小川フミオのモーターカー

ピラーレスハードトップがもたらした開放感 トヨタの本気を見たカリーナED

  • 世界の名車<第228回>
  • 2018年9月18日

エンジンは1800ccと2000ccがあり前輪駆動だった

トヨタ自動車のデザイナーが本気になると、ここまで完璧なデザインを作れるのかと感心させられたのが「カリーナED」だ。

4ドアなのだが、前後ドアの間に柱を入れない「ピラーレスハードトップ」という独特なスタイルが、個性的なデザインを強調している。

面一(つらいち)のサイドウィンドーが、ボディーの力強い存在感と、前後にすっとのびるエレガントなラインを強めている点も、カリーナEDならではだ。

「ED」とは「エキサイティング・ドレッシー」の頭文字だと説明された

リアクオーターピラーは後輪の上にくるように配置されている。安定感を生み出すための自動車デザインのセオリーどおりのプロポーションである。

1985年に発表された初代より89年発表の2代目のほうが審美的な完成度は高いが、企画力でいえば、このジャンルを開拓した初代に注目すべきだろう。

部品を共用する4代目「セリカ」と「コロナ・クーペ」という姉妹車と同時発表というのも記憶に残っている。

Bピラーをもたない4ドアハードトップ形式といい、シートの分厚いファブリックといい当時の米国市場を強く意識したと思わせる

ハードトップとは自動車の草創期から存在するスタイルで、基本的に2ドアに使われた。幌を使うソフトトップに対して耐候性の高い取り外し可能(固定の場合もある)の金属または合成樹脂製のルーフをハードトップと呼んだ。

それを1950年代後半に米国でキャデラックやフォードなどが4ドアの金属ルーフ車に採用。ぜいたくでエレガントなセダンが欲しい消費者にウケて、4ドアハードトップは大きな市場を形成した。日本でも同様だった。

しかし1990年代になると、衝突安全性が大きく注目されるようになる。そこがカリーナEDのような4ドアハードトップにとって大きな転換点となる。

160馬力のパワフルな「Gリミテッド」のダッシュボード

事故による衝突時、特に側面から他の車両が突っ込んできたり、道路上の物体に衝突したりした場合、乗員の安全性を担保するのためにキャビンが中央部にある「Bピラー」が大事だという認識が高まった。

カリーナEDもモデルは継続し、4ドアハードトップというスタイルも残されたものの、モデルチェンジを経て、内側に構造材を持つ、いわゆる「ピラードハードトップ」へと変わっていった。

「Gリミテッド」には初代ソアラ(81―85年)を連想させるハイバックシートが備わる

上級仕様はデジタルメーターが採用されていた

安全性とひきかえに、初代や2代目がセリングポイントとした開放感は損なわれてしまったのだ。

自動車は速度やスタイルでなく安全性で売る時代と変わった。その影響を直接的に受けたのが4ドアハードトップ車だ。仕方がないことではあるが、どこか惜しい気もしてしまう。

[PR]

写真=トヨタ自動車提供

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

写真

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

今、あなたにオススメ

Pickup!