今日からランナー

走ったコースで顔を描く!「顔マラソン」がめちゃくちゃ面白い!

  • 文・山口一臣
  • 2018年10月26日

顔マラソンで描いた「なまはげ」(秋田)と「桃太郎」(岡山)

ランナー人口が増えるにつれてランニングの楽しみ方も多様な広がりをみせつつある。その代表例として紹介したいのが「顔マラソン」だ。ひとことで言うと、スマートフォン(スマホ)やランニングウォッチのGPS機能を使って位置情報を記録しながら42.195kmを走り、その軌跡で地図上に顔を描くという“遊び”である。

タイムや順位を競うのではなく、おしゃべりをしながら景色を見たり、コンビニに寄ったり、楽しく走るのがモットーだ。マラソンとピクニックを掛け合わせた「マラニック」にさらに遊び心を加えたものだと考えるといい。はっきり言って、面白い!

公式サイトにはいくつかのモデルコースと指示書が掲載されている。指示書には「200m先のコンビニを右折」「坂を登りきった突き当たりを左折」といった細かいルート案内があるので、これに従って走れば誰でも気軽に「顔」を描くことができる(ただし、フルマラソンの距離を走り切らなければならないが……)。仲間を誘って走るのもよし、一人で孤独に走るのもよし。完走後、スマホに描き出された「顔」を見ながらの打ち上げは、なんとも格別なものである。

「熊」を描いたのは熊本だから? 高知で描いた「かつお」もお見事!

奈良に現れた「せんとくん」と沖縄の「シーサー」

この“遊び”を考案したのは、都内在住の会社員、浜元信行さん(40)だ。2011年の東京マラソンの抽選に外れたことがきっかけで、「走る気満々で練習をしていたので、ガッカリ。だったら同じ日に都内でフルマラソンの距離を走ってやろう」と思い立つ。「どうせ走るのだから、何か面白い企画を」ということで考えついたのが、地図の上に顔を描く「顔マラソン」だった。

最初の年はひとりだったが、翌年は仲間6人が参加してくれた。以来、毎年、東京マラソンと同じ日に同好の士が集まり、顔マラソンを敢行している。彼らの間では、顔マラソンが“オモテ”であり、東京マラソンは“ウラ番組”なんだそうだ(笑)。

「顔マラソン」を考案した浜元信行さん

そんな愉快なようすがSNSに投稿されて、ランナーの間で話題を呼んだ。できあがった「顔」のスクリーンショット(スマホなどの画面の画像)をアップすると北海道の友人から「札幌にも『顔』をつくって欲しい」と依頼が舞い込む。次は名古屋、その次は福島……とやっているうち、7年がかりで47都道府県分のコースが完成していた。

まずは地図を見ながらイメージを膨らませる。おおよその形が決まると、Yahoo!が提供している「ルートラボ」というサービスを使って距離を測る。ルートラボは元々はサイクリングコースをつくるためのツールだそうだ。これを使って、顔マラソンのコースが全体で約42kmになるように調整する。距離が足りないときは目を大きくしたり、ヒゲをはやしたり……。

地方によって描かれる「顔」にも工夫が凝らしてあって、例えば、岡山県なら桃太郎、愛知県は織田信長、沖縄県はシーサーの顔、高知県はちょっと変わってカツオの姿が描かれる――といった具合だ。

この7年の間、顔マラソンの大会もたびたび行われるようになった。初めのうちは浜元さんがSNSで「○月○日にやります。集合は……」と呼びかけていたが、そのうち浜元さんが声をかけなくても勝手に集まるようになっていた。各地のランニング同好会やランニングクラブ単位で独自に走っているケースも多い。誰でも思いついたら気軽に始められるのが、顔マラソンのいいところだ。

こうして愛好者が増え、これまでにのべ4000人近いランナーが体験したという。最近では、ゴールデンウィークに全国同時に各地の顔マラソンを走ろうというイベントまで行われるようになっている。

「私の東京マラソン落選と同じように地方のマラソン大会にエントリーできなかった人の“受け皿”的な使われ方もしているようですね。あと、普段は東京で走っている人が出張に行ったついでに走るとか。自然発生的にグループができて、私と関係ないところでも、みなさん思い思いに楽しんでいるようです」(浜元さん)

では、実際に顔マラソンに参加するにはどうしたらいいか? むずかしいことは何もない。公式サイトからルートマップと指示書をプリントして(あ、しなくてもいいか)勝手に走るのもいいが、顔マラソンの先輩や常連さんと一緒に走りたいと思ったら、フェイスブックかツイッターで「顔マラソン」と検索してみるといい。たいてい、どこかの誰かが「○月○日、千葉顔マラソンやります」「△月△日、神奈川顔マラソンやります」といった情報をあげている。そこに参加表明して、当日、集合場所に時間に遅れないように行けばいい。それだけだ。

こうした勝手連的イベントは全国各地で月にザッと30回くらいはあるという。実はつい最近、浜元さんはこの「GPSでお絵かき」する世界をもっと広げようと、「顔マラソンオンラインサロン」を立ち上げ、現在会員募集中だ。サロンでは、SNSではまだ語れない情報も共有されることになるという。より積極的に顔マラソンの世界に関わりたい人も大歓迎だというから、興味のある人は募集ページをのぞいてみるのもいいだろう。

私自身も、実際に走ってみるまでは、いくらゆっくりとはいえ1日で42kmはつらいんじゃないかとか、本当に楽しいのか? などなど半信半疑のところがあった。だが、やってみると本当に面白かった(笑)。そのワクワク、ドキドキの体験リポートは次回、お楽しみに!

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PROFILE

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

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1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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