連載・口福のランチ

素揚げの卵、白身は香ばしく黄身はトロリ 揚げたて天ぷら「天山」(東京・池袋)

  • 文・写真 ライター 森野真代
  • 2018年11月14日

一番人気は鶏肉の天ぷらと素揚げの卵の「鳥親子天丼」

池袋駅から歩いて7、8分ほど、南池袋の路地にひっそりとたたずむ天ぷら屋「天山」。ふらりと立ち寄るにはしり込みしてしまいそうな店構えだが、揚げたての天ぷらが驚くほどリーズナブルな値段で食べられる。オーナーシェフの影山光世さんは、葉山の日本料理店「日影茶屋」で修業した後、アメリカやフランスのレストランで10年以上も働いたという、天ぷら店の主人としては変わった経歴の持ち主だ。帰国後、天ぷら割烹(かっぽう)「天山」を開店。極上の天ぷらはもちろん、夜は海外での経験を生かした和洋折衷のコース料理や一品料理が同時に味わえる。

ランチタイムの人気メニューは「鳥親子天丼(800円)」、「天丼(800円)」、「天ぷら定食(950円)」など。「上天ぷら定食」でさえ、1100円で食べられる。どれも価格からは想像できないクオリティーだ。

今回は人気メニューの鳥親子天丼と上天ぷら定食を注文。鳥親子天丼には、鶏肉の天ぷらと素揚げした卵をメインに、サツマイモ、エリンギ、ピーマンの天ぷらがのっている。秘伝のたれをたっぷりと吸った天ぷらは、見かけほど味は濃くなく、素材のうまみが感じられる。肉はジューシーで柔らかく甘辛のたれとの相性も抜群だ。
卵を崩すと黄身がトロッと流れ出し、また新たな味わいを生む。「ほとんどの天ぷら屋は卵の天ぷらに衣をつけるが、自分は直接油に落とす。その方が周りの白身が香ばしくなるから」と影山さん。
この鳥親子天丼は、もともとまかないで食べていたものを店で出してみたら、うまいと評判になり、今では大人気メニューだそう。添えられたサツマイモやエリンギなどの野菜揚げも絶妙な揚げ具合だ。

エビもキスも食べごたえ充分

上天ぷら定食は、エビ2本、穴子、キス、3種の野菜の天ぷらと豪華な顔ぶれ。それにみそ汁、香物が付く。揚げ衣は薄く、筆者好み。まずは塩でエビを実食。熱々サクサクの衣に、プリプリのエビは驚くほど甘い。みそ汁もうまくて、ご飯が進む。これが1100円で食べられるとは。

1100円の定食とはとても思えない「上天ぷら定食」

衣は薄力粉、卵と水だけ。揚げ油は、ゴマ油とサラダ油を混ぜたものを使うが、夏場はゴマ油を少し控えるなど、季節によって調整している。

浅草で天ぷら屋を営んでいた祖父に始まって3代にわたり飲食店を経営。できるだけ安く、おいしいものを提供することをモットーにしている。オープン当時は500円だった天丼は、26年を経た今は800円に。「材料が高騰する中、この値段を守るのは相当な苦労があるが、今のところは通ってくれるお客様に満足してもらうためにこの値段でなんとか踏ん張っている」と影山さんは語る。
ご主人と奥さんの温かい接客にも心が和む。居心地の良い空間で、揚げたてのうまい天ぷらがリーズナブルに味わえるなんともありがたい店だ。

風情のある店構え

<今回のお店のデータ>
天山
東京都豊島区南池袋3丁目16-12
03-3983-2262
http://r.goope.jp/tenzan
※ディナータイムのコース料理は要予約

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PROFILE

森野真代(もりの・まよ)

写真

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。「唎酒師(ききさけし)」の資格取得後は、自己研鑽も兼ねて各地の酒処の探索に余念がない。友人を招いての家飲みも頻繁に開催。

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