キャンピングカーで行こう!

「軽やか!」と噂のライトキャブコンの乗り心地と走りを検証

  • 文 渡部竜生
  • 2018年11月21日

アルミパネルは平滑度が高いのもポイント。バンパースポイラーやフロントフェンダーフレアも標準装備

「ソファの座り心地やベッドの寝心地はキャンピングカーショーでも試せるけど、運転してみた感じはどうなの?」

これは、キャンピングカー初心者の方から、よく受ける質問です。確かに、試乗会でもない限り、運転する機会はめったにない車だといえるでしょう。大きさも形も一般的な乗用車とは異なるため、「運転が不安だから」と購入に慎重になる人がいるのもうなずけます。

そんな中、サイズ感・走行性能ともにバランスがよいと評判の車両をチェックする機会がありました。

今回取り上げるのは、キャンパーアシスト社(奈良県)のライトキャブコン「JOCT(ジョクト)」。車両の概略は以下のとおりです。

ベース車両

マツダ・ボンゴ。このクラスの車両では定番的な車種です。

エンジンはガソリン1800cc。ディーゼルエンジン仕様はありません。

駆動方式は2WD(FR)または4WDからセレクト可能。

キャンピングカーとしての規格

ライトキャブコン。乗車定員6人。就寝定員は大人3人、子供3人。

ベッドはバンクベッド(子供3人)、後部に2段ベッド(2人)。シングルベッド(1人)になるダイネット(食卓)。

キャブコンの車両重量はどのくらい?

キャブコンタイプ(ライトキャブコンを含む)についてよく言われるのが、動力性能の貧弱さや走行安定性についての不安です。乗用車と比べると重量があり、しかも重心が高いため、実際に運転してみた印象は乗用車とは異なります。また、ベースが商用車でエンジン出力も限られるため、乗用車のようなきびきびとした動きを求めるのは酷というもの。

それを少しでも改善するためには、車両重量を抑えることが重要です。ベース車両に居住空間を架装(装備)したキャンピングカーは何も積み込まなくても、それだけで荷物を積んだトラックのような状態です。その「荷物」に相当する架装部分の重量を抑えることで、走行への影響を少なくすることができるのです。

さて、今回の試乗車はどうでしょうか。簡易軸重計で測定してみたところ、前軸荷重1092kg、後軸荷重1008kg、総重量2100Kgという結果が出ました。私が乗った状態での測定ですから、私の体重(約100kg!)を差し引くと、車両だけならちょうど2000kgというところでしょうか。荷物はほぼ空の状態ですが、オプションの家庭用エアコンや電子レンジなどは搭載済み。ビルダーによれば、JOCTはアルミパネルを採用することで軽量化できたとのこと。ベースとなっているボンゴトラックの許容限度荷重は3060kgですから、かなり余裕があるといえるでしょう。

スーパーマーケットの駐車場枠にぴったりと収まった。普段使いでも困らないサイズといえそうだ(立体駐車場はちょっと厳しい全高2.65m)

実際に走って見ると

気になる運動性能はどうでしょうか。実際に郊外の国道を走ってみましたが、アクセルを全開にすることなく、自然に本線の流れに乗ることができました。エンジンが運転席の下にあるため、エンジン音がキャビンに響くのはキャブオーバー型の宿命ですが、カーステレオの音楽も問題なく聞こえますし、助手席との会話にも支障はなさそうです。

高速道路の合流では少々深めにアクセルを踏む必要はありましたが、ストレスなく合流できました。加速性能はまずまずです。中央道八王子ICから圏央道ジャンクションまでの区間はダラダラと上り坂が続くため、余裕しゃくしゃくとまではいきませんでしたが、アクセルをベタ踏みしなくとも、法定速度をキープすることができて非常に楽です。

試乗したとき、乗っているのはドライバーの私一人。旅の荷物も積んではいません。ですが、アクセルを踏んでみた感じと車両からのレスポンスを考えるとまだ余裕はありそう。これなら家族で乗って荷物を積載した状態でも、動力性能は合格点と言えそうです。

ダイネット+リア2段ベッドのファミリー向けレイアウトだが、内装色はモノトーンでモダンな印象

車両の取り回しは?

駐車や車庫入れはどうでしょう。ハンドルを切った時、路肩から駐車場へと乗り上げたとき、当然左右に揺れますが、そんなときも収まりはよく、ボディの軽さが実感できます。最小回転半径は4.3m(4WDは5.1m)と、かなり小回りも効きます。

コンパクトキャブコンが選択される理由の一つに「普段使いもしたい」という要望があると思います。普段使いでは、スーパーでの車庫入れなど、狭い空間での車庫入れが必要となる場面も考えられます。

試乗車にはオプションの大型サイドミラーが装備されており、視界は十分。細かな路地にも入ってみましたが、後方を映すミラーが大きいので、切り返しも楽でした。運転に不安がある方には、ぜひ搭載をおすすめしたいオプションです。

JOCTは全長4.8m、全幅1.89mと大型ワンボックスワゴンとほぼ同等サイズ。実際、行きつけのスーパーの駐車場にも納めてみましたが、前後左右とも枠からはみ出すことなく駐車できました。これなら普段使いも安心です。

あえて弱点を挙げるとするなら……。これはJOCTに限った話ではなく、ベース車両であるボンゴトラックの弱点ともいえるシートです。表皮こそファブリックで、いわゆる貨物車的なチープさはありませんが、なにしろ座面が小さくて薄い。しかも助手席はリクライニングができません。キャンピングカーは旅する車ですから、この条件で長距離を運転するのはやや大変かもしれません。

そもそもボンゴは小型トラックで、長距離輸送のことは想定していないので、当然といえば当然です。解決策として、オーナーの中にはレカロなどのシートに付替える方もいるようです。

商用車はコスト重視という事情も分かりますが、キャンピングカーとして使われる事例も増えてきましたし、高齢化で働く人の年齢も上がっています。商用車であっても、自動車メーカーにはもう少し配慮していただきたいものです。

50L冷蔵庫は標準装備。家庭用エアコンと電子レンジはオプション。これだけ装備して車重2000kgとはなかなか優秀といえる

JOCTのレイアウトは、前述のとおり、バンクベッド+ダイネット+後部2段ベッドの、ファミリー向けのオーソドックスなタイプです。ユニークなのは、レイアウトを自由に設計できるところです。ボディーサイズやエントランスの位置は変更できませんが、8ナンバーを希望するなら「構造要件」の範囲で、8ナンバーでなくてもよいならば、さらに自由にレイアウトがオーダー可能です。

確かにキャンピングカーは乗用車とは違います。ですが、ただ恐れるのではなく、とりあえず試してみて、そこから自分の目的に合った車選びをしたいものです。

JOCT(ジョクト) 価格:4,350,000~
販売元:キャンパーアシスト
http://camperassist.jp

車両提供
キャンピングカープロショップ フレンドリー
(キャンパーアシスト社関東地区代理店)
https://cps-friendly.jp/

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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