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バンクーバー発ブランド「アークテリクス」の都会的セーター風フリース 表地に注目

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  • 2018年12月11日

  

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

コバート カーディガン

肌寒くなってくるとほしくなる暖かいウール素材のセーター。しかし、厚手なものとなると重さもあり、また自宅で気軽に洗濯することができないなどの弱点がある。機能性を重視するならばフリースが思い浮かぶが、“いかにも”なスポーツテイストに、つい二の足を踏んでしまっている方も多いはず。そんなあなたには、アークテリクスのセーター“風”フリース「コバートカーディガン」を推薦したい。

今や世界的なアウトドアブランドとなったアークテリクスは、カナダ西海岸のバンクーバーで産声を上げた。バンクーバーは都市部から自転車を20分も走らせれば自然豊かな山間部に到着し、アウトドアアクティビティが楽しめるコンパクトシティ。そんなアウトドアと都市生活が密接な関係にあるバンクーバーだからこそ、同商品は生まれた。

2000年代初頭、フリースといえばシンチラに代表される樹脂素材、あるいは毛足の長いパイルが一般的だった。軽量で、汚れても気軽に洗濯が出来るフリースだったが、当時のカナダではあくまでスポーツウェアという認識。アウトドアが暮らしに溶け込んでいる街バンクーバーでさえ、アウトドア着と普段着には明確な「違い」が存在していた。

その垣根をなくそう。自然を楽しんだら、その足でカフェやバーに向かいたい――そう考えたアークテリクスは、街中で着用しても違和感のないフリースの企画をスタートさせる。そして、繊維メーカーのポーラテック社と共同で、セーターの質感を持った全く新しいフリース素材を開発することに成功。この素材を使って生み出されたのが、このコバートカーディガンなのだ。

表地こそハイゲージのセーター風だが……

裏地を見ると完全にフリース。現在はピリング(毛玉)が出来にくいよう改良したアークテリクスオリジナルの素材を使用している

他ブランドが真似できない? 美しくも機能的な「圧着ポケット」

リリース当時から変わっていない圧着ポケット。リップスティック、カードなどなくしがちなものを収納したい

正面左右のポケットの裏地はメッシュ仕様。ベンチレーション機能を持たせている

コバートカーディガンには、左袖とフロントの左右2カ所にデザインの要となる圧着ポケットを装備している。これはジッパー周りの耐久度を高めるための工夫。もともと繊維の隙間が大きく、また伸縮性に富んだニット地にジッパー付きポケットを縫製すると、開閉あるいは使用するごとに糸を通した網目に力が加わり、やがて縫い穴が広がってしまう。見た目にもみっともないだけでなく、防寒性は損なわれ、大きな破れの原因ともなっていく可能性が高い。こうした状況を防ぐため、アークテリクスは、樹脂素材でニット地にジッパーを圧着する唯一無二の構造を持つポケットを完成させる。

アークテリクスのコマーシャルマネージャー・高木賢さんは次のように語る。

「この圧着ポケットには数多くの企業秘密が詰め込まれています。手前味噌で恐縮ですが、このポケットは他ブランドではなかなか真似できないものだと思います。私はかつて別のアウトドアブランドに勤務していたのですが、当時このポケットを“真似”しようと調べた経験があります。工場で技術者と一緒に切ったり剥がしたりしながら、分析してみたのですが、多重構造になっている上に接着剤の成分すらよくわからず、『これは再現できないな』と諦めたことがあったほどです」

アークテリクスの高木賢さん。別のアウトドアメーカーから転職し、現在アークテリクスでコマーシャルマネージャーを務める

業界基準の約2倍の運針数とステッチを誇る丁寧すぎる縫製

まさに「一糸乱れぬ」裏地の縫製。表地と言われても違和感はない

アークテリクスのアイテムには、それぞれ電話帳並みの厚さを持った仕様書があり、非常に細かく製品を作る際のルールが定められている。コバートカーディガンも見ての通りシンプルだが、実は縫い糸の色に至るまでしっかりと選定され、業界基準の約2倍の運針数(1インチあたりの縫い目の数)で正確無比に縫い上げられている。

「正直言って、ここまで細かい部分にこだわって物作りをしているアウトドアブランドは他にはないでしょう。時間やコストが掛かりますから、どこもやりたがらない」(高木さん)

ブルーの中に少し黒っぽい糸を混ぜた「ヘケートブルー」は落ち着いた印象。全てのカラーリングはアークテリクス社内に15人ほどいるカラーデザイナーが決定しているという

一見シンプルだが、「そこまでやる必要があるのだろうか」とすら感じられるこだわりが随所に詰め込まれたコバートカーディガン。その核には「Evolution in Action」つまり“挑戦を諦めず、自分たちの使いたいものを作る”というアークテリクス創業者の哲学があるという。

「アークテリクスのスタッフは自分で使うために物作りをしているところがあるんです。デザイナーも全員アウトドアスポーツをやっています。そして彼らは自分自身で縫製もできるし、製品が実際に使われる現場、製造工程も知り尽くしている。だからこそ、尋常じゃないほど細かい指示をする。そして、そこに忠実に製品化する。それがアークテリクスなんです」(高木さん)

現場を知り尽くした職人集団が、とことんまでこだわって作り上げたコバートカーディガン。そのクラフトマンシップが生み出した一分の隙もない美しさが、耐久性や着用時の肌当たりの良さといった実用性に繋がっていることは言うまでもない。ぜひとも一度は手に取り、観察し、袖を通してみて欲しい。その価値を実感するはずだ。

ARC'TERYX(アークテリクス)公式サイト
https://www.arcteryx.com

コバート カーディガン
21,600 円(税込)
https://www.arcteryx.com/jp/jp/shop/mens/covert-cardigan

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

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