キャンピングカーで行こう!

自然の中と都会のど真ん中 対照的なRVパークに泊まってみた

  • 文・写真 渡部竜生
  • 2018年9月26日

キャンプ場かと思うほどの広々としたスペースがある「RVパーク香美の隠れ家ときめき矢田川ビレッジ」。せせらぎの近くに竹林が生い茂るさまは、まさに日本の里山。右手の山は秋には紅葉が楽しめる

秋の行楽シーズンです。地域によっては残暑もありますが、日が暮れるのも早くなってきましたね。連休を利用してあちこちへ出かける方も多いのではないでしょうか。

日本RV協会では、キャンピングカーや車中泊を楽しむ人が、気軽に安心して、リーズナブルに利用できる宿泊設備「RVパーク」の普及を推進しています。筆者もそのお手伝いをしているのですが、この9月の3連休、視察を兼ねてとても対照的な二つのRVパークを利用してきましたので、その様子をお話ししてみたいと思います。

自然あふれる矢田川ビレッジ

兵庫県の日本海側、海から少し内陸に入った山中にある「香美の隠れ家ときめき矢田川ビレッジ」は、国内112番目に誕生したRVパークです。隠れ家の名にふさわしい静かな山奥にあります。

北近畿豊岡道が延伸されたことで、目の前を走る県道の交通量が減少し、道沿いにある道の駅「あゆの里 矢田川」の経営はピンチに陥りました。そこで地元の青年会議所のアイデアでRVパークを誘致することになり、道の駅に併設する形で誕生したのです。

今年春にオープンしたのですが、その時点では電源は道の駅からコードリールで引っ張って対応していました。それでは不便ですし、さらに容量も不足しており、「実用にならないじゃないか!と、お客様に怒られてしまいました」とは駅長の阿瀬大典さん。

そこで、工事のための資金をクラウドファンディングで調達することに。見事目標金額を達成し、しっかりした電源設備3台を備えることができました。

私が訪れた9月中旬は、蒸し暑い天気で、エアコンなしではちょっと厳しい状況でした。私の愛車(アメリカンクラスC)には米国製のルーフエアコンが付いていますが、これは最近のキャブコンなどに搭載される家庭用エアコンとは比較にならない程の「大食い」。ということは、電源設備の実力テストには最適です。

春の「香美の隠れ家ときめき矢田川ビレッジ」の様子。写真左手前の空き地部分がRVパークに、上部の建物が道の駅「あゆの里 矢田川」。タイミングがよければお花見も楽しめそうだ

さっそく車両を外部電源につなぎます。結果は「合格」!。まったく問題なく、エアコンは動いてくれました。具体的には20Aの電源が確保されたので、アメリカ製キャンピングカーのエアコンはもちろん、これなら電子レンジやIHクッキングヒーターなども安心して使うことができます。

施設の改良点は電源だけではありません。調達した資金で、車の場所からトイレまでのルートに階段を整備したのです。

RVパークは道の駅から矢田川に向かって一段低い場所に設置されています。そのため、道の駅のトイレまでの高低差をどうにかする必要がありました。そこで直登できる階段を設置したというわけですが、難点がひとつ。確かに最短距離を結ぶ階段ではありますが、若干、急なのです。手すりがないので、シニアや小さいお子さんにはつらいかもしれません。また、雨の時などは滑りやすくなりますので、従来通り、やや遠回りですが車道を歩いたほうがいいかもしれません。

阿瀬さんは「ホントに何もないところで……」と謙遜しておっしゃいますが、のんびり過ごしたい人にとっては最高の環境といえそうです。実際、日が落ちれば鼻をつままれてもわからないほどの真っ暗闇となり、都会では見られないほどの星空が楽しめます。

目の前を流れる矢田川の流れも穏やかで、聞こえてくるのは虫の声とせせらぎの音だけ。ちなみに先日の台風ではかなり水位も上がり流れも激しかったそうですが、RVパークの高さまで水が来ることはまずない、とのことでした。ただし、この場所に限りませんが、万一の災害時には、施設の人の誘導や防災放送などの情報に従って迅速に行動しましょう。

さて、誤解を恐れずにいえば「田舎の人の言う“何にもない”ほど、ぜいたくなものはない」というが私の持論です。道の駅「あゆの里 矢田川」では「鮎(あゆ)の塩焼き」や「但馬牛うどん」など、季節に合わせた地元の食材を味わえます。

さらにすばらしいのは、実は海までのアクセスが良いこと! 8キロほど行けば海に出られますので、ここを拠点に、山の幸も海の幸も楽しめるんです。9月から5月までは香住ガニ(紅ズワイガニ)が有名です。

これから紅葉の季節を迎えますし、春には桜も楽しめそう。むしろ魅力てんこ盛りのRVパークと言えそうです。これだけ観光リソースがあって「何もない」だなんて、罰が当たりそうな気がします。

香美の隠れ家ときめき矢田川ビレッジ
兵庫県美方郡香美町村岡区長瀬933-1
http://www.rv-park.jp/park/130/

月決め駐車場のように見える「RVパーク京都中央」。田舎のRVパークのようにのびのびとはいかないが、京都市街中心部というロケーションを考えれば納得

京都のド真ん中にRVパークが出現!

昨今、話題になりつつあるのが「都市型RVパーク」です。オープンしたばかりのRVパーク京都中央は、阪急西院駅まで歩いて10分ほどというロケーション。収容台数は最大6台で、ゆったりしたスペースというわけにはいきませんが、便利な立地条件を考えれば無理もないところです。

外から見た感じは、街なかの月決め駐車場のようですが、清潔なトイレとお風呂まで備えられており、設備は十二分にそろっています。給水やグレータンク(生活汚水)の排水にも対応(トイレ処理はNG)。パーク利用者にはWi-Fiまで提供と至れり尽くせり。

さてここでも、私のアメリカ製ルーフエアコンを使ってテストしてみます。やたらと電気を食う「あれ」が動けば、大抵のものには対応できるはず。はたしてこちらでも問題なくエアコンを使えましたので、電源はばっちりです。

都市部の駅まで徒歩圏で周辺には飲食店やコンビニも多数。ここにキャンピングカーをとめて、徒歩や公共交通機関を使って京都観光を楽しめるというわけです。京都にキャンピングカーで乗り付けて、自由に観光が楽しめるなんて、今まで誰が考えたでしょう!?

ちなみにお風呂について説明すると、徒歩圏には昔ながらの銭湯が。西院駅の周りには飲み屋街もあるので「風呂あがりに一杯!」もたのしめます。

こちらのRVパーク、唯一の欠点があるとすれば、目の前が線路だということ。駅が近ければ線路も近いのは道理ですが、電車の通過する音は、ある程度はしかたがありません。最近の鉄道は継ぎ目の少ないロングレールが主流ですので、ガタンゴトンという音でなくゴーっという単独音で振動もありません。「寝たらさいご、死体も同然」といわれる私は全く気にせず朝までグッスリでしたが、気になる方は耳栓を持参されるといいかもしれません。

「RVパーク京都中央」を運営しているのは「レンタルキャンピングカー京都」。キャンピングカーのレンタル事業が主要業務ですから、ユーザーがどんな設備を必要としているかも熟知しています。代表の向井さんは「広々した場所でもありませんが、精いっぱいのおもてなしを」とおっしゃっいます。都市で遊ぶのにもキャンピングカーを。新しい展開として、恵まれたロケーションと充実の設備で人気パークになることは間違いなさそうです。

RVパーク京都中央
京都市右京区西院太田町4
http://www.rv-park.jp/park/139/

RVパーク京都中央の設備。「簡易的なお風呂」と代表は謙遜するが、一般家庭サイズの立派な浴室。レンタサイクルまで用意されて、まさに心尽くしの「おもてなし」だ

いかがでしたか?
キャンピングカーの旅、ついつい「いつものキャンプ場」「いつもの河原」になりがちな方も多いのではないでしょうか。人気の高まりにつれて、遊び方も目的地もどんどん多彩になってきているのを実感します。

それぞれのRVパークの成り立ちも、地域振興型、企業主導型とさまざまで、情報は常に新しくなっています。

ぜひ、日本RV協会のRVパーク公式サイトで、多彩なパークを研究してみてください。新しい遊び方が見つかるかもしれません。

http://rv-park.jp/

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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