「副業」そしてさらに進んだ「複業」へ 会社員が生き残るための選択肢を探る[PR]

  • 2018年11月1日

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終身雇用制度が崩れ、企業に勤めていれば一生安心できた時代は終わりを迎えつつあります。一方で、人生100年時代とも言われ始めました。そのような中、政府が進める「働き方改革」の一環として「副業解禁」が叫ばれるようになり、実際にIT企業など副業を認める会社も増えています。副収入を得るためだけではなく、副業で新たなスキルを身につけ、自身の市場価値を高めようとする若者もいます。

これまでそうした発想を持たなかった会社員は、時代の変化にどのように対応すればよいのでしょうか。新しい働き方として「複業」を提唱する早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授に、将来を不安に思う人たちへのアドバイスを聞きました。

――山田教授は「マルチプル・ワーカー :『複業』の時代」(三笠書房)という本を7月に出版されましたね。

山田教授(以下、山田) 想定していた読者は、「今は副業をしていないが、将来への不安から副業に関心を持ち始めた会社員」と、これまで副業とは無縁であった経営者の両方です。本書は、いわゆる副業のハウツー本ではありません。

本は主に30~40代向けに書きましたが、出版後、50歳以上を対象に書いた副業に関する新聞コラムに反響があり、感じたことがあります。最近、部長など役職についている社員を一定の年齢に達したら役職から外す「役職定年制」を採用する企業が増えています。役職定年になると一般に、仕事の責任も軽くなりますが、給料も減ります。子どもの教育費や住宅ローンが残っている人もいるでしょう。しかし50歳を過ぎると転職も難しくなります。「仕方なく会社に従うしかない」という人を私は多数見てきました。そういう人たち向けに副業を解禁することは、若い人とは違う意味で求められているのではないかと感じています。

  

山田 英夫(やまだ ひでお)

早稲田大学ビジネススクール教授。1955年生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。三菱総合研究所に入社し、企業のコンサルティングに従事。1989年に早稲田大学へ。専門は競争戦略、ビジネスモデル。博士(学術)

――いま副業が注目されている背景を解説してください。

山田 人手不足の問題があります。労働人口が減って、週に数時間でもいいので働く人を求める企業も少なくありません。また、「お金が足りない」ということもあります。特に中小企業では賃上げが難しく、ほかに仕事をしないと食べていけないという苦しい現実もあります。ほかにも、終身雇用の崩壊企業合併などで一生同じ会社にいられないケースもあることや、「人生100年時代」にどう生きていくか、ということもあります。

そんな中、政府は今年1月、企業が就業規則を決めるときの参考にする「モデル就業規則」を改定し、副業・兼業を「原則禁止」から「原則容認」としました。

――「副業」といっても、さまざまなタイプがありますね。

山田 私は副業を四つに分類してみました。横軸は得られる収入で、縦軸はケイパビリティ(スキルなど能力の高さ)です。

出所:山田英夫著「マルチプル・ワーカー『複業』の時代」より

伏業」は、会社に内緒でやることが多いですが、経済的事情でせざるをえないケースもあります。ただ単価で言えば、少ない収入しか得られないケースが多いです。

副業」は、例えばコンビニや外食産業の店員、肉体労働、知人の会社の事務手伝いなどです。いわゆる昔からいわれてきた「副業」にあたります。

幅業」は、ボランティアやNPO活動などに代表されます。仕事で培った専門性を社会に生かす「プロボノ」はいい例です。スキルや人間としての幅を広げるという意味で「幅業」と名づけました。

複業」は、複数の異なる仕事を持つことです。「副業」が本業の収入を補うためにする仕事であるのに対し、「複業」は、本業と主従関係のないものです。

(編集注:以下、四つをまとめて表すときは、世の中で広く使われている「副業」とし、第1象限のものを指すときは「複業」と記します)

――複業のメリットは。

山田 収入が増えるので、本業で賃金カットがあった場合でも助かります。

そして、定年がありません。これからは定年後の人生が長くなっていく一方で、年金支給開始年齢は徐々に上がってきています。不動産経営や、著作権といった知的財産権などが注目されているのは、本人が体力的に働けなくなったとしても、資産や知的財産があることで収入を得られるからではないでしょうか。

副業を行うことで、会社員としての本業にも良いことがあります。それは本業の仕事でリスクをとれるということです。賢い人は、新事業には手を挙げないと言われる会社もあります。しかし、会社以外にも道があれば、勝負をかけることもできます。

会社にもメリットがあります。複業するということは、事業計画を立てたり、ヒト、モノ、カネを1人で動かしたりしていくことですから、経営者の視点が身につきます。大企業では特に、全社的な視点から物事を見られるようになるまでに30年くらいかかりますよ。そのため、副業を人材育成の一環として使う企業も出てきました。

この先、副業を解禁する会社としない会社で、人気に差が出てくるかもしれません。若い人のなかには、副業ができることを自由の象徴として見ている人もいるからです。人気企業のランキングに影響が出てくるかもしれませんね。

――副業する際の注意点は何ですか。

山田 まず、健康です。休息時間が減ってしまい、身体をむしばむ可能性があります。

次に、法律の問題があります。例えば、本業から副業に行く途中で労災に遭ったら、補償はどうなるのか。現時点では、はっきりしていません。今までは一つの会社にしか勤めない原則で法律が作られてきたので、これから決めなければならないことがあります。議論されている最中ですが、まだ時間がかかるのではないでしょうか。

  

――複業を今、会社員はどうとらえたらよいでしょう。

山田 キーワードは「選択肢」だと思います。副業解禁と言われても、実際は、何をしたらいいかわからない人が大半かもしれません。急に始めるのは難しいのですが、考えておくことは悪くない。複業を、起業への滑走路とみることもできます。

会社員はこれまで、仕事の内容や給料、勤務地は選べないことがほとんどで、会社から「与えられるもの」でした。これからは、「選択肢のある人生」が、豊かな社会に必要なのではないでしょうか。

自分に可能な「選択肢」を考えてみる

山田教授のお話にあったように、終身雇用の原則が変化していくこれからの時代は、さまざまな「選択肢」を持つことが重要になります。

これまでは副業という発想がなかった人でも、自分にどんな副業ができそうか、自分が持っているものを一度棚卸ししてみたほうが良さそうです。

デザインや写真といった特技や趣味がある場合は、それを生かすことができます。また、自分1人だけでできることに限らず、例えば、親が土地を持っているならば、親と一緒にその土地を活かすこともできます。実際に、駐車場や店舗などの用地として貸すことや、オフィスビルや賃貸住宅の経営、太陽光パネルを設置して売電することで収入を得ている人もいます。どんな選択肢があるか考えてみてはいかがでしょう。

土地を活かす副業が「親孝行」になるワケとは?

提供:大東建託株式会社

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