小川フミオのモーターカー

ライフスタイルカーの先駆けとなった斬新さ アルファロメオ・カイマーノ

  • 世界の名車<第227回>
  • 2018年9月10日

ウェッジシェイプ(くさび形の外観)が印象的だった

ぼくが大好きな自動車デザイナーによる、大好きな作品が「アルファロメオ・カイマーノ」だ。1971年に作られたコンセプトカー。量産化は前提としていないアルファロメオからの提案である。

ベースになっているのは、同年に発表されたアルファロメオのコンパクトモデル「アルファスッド」だ。デザインはジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)率いるイタルデザイン。彼と、パートナーであるエンジニアのアルド・マントバーニと、アルファスッドのプロジェクトを手がけたルドルフ・ルシュカがカイマーノも作りあげた。

ホイールベースはアルファスッド(2455mm)より205mmも短縮されていた

カイマーノのおもしろさは、大きな面積のガラス製キャノピーを持つことで、座っているだけで気分がよい。アルファスッドよりさらにコンパクトなボディーの「ファンカー(楽しみのために乗るクルマ)」として欧州や米西海岸の保養地を愛する層へのアピールを狙っている。当時の言葉でいうと「ビーチカー」の提案ととらえることも出来る。

1968年、30歳で自分の会社イタルデザインを設立したジウジアーロは、このとき多くのメーカーから、スタイリングのみならずエンジニアリングや生産計画まで、さまざまな仕事を依頼されるようになっていた。

水平対向エンジンだったので低くできた

それでも飽き足らずというか、精力的な活動時期にあったジウジアーロは、より深く踏み込んだ提案を積極的に行っていた。そのひとつがカイマーノなのだ。

クラムシェル(二枚貝)型という全体が大きく開くボンネットや、大きなガラス製キャノピーの生産技術もイタルデザインは有しているというプレゼンテーションである。

平面と曲面を組み合わせて緊張感を生むキャビンなどスタイリングも興味深い。なによりカイマーノがすごいのは、「こんなクルマのある暮らしっていいと思わない?」という提案で時代を先駆けていた点だ。いまの言葉でいうとライフスタイルカーである。

シート形状もいかにも快適そう

写真がなくて申し訳ないのだが、ダッシュボードは円筒を横にしたような造形で、そこにLEDを使った計器類が並べられていたところも斬新だ。すべてがうまく組み合わせられて、とても印象的なコンセプトモデルとなった。

写真=FCA提供

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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