&(and) MUSIC

ダニエル・シーザー、cero……ちょっとビターな10の物語を楽しむ大人のプレイリスト

  • THE ONE I LOVE
  • 2018年10月5日

 

今週の「THE ONE I LOVE」は、&M編集部が洋邦・ジャンルを問わずちょっとビターな名曲たちをご紹介。気温もあっという間に下がり秋めいてきたこの季節の読書のお供に、酒のさかなに、ドライブ中に。リラックスタイムにピッタリな楽曲を、Spotifyで随時プレイリスト化していく。レコードジャケット風の写真も、一緒に楽しんでもらいたい。毎日に、もっと愛と音楽を!

■The Midnight Hour「There Is No Greater Love」

先日の来日公演も盛況だった、ア・トライブ・コールド・クエストのアリ・シャヒードとプロデューサー、エイドリアン・ヤングによるユニット、ザ・ミッドナイト・アワーによる不穏で美しいモダンソウル。リリースまで5年を費やしたアルバムの比較的短い曲だが、あれこれ考えてしまって熟睡できない秋の夜長に、真夜中のサウンドトラックとして聴きたい。

 

■Saun & Starr「Look Closer(Can't You See The Signs?)」

ヴィンテージ感のあるソウルつながりで、「女性版ジェームズ・ブラウン」と呼ばれていたシャロン・ジョーンズのバックコーラスを務めていた女性デュオのデビュー作から。60年代的なニュアンスのプロダクション、軽快なホーンズと16ビートのハネたリズムにさわやかなアプローチのハーモニーが絶妙で、思わず踊りたくなる涼しげな一曲。

 

■Monika Linges「Running - Remastered」

竹村延和の『チャイルズ・ビュー』でもフィーチャリングされた女性ジャズシンガーのモニカ・リンゲスが1984年にリリースした、暑すぎず涼しすぎない今の時期にぴったりのドイツ産ブラジリアン・フュージョン曲。ギターのカッティングのユルい気持ち良さと、ちょっと舌足らずだが縦横無尽なスキャットがキュートで神がかった録音。

 

■Hirth Martinez「Altogether Alone」

歌い出しのメロディーがフランク・シナトラ「マイ・ウェイ」的なしっとりとしたこの楽曲は、ザ・バンドのロビー・ロバートソンがプロデュースし、ガース・ハドソンも参加しているメロウ・アコースティック。ストリングスの大げさなアレンジも含めてまさに"フリーソウル"だが、チャック・レイニーの極上のベースに乗っかる後半のボッサなスキャットも◎なリラックスソング。

 

■Hiram & Direct「Turn It Around」

80年代にデトロイトで活動し、リリースした2枚のシングルがレア盤として万単位で取引されているというハイラム&ディレクトの芳醇(ほうじゅん)でとても洗練されたスイート・ソウル。ポエトリー的に女性に語りかけるところから始めて、ソフトに歌い出すというソウルマナーを踏襲しつつも、そこに暑苦しさがなく心地よく酔えるハーモニーが素晴らしい名曲。

 

■Foster Sylvers「More Love」

サウンド的にもジャクソン5のフォロワーと思われるファミリー・ディスコ・コーラス・グループ、シルバーズの末っ子であるフォスターが、スモーキー・ロビンソンの甘いモータウン・ナンバーを切なくのびやかにカバーしたもの。大人が子どもに愛の歌を歌わせるというズルい手法を抜きにしても、とても優れたキュートなキッズソウル。

 

■El DeBarge「It's Got To Be Real」

女性かと思うような線の細いファルセットの美声が特徴的なエル・デバージのソロ曲。アルバム自体はベイビーフェイスとの共作が多く収録されており、この曲自体はエル本人が書いているが、ベイビーフェイスにかなり影響を受けて書かれた曲であることは間違いないだろう。90年代特有のハネて乾いたリズムとノスタルジックな美メロが郷愁を誘う。

 

■cero 「大停電の夜に」

ceroのレイドバックした名曲。最近起きている出来事は曲のようにロマンチックではない。けれども、季節が変わったことを感じたり、ファンタジーだった停電が現実になったりしたとき、普段気づけなかった「街のざわざわ」に耳を傾けるきっかけにはなる。何度聴いてもいろんな解釈ができて、新しい発見がある不思議な曲。

 

■Hank Crawford「Wildflower」

メンフィスのジャズサックス・プレーヤー、ハンク・クロフォードの1973年作。2パックにもサンプリングされた哀愁たっぷりのメロディーに、ドラマチックなホーンセクションと掛け合いで入ってくる女性コーラスがグッとくる。アレンジは先日の来日時に初DJを行ったことが話題になったボブ・ジェームス。まさにこの当時のCTI(名門ジャズレーベル)な音がちょうど良い熱量の一曲。

 

■Daniel Caesar「We Find Love」

トロント出身の新人R&Bシンガー、ダニエル・シーザー。この曲はアーバンなバラードで現代的な音作りではあるが、メロディーと声そのものが美しい。そしてその両方が分厚いコーラスに包まれながら、シンプルなピアノと昇華していくストーリーは感動的ですらある。やはり柔弱で自己愛が強い曲こそ、ソウルなのだと思う。

 


(企画制作・たしざん、筑田大介)


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