インタビュー

期待の演技派、桜井ユキ「色彩の美しさやストーリー、肌で感じて」

  • 映画『真っ赤な星』で小松未来とダブル主演
  • 2018年11月28日

陽(小松未来・左)と弥生(桜井ユキ) (C)「真っ赤な星」製作委員会

22歳の新鋭・井樫彩監督の初長編で劇場デビュー作となる映画『真っ赤な星』。今作で14歳の少女と心を通わせる、27歳の女性・弥生を演じるのが桜井ユキさん。映画『娼年』やドラマ『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』など話題作への出演が続いている、いま注目される俳優のひとりだ。井樫監督と2人で語ったという撮影の裏話から自身のキャリア、そして恋愛論や男性論まで自由に語ってくれた。

10代から40代までを多彩に演じ分ける年齢不詳さも魅力のひとつ。「年齢が一番反映されるのが声と目。演じる時に、そこを意識しています」

監督に心の底を見抜かれた。それで役を演じられた

主人公は14歳の少女・陽。けがをして入院し、優しい看護師・弥生に特別な感情を抱く。退院の日、弥生が突然看護師を辞めたことを知る。1年後、2人は再会するが、弥生は男に体を売って生計を立てる荒(すさ)んだ生活を送っていた。

「弥生とは、自分に近いものを感じました。子どものころに培われた感性や親との関係性とか。小さい頃に感じたことは、植えられた種のように残るものがある。漠然としたモヤモヤしたものが、自分の中に残って動いている。そんな共通点ですね」

陽は入院した病院で弥生と出会う。ストーリーは監督の幼少期のエピソードに着想を得て作られたという (C)「真っ赤な星」製作委員会

売春をする弥生は、キャミソール姿でたばこを吸い、男から呼び出されるたび車で向かう。実は弥生には、ある悲しい秘密があった。役作りでは、どんな苦労があったのか。

「監督と2人で話した時間が一番の役作りになりました。撮影に入る前に、幼少期のことや自分の感覚について話したのですが、とても不思議な感覚でした。監督はひょうひょうとしていながら、それでいて私の心を見抜いていて。人は、場所によっては心の底を隠した状態で他人と接しますよね? そうしていると監督が『いや、もっとあるでしょ』って突っ込んでくれて。底を見抜いてくれたことで、『監督にはこっちでいいんだ』とさらけ出すことができた。そのおかげで弥生を演じられたと思っています」

井樫彩監督(右)と桜井さん。役はオーディションで勝ち取った。「監督から『子どもを産むってどう思いますか?』とか、個人的な質問をされたのが印象的でした」

撮影現場は体育会系でエネルギッシュ。監督も怖かった

井樫監督は取材時にも同席し、気さくにスタッフと話す姿が印象的だった。しかし、桜井さんは、撮影現場の監督は「スパルタの鬼教師でした(笑)」と明かしてくれた。

「今まで怖いと有名な監督ともご一緒してきましたが、一番怖かったんじゃないかな(笑)。いや、怖いと言うより、エネルギーにあふれていた気がします。現場の雰囲気は体育会系で、竹刀を持ってはちまきを頭に巻いているイメージ。ダイレクトな言葉で必要なことを伝える、気持ちのいい現場でした。監督がそうだったから、陽役の小松未来さんはやりやすかった部分もあるだろうし、私もすごく良かった気がします」

【動画】「幸せな役が来ないんです…(笑)」桜井ユキさんインタビュー(撮影・高橋敦)

劇中ではパラグライダーに乗るシーンがある。実は高所恐怖症で、「どうにか飛ばない方法がないか」と考えたそう。

「高いところや絶叫系の乗り物が苦手なんです。事務所の社長から『やってみたら?』と言われ、『ですよね~』とやることに(笑)。プライベートでやることは絶対ないだろうから、前向きな気持ちで挑戦しました。でも、やってみて良かった! 見える景色が全然違うんですよね。またやりたいと思いました。パラグライダーの先生にも『センスあるね』と褒められたんですよ!」

(C)「真っ赤な星」製作委員会

根底を揺さぶられる作品との出会いが、自分を満足させる

現在31歳。俳優としてのキャリアを始めたのは24歳と早くはないが、小学3年の頃から「女優になる」と確信していたそう。

「ドラマや映画をよく見ていたとかでもないのに、ただ漠然と『私は女優になる』と思っていました。でも小学生の頃は暗い子で、スポーツもやっていなかったのですが、すごく焼けやすかったから肌も真っ黒で。ガリガリに痩せていて体も弱かったです。

19歳の時に一度東京に出たのですが、その時はすぐに実家に戻って。ちゃんとお芝居の勉強を始めたのは23歳くらいからですね。仕事をし始めてからのほうが、作品はよく見るようになりました。女優という仕事を本当にやっていきたいと思ったのは、仕事を始めてから。後付けで、この仕事を好きになっていきました」

(C)「真っ赤な星」製作委員会

話題作への出演が続く今、「出演できて一番うれしかった作品は?」という質問に、こう答えてくれた。

「作品の大小にかかわらず、それぞれの役ごとに『この感情につながった』『あの経験につながった』と得られるものがあるので、とても難しい質問ですが。あえて選ぶとしたら(初主演作の)『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY(リミット・オブ・スリーピング ビューティー)』と『真っ赤な星』ですね。この2本は、とても影響が大きいです。私の根底をぶるぶると揺さぶられました。『LIMIT~』で揺さぶられたと思ったら、また『真っ赤な星』でガガッと揺るがされて。演じている時は苦しい時もあるんですが、根底を揺るがされると満たされるんです。

でもつらい役ばっかりなんです。恋人を誰かに奪われたり、2番目の恋人だったり。幸せな役がなかなか来ない(笑)。たまには幸せな役も演じたいですね」

体を売る弥生役。彼女を求める男性たちについては「空気、無でしかないですね。申し訳ないけど、なんの感情もわきません」 (C)「真っ赤な星」製作委員会

男は「カッコつけるな!」。不器用なところこそ愛らしい

桜井さん自身は、恋愛で尽くすタイプ。だけど冷めやすい部分もあるため、「恋人は私が怖いんじゃないかな」と思っているそう。

「付き合っている時は、全力で向き合って相手を大切にしますけど、ダメだと思ったらすごいスピードで引きますね。引くきっかけはいろいろあるけど、私に対しての返答とか、うそをついた時のつき方や表情とか。その人の本質が見えるんですよね。『あ、そういうタイプなのね』『こっちだったか……』と気づいて、ささっと目の前から去ります(笑)。冷たいとも、何を考えているのかわからないともよく言われます。監督は、私のそういう部分を理解して選んでくれたんじゃないかなと思います」

好きな異性のタイプを聞くと、30~40代の男性への熱いメッセージも飛び出した。

「私は、少年っぽい人が好きですね。うそをついた時にバレバレな素直な人、年を重ねるにつれて、うろこがはがれ落ちて少年みたいになっている人に愛を感じます。実は、母性はめちゃくちゃ強いんですよね。30代、40代に限らず、男の人みんなに言いたいのは『カッコつけるな!』。カッコつけられると、恋愛感情の前に終わってしまう。いい意味での不器用さ、ピュアさは女性より男性のほうが高いと思います。それが男性の良さでもあるから、そこを前面に出せば魅力になるんじゃないかな」

話題作への出演が続いているが「数カ月演じる役、短い期間で演じる役。それぞれに発見があります」

自分の中の新たな感覚が開く、肌で感じてほしい映画

映画『真っ赤な星』は、12月1日から公開。新鋭の監督が描く、14歳の少女と27歳の女性の今までにない愛の物語をぜひ劇場でチェックしてほしい。最後に、桜井さんが映画へのメッセージをくれた。

「台本を読んだ時に、自分の中の何かの蓋(ふた)を次々に開けられたような、新鮮な感覚がありました。演じていて消耗する役ではあったのですが、演じることで芯の部分は満たされていきました。

仕上がった作品には、天文台やパラグライダーのシーンなど、撮影している時は気づかなかった美しい世界が映し出されていて、感動しました。色彩の美しさやストーリー、いろんな要素が『真っ赤な星』の球体の中に入っていて、その丸いままを受け取ってほしいと思います。肌で感じるという感覚が近い映画ですね。みなさんにも、私が感じたような“蓋が開く”感覚をわかってもらえるんじゃないかと思います」

(文・武田由紀子 写真・花田龍之介)

映画「真っ赤な星」予告編

『真っ赤な星』作品情報
キャスト:小松未来、桜井ユキ、毎熊克哉、大原由暉、小林竜樹、菊沢将憲、西山真来、湯舟すぴか、山谷武志、若林瑠海、大重わたる(夜ふかしの会)、久保山智夏、中田クルミ(声の出演)、PANTA
脚本・監督:井樫彩
製作・配給:映画「真っ赤な星」製作委員会
配給協力:SDP
2018/日本/カラー/3.1ch/16:9/101 分/PG12
(C)「真っ赤な星」製作委員会
2018年12月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
公式HP:http://makkanahoshi.com/

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