私の一枚

「個性を出してもいいんだ」 『あっぱれさんま大先生』に磨かれた加藤諒の表現力

  • 2018年11月19日

10歳の頃、『あっぱれさんま大先生』の収録にて。名札には「くるみちゃん」の文字が。

『あっぱれさんま大先生』に出演していた時の写真です。もともと大好きな番組だったので、オーディションの話が来て舞い上がりました。結局その時は落ちちゃったんですけど。当時は静岡に住んでいたので、悔しさより、オーディションを受けに東京に行けたうれしさのほうが大きかったです。

その後、週替わりの子供ゲストとして時々番組に出るようになって、そこから準レギュラーのようになって、最終的にはレギュラーとして出させていただけるようになりました。

他の子たちはみんな胸の名札に自分の名前を書いて出演しましたが、僕は途中から「くるみちゃん」という名前で出ていました。ある時、番組の中で「もし“名前を変えてもいいよ”って言われたらどんな名前にしたい?」という話題になって、みんなが芸名っぽいキラキラした名前を言う中、僕は「くるみちゃん」って答えた。そしたら、さんまさんが食いついてくださって、そのまま定着したんですね。もうひとつ、「メロンちゃん」という名前も自分の中に候補としてあったんですけど、どうしてその二つを考えついたのかは、今となってはもうわからないです(笑)。

今だったら「不思議ちゃん」と呼ばれてしまうかもしれないですけど、ちょっと変わった子供でした。七夕の短冊に「将来は人魚姫になりたい」と書いたこともあって、親もいろいろ驚かされたみたいです。2人の姉の影響か、女の子っぽい言動をして、「お前は変だ」とか「気持ち悪い」とか言われることも多くて。先生にもなかなか理解してもらえず、学校生活をものすごく窮屈に感じていました。

でもさんまさんは、僕のそういうところを「おもろいやん!」と言って全部受け入れてくださった。個性は出していいものなんだよって、さんまさんをはじめ『あっぱれ~』のスタッフの皆さんに教えていただきました。

さんまさんとの掛け合いで演技が鍛えられたのかも

それからは、お仕事の現場がどんどん居心地のいい場所になっていきました。中学生になって、事務所の先輩でもある中越典子さんがヒロインを演じた朝ドラ『こころ』に出演させていただいた時には、朝は学校に行き、学校が終わると静岡から東京に移動して撮影して、そのまま都内のホテルに泊まって、朝5時起きして静岡に戻って登校する、という生活でした。それでも、大変だと思ったことは一度もありません。

同じ中学生の時に出演した映画『HINOKIO(ヒノキオ)』も印象に残っています。当時の僕は、時間さえあれば地元の映画館に通っていたのですが、『HINOKIO』で主要な役をやらせていただいて、しかもそれが自分の通っていた映画館でも上映されたことに感動しました。

『HINOKIO』には、多部未華子さんや堀北真希さん、本郷奏多さんなど、その後すごい活躍をする皆さんが子役で出ています。撮影現場では、よくみんなで「僕らはまだ無名だけど、いつか有名になって、 『今思うとすごいメンバーが出ているよね』って言われるような映画にすることが、この作品に対する恩返しだよね」と話していました。みんな本当にそうなったんだなあって、うれしく思います。

子役から個性派俳優に成長し活躍を続ける加藤諒さん

僕もそのひとりに入れていただけるかどうかはわかりませんけど、こうして今もお仕事を続けていられるのは、『あっぱれ~』で、自分にくるみちゃんという名前を付ける、そのひとつの自己表現が受け入れられたことが大きかったと思います。さんまさんとの掛け合いには即興劇のようなところもあって、それもまた楽しい時間でした。演技もさんまさんに鍛えていただいたのかもしれません。

ただ、ひとつ後悔というか、あの頃もっとこうしておけばよかったなと思うことがあるとすれば、家族の時間をあまり作ることができなかったこと。夏休みに映画の撮影が入ってしまい、僕だけ家族旅行に行けないということもありました。旅先から僕の携帯に家族の写真が送られてくるんです。当時の僕は寂しいなんて思わなかったし、親も口には出しませんでしたけど、一緒に旅をしたい気持ちはあったと思います。今からでも少しずつ、親に返していければいいですね。

自分も知らない自分の表情を知った『ギャングース』

今回出演した映画『ギャングース』は、もともと漫画が原作ですが、原案は『家のない少年たち』というノンフィクションで、モデルになった人たちもいます。だから、かなり生々しさを感じる内容で、最初お話をいただいた時には“僕で大丈夫かな”という不安もありました。ですが、こんな人たちが実際にいるんだということを身近に感じてもらえるような作品にしたいと思いながら演じました。

僕はこれまでも漫画が原作の作品に出ることが多くて、そういう役柄の時は少しオーバーに演技することが多かったのですが、今回の演技は、自分の内面に向かっていくイメージ。出来上がった作品を見ると、“加藤ってこういう顔もするんだ”って自分でも思うぐらい、今まで見せていない表情がたくさん出ていると思います。アクションシーンも多くて、正直怖かった(笑)。でも、幸せなお仕事でした。乞うご期待です!

(聞き手 髙橋晃浩)

映画『ギャングース』は11月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他にて全国ロードショー

かとう・りょう 1990年、静岡県静岡市生まれ。『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)でデビュー。多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。個性派の俳優・タレントとして多数の映画・テレビドラマ・舞台・CM・バラエティー番組などに出演。11月23日(金)より公開の映画『ギャングース』では高杉真宙、渡辺大知(黒猫チェルシー)とともにトリプル主演する他、『ニセコイ』『翔んで埼玉』『PRINCE OF LEGEND』など、年末から来年にかけ話題の映画への出演が次々と決まっている。 

映画『ギャングース』公式サイト

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