。

もう一つの理由は、これからキャンピングカーを買おうという人たちが集まるから。どんなトイレがいいか、テーブルは? ベッドは……? 契約時にどんなオーダーをするか、詳細に検討するために訪れます。少しでも使いやすく快適なキャンピングカーにするために、細部にまでこだわって注文するのです。

そんな部品関連ですが、今年はさらに展示スペースが拡大しました。昨年までは1ホールに収まっていたのですが、今年は隣のホールにまで進出して、1.5倍ぐらいになりました。

大型高級モデルの内装と装備はホテルの客室のよう

好調な大型高級モデル

キャラバンサロンで毎年楽しみにしていることの一つに、大型高級車ゾーンがあります。日本では登録できない、ばかばかしいほど巨大な車両。キャンピングカーの中にガレージがあって、スポーツカーや小型自動車が収納できるもの。高級ホテルさながらのぜいたくな内装が施された車内。現実離れした車たちは見ていて飽きません。価格にすると、数千万円から億単位! そんな高級車ばかりを1館に集めて展示しているのですが、今年は昨年より広いホールに移転。台数も確実に増えています。

日本でいえば大型観光バスサイズのモデルがぎっしりと並ぶ光景は圧巻です。通常、展示車には誰でも気軽に入ることができるのですが、このゾーンばかりはそうはいきません。なにしろ数千万円以上する商品ですから、エントランスには「セールス担当がご案内します」の表示とともにチェーンがかけられています。それでも、ほぼすべての車両には見学者がいて、各社の商談ブースもぎっちり埋まっていました。

ドイツキャンピングカー協会の販売統計では大型高級モデルを区別していないので、高級車の販売台数がどれぐらい伸びているかはわかりませんが、会場併設のキャンプ場にも、けた外れに大きくて高級なモデルが、ずらりと並ぶエリアがあったので、販売台数を伸ばしていることは間違いないようです。

今年もさまざまな話題を提供してくれたキャラバンサロンですが、細かいところにフォーカスすると、さらにいろんなことが見えてきます。

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次回はそうした細かいお話に追加取材を加えてレポートしたいと思います。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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