私の一枚

松本穂香が初のフォトブック撮影で見つけた「自分が知らない自分」

  • 2018年9月10日

知らない自分に初めて気づいたという1枚。2017年3月、丸谷嘉長さん撮影

2017年の3月から、写真家の丸谷嘉長さんに、1年間にわたって撮影していただきました。BRIGHT、SHADOW、SINGなど、撮影ごとにテーマを丸谷さんからいただいたんですが、この写真は「HELP」がテーマの1枚です。

撮影場所は、公園だったり、河川敷だったり、高架下だったり。最終回は、山登りが好きな丸谷さんの提案で、山登りをしながら撮影しました。

それまでも雑誌の取材などで撮影していただきましたが、こんなにたくさん、長い期間にわたって撮っていただいたのは初めてでした。撮影を始めた頃は、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』を撮影していた時期で、それ以降もドラマや映画のお仕事をいただきながらこの撮影もするという1年でしたから、その時その時に演じていた役柄によって髪型が違っていて、写真をみると自分の変化が感じられます。

高校時代に入っていた演劇部で、本格的に演技に興味を持ち始めました。一番記憶に残っているのは地区大会に出た時のこと。演出の担当でもないのに、「あの子はもう少しこういう動きをしたほうがいいんじゃないか」とか、いろいろ考えたことを紙に書いてみんなに渡しました。今思えば、すごくおせっかいだったと思うんですけど(笑)、初めてお芝居について真剣に考えた時間でした。純粋に演劇が楽しかったのだと思います。

そのころNHKで『あまちゃん』の放送が始まり、ものすごくハマってしまって。「私もあの世界に入りたい!」と思って、いまの事務所のオーディションに応募しました。だから、同じ“朝ドラ”の『ひよっこ』に出演できたことは、私にとってものすごく大きな出来事でした。素敵な役をいただけて、とても貴重な経験でした。

いま主演させていただいているドラマ『この世界の片隅に』も、脚本は『ひよっこ』の岡田惠和さんですし、『あまちゃん』に出演されていた宮本信子さんや塩見三省さん、木野花さんたちと一緒にお芝居できていること、そして、大好きなジブリ作品で音楽を手がけていらした久石譲さんが音楽を担当されていることなど、いろいろなご縁をうれしく感じています。

写真のお仕事をやってみたいと思ったきっかけも『ひよっこ』です。共演した佐久間由衣さんが、直感を大切に演技しているように感じられて、いつも「すごいなあ」って思いながら見ていました。私は演じる時に、つい考え過ぎてしまうので。

彼女は、モデルのお仕事を通じてその直感を磨いたのではないかなと思って、私も被写体になることで、モデルさんが持っているような感覚を身につけたくなりました。

丸谷さんは私に、「何もしなくていいし、考えなくていい。そこにいるだけでいいから」と言ってくださいました。その月のテーマと、それについて丸谷さんが思っていることを少し伝えてもらうと、あとは自由。例えばお芝居だったら、台本があって、このスペースでこういう動きをしなければいけないという制約がありますけど、この撮影ではいくら走り回っても寝転んでもいい。すべてが許されているような、新しい感覚でした。

「きれいかそうでないかは見る人が感じること。きれいじゃないと思っている部分もたくさん出してほしい」という言葉も心に残っています。丸谷さんの言葉には、ほんの一言でもそのひとつひとつにヒントがあって、いろいろな表情を引き出していただきました。

始めの頃は、撮影場所までいろいろ考えながら向かっていましたけど、回を重ねるごとに、それほど考えなくてもカメラと向き合えるようになり、写真を撮ってもらうことがとても好きになりました。

今回、丸谷さんに撮っていただいた写真が、私の初めてのフォトブックとして発売されます。大好きな写真がたくさんありますが、特にこの写真の私は、何かとても強いものを持った眼をしているように見えて好きです。

私は自分に自信があるほうではなくて、堂々としていられないタイプなので、私の中にもこんな強い一面があったんだと驚きました。見たことのない自分がまだまだ自分の中にはいる。そんなことを初めて感じさせてくれた1枚でした。

話題作への出演が続く松本穂香さん

まつもと・ほのか 1997年、大阪府生まれ。2015年デビュー。2017年度上半期の連続テレビ小説『ひよっこ』で、有村架純演じる主人公・谷田部みね子の勤務先の同僚工員・青天目澄子を演じ注目を集める。現在放送中のドラマ『この世界の片隅に』(TBS系 毎週日曜21:00~)で連続ドラマ初主演を果たした他、auのCM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズでも話題に。10月5日公開の映画『あの頃、君を追いかけた』にも出演。初のフォトブック『negative pop』は9月13日に集英社より発売される。

    ◇

『あの頃、君を追いかけた』では、山田裕貴さん演じる主人公の浩介に片思いする女の子の役でした。私はこれまで「役が抜けない」という感覚を持ったことはありませんでしたが、今回、初めてそれを少し感じました。山田さんとは普通に話せるのに、「もう浩介には会えないのか」って悲しく思ったんです。山田さんも浩介も見た目は同じなので、不思議なことなんですけど。

「松本さんってこういう人だよね」「こういう役が似合うよね」と思われるより、どんな役でも演じられる俳優さんになれたらいいなと思っています。今回のフォトブックで見せているような表情が必要になる役にも、どんどん挑戦していきたいです。

(聞き手 髙橋晃浩)

松本穂香 1st PHOTO BOOK『negative pop』(撮影:丸谷嘉長)

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