小川フミオのモーターカー

1970年代のランボルギーニの独自性を象徴したシルエット

  • 世界の名車<第232回>
  • 2018年10月22日

265馬力の3リッターV8を搭載したシルエット

1970年代のランボルギーニはとりわけカッコよい。個人的な感想だけれど、エスパーダ(発表は68年)があって、73年のクンタッチ(カウンタック)があって、76年のこのシルエットがある。

シルエットはデザインの名門カロッツェリア・ベルトーネがスタイリングを手がけている。ウラッコという70年に発表された2プラス2(後席はあるけれど基本的に2人乗り)のクーペをベースに、オープンの2人乗りを作りあげた。

リアウィンドウ後ろ、エンジンが収まっているところに黒いカバー、というデザイン

当時のベルトーネはライバルのピニンファリーナとの差別化もあっただろう、スポーツカーをデザインしても、流麗かつ古典的なラインはあえて採用しなかった。そこに多様性が生まれたからこそ、ぼくたちは楽しめたのである。

シルエットも曲線と直線の組み合わせがユニークだ。たとえば、タイヤまわりのホイールアーチは円弧でない。エンジンが入っている部分には黒い合成樹脂製のカバーをつけ、V8の存在感を強調しているのも斬新だ。

バンパーも上手に全体のデザインに統合されている

5つの孔が空いたカンパニョーロというメーカー製のホイールもデザイン上の特徴となっている。クンタッチが最初に装着したもので、これがまた大胆な造形で、全体とよくマッチしていた。

ルーフは上の部分だけ取り外せるようになっている。ウラッコでは後席があったところが、シルエットでは取り外したルーフの格納場所である。

ジャルパは256馬力とややパワーが落とされたが、最大トルクは28.0kgf・mから32.0kgf・mに

あえてここまでスタイリングを変えて、ルーフまで取りはずせるようにした理由として「米国市場での成功を狙ったから」とランボルギーニは公式にコメントしている。

しかしながら、このときランボルギーニでは経営権の交代もあり、シルエットは4年かけて53台しか作られなかった。最後の1台は販売されなかった。そのクルマをベースに、新しいモデルが開発されたのだ。

それが81年に発表された「ヤルパ(日本ではジャルパとも表記された)」である。3リッターV8の代わりに3.5リッターV8を搭載していた。トルクは増したがパワーは控えめになり、より安逸な運転感覚が特徴。基本的にシルエットと近いし、共用部品も多いが、時流に即してディテールには変更が加えられた。

ジャルパにはルーフもエンジンカバーも車体同色仕様があった

シルエットはエンジンパワーに対処するため、タイヤサイズはフロントが195/50R15でリアは285/40R15だった。ものすごい違いである。それに対してヤルパは、フロントは205/55R16でリアは225/50R16に。このあたりも新エンジンのキャラクターに合わせての変更だ。

インテリアもステアリングホイールに衝突時の安全を考えたクラッシュパッドがつくなど、それなりに時流に合わせた設計が採用された。ジャルパは88年までに415台も作られたことからも、一定の評価を得ていたことがわかる。

ジャルパのダッシュボード

80年代、フェラーリは328シリーズ、348シリーズ、テスタロッサ、288GTO、F40と次々に発表したのに対して、ランボルギーニはクンタッチ、スーパー4WDのLM002、それにジャルパのみ。でもいまでも魅力的なのは、誰のまねもせず、独自のコンセプトがしっかりしているからだろう。

写真=Lamborghini提供

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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