男らしさの呪縛

「男らしさ」が社会を硬直させている? 男性を生きづらくする“呪縛”に切り込む

  • 文・白岩玄
  • 2018年10月4日

(著者写真:Yoshiko Kojima)

10月4日より新企画「男らしさの呪縛」がスタート! 「自信」「食事代をおごる/おごらない」「マザコン」……といった“男らしさ”が関わるトピックについて、小説家白岩玄さんによるエッセーを順次公開します。

白岩さんは、男の生き方を主題にした小説「たてがみを捨てたライオンたち」(集英社)を9月26日に発売したばかり。小説と本特集に通底する白岩さんの問題意識とは? 特集の前書きをご覧ください。

   ◇◇◇

「たてがみを捨てたライオンたち」を書いたのは、ぼくが20代の頃、仕事や恋愛において妙な息苦しさを感じていたのがきっかけだった。誰かにぶちまけてしまいたいほどつらいわけではないものの、何をするにもちょっとした負荷がかかっているように思えて、頑張ったり、我慢したり、強がったりしなければ、日常生活をうまく乗り切れなかったのだ。

当時は何が原因かよくわからなかったのだが、時間をかけて考えていくうちに、それが“男らしさ”を求める社会からの圧力のようなものであることに気がついた。男性はこうでなければならない、という思い込みに縛られることによって、ぼくは生活の様々な場面で、本来の自分ではない別の男を演じてしまっていた。

多くの女性が女らしさによって窮屈さを感じているように、男性もまた、男らしさに縛られて自分の首を絞めている。もちろん男性には社会の抑圧者という面があり、深く考えずに生きづらいと言ってはいけないのだけど、小説ではそうした男性の優位性も前提とした上で「男らしさの呪縛」について書いたつもりだ。

とはいえ、この問題は非常に多岐にわたるため、本の中では書ききれなかったこともある。そこで、この連載では、その辺りのことを小説ではなくエッセーという形で書いてみたい。日常に潜む男らしさに起因する物事を可視化し、“自分事”としてあらためて考えてみたいのだ。

折しも今、Me too運動など、社会の中で男性の在り方が問われるようになってきている。ぼくの見立てでは、男性がついなぞろうとしてしまう男らしさこそが、社会を硬直させている大きな要因になっていると思うのだけど、ぼく自身、わかっていてもそれにとらわれてしまうことは多いし、簡単には男らしさを手放せずにいる。

男性はもちろん、女性にもぜひ読んでほしい。

■プロフィール
白岩 玄(しらいわ・げん) 1983年生まれ。京都市出身。2004年、小説『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞し、小説家デビュー。同作は芥川賞候補作になり、テレビドラマ化。70万部のベストセラーになった。著書に『空に唄う』『愛について』『未婚30』『ヒーロー!』など。Twitter(@gegenno_gen

■あわせて読みたい

白岩玄さんが20代を赤裸々につづった連載「ありのままの20代」はこちら

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<<連載第1回「男なんだから」はこちら>>

<<連載第2回「男性に自信は必要か?」はこちら>>

 

■BOOK

『たてがみを捨てたライオンたち』
集英社/1600円(税別) 白岩玄 著

写真

モテないアイドルオタクの25歳公務員、妻のキャリアを前に専業主夫になるべきか悩む30歳出版社社員、離婚して孤独をもてあます35歳広告マン。いつのまにか「大人の男」になってしまった3人は、弱音も吐けない日々を過ごし、モヤモヤが大きくなるばかり。

幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か? “男のプライド”の新しいかたちを探る、問いかけの物語。

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PROFILE

白岩 玄(しらいわ・げん)

1983年生まれ。京都市出身。2004年、小説『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞し、小説家デビュー。同作は芥川賞候補作になり、テレビドラマ化。70万部のベストセラーになった。著書に『空に唄う』『愛について』『未婚30』『ヒーロー!』など。Twitter(@gegenno_gen)

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